番外: 中川そうたの悲しき過去
中川そうた――その名を聞けば、多くの者はただの平凡な少年を想像するかもしれない。しかし、そうた本人は自分が特別な存在だと信じていた。周囲が彼を笑うのも、自分の魅力に嫉妬しているからだ、と。
小学校の頃、そうたはクラスメイトから「変な名前だ」「声が変」と言われ続けた。しかし、本人はそれを気にするどころか「俺の個性を理解できない奴らはバカだ」と思っていた。背が低く、運動も苦手で、友達を選ぶ際に自己中心的に振る舞ったせいで、自然と孤立してしまったのだが、本人はそれを理解していない。「皆、俺を認めてくれないなんてひどい……」と被害者意識に浸っていた。
初恋の相手、金原らんへの告白も惨めに終わる。そうたは「俺の魅力がわからないとは愚かだ」と考えていたが、実際には告白の仕方が押し付けがましく、自己満足の押し付けになっていたのだ。らんやクラスメイトが笑ったのは、そうたの傲慢さと鈍感さに呆れたからだった。しかし、そうた本人はそれを理解できず、ただ「俺は傷つけられた!」と感じていた。
中学校でも状況は変わらない。体育の授業でチームに選ばれない、食堂で食べ物を横取りされる、友人がいない――その惨めさを彼は「周囲の人間が俺を認めてくれないからだ」と思い込み、反省や自己分析を全く行わなかった。実際には、自己中心的な言動や嘘、陰口をたたく性格が原因で嫌われていたのだが、そうたは決してそれを認めない。
高校に進学しても同様だ。努力をしても目立たない、自分が正しいのに誰も理解してくれない――と、被害者意識を募らせていく。文化祭の舞台で声が震えてセリフを忘れても、周囲の笑い声は「俺が魅力的すぎて皆嫉妬したのだ」と解釈してしまう。努力も成果も、自分が正しいという思い込みで、惨めさは自覚せずに拡大していった。
このように、そうたの人生は惨めで孤独に見える。しかし、本人の頭の中では全て「世間が自分を理解していないせいだ」と考えている。過去の失敗も孤立も、全て他人のせいにして自己正当化する毎日。それでも、心の奥底には「誰かに認められたい」という純粋な願いがあり、その願いがtoumax1124との因縁を生む伏線となった。
toumax1124と初めて出会ったとき、そうたは再び自分の惨めさを思い知らされる。「あのゴブリンマスター、なんて強くて自由なんだ……!」しかし、彼は自分の失敗や傲慢さが原因で今まで孤立していたとは考えない。「俺が弱いのではなく、世の中が俺を認めていないだけだ」と信じ、toumaxに嫉妬と敵意を抱くのだ。




