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誰も好きにならぬ  作者: 瀧野憂
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「おい天使B、つまんないから誰か拉致(さら)って天界(コッチ)連れてこい」

「はいいいいい!?」


おやおや、かわいそうな天使ちゃんは、カミサマのめいれーでニンゲンさんを連れてくることになってしまったみたい。


「人間、おもろい人間いないか?」


天使ちゃんはきょろきょろ周りを見ているよ。初めての人間界で迷子になりそうだね!

日曜朝の気分で応援してあげようね。


◇◇

「それって論点のすり替えですよね? はい論破!」カタカタ。


(あー釣りスレ立てて、パチンコでもいこ)


「あークソ。もう金ねえじゃん……」


(我慢すっかな……だめだイライラする)


「ばーちゃん小遣いくれ~」


(二千円か、倍にしたろ)


◇◇


「神様の喜ぶ人間、おもしろいやつ~」


パチ屋前を歩いていたら、見かけた男に【ニンゲンのクズ】というおもろそー!な単語にビビッときたのであーる。


「それはお前だ!」

「は?」


説明しよう!天使ちゃんは見ただけで人間の経歴がわかるのだ!

ついさっきこの25歳の男が祖母から遊ぶ金をせびって今に至ることまで丸わかりであーる!


「いきなり現れて何ですか……変な恰好……通報しますよ」

「残念!天使だからただの人間には見えないんだな~これが~」

「そういう設定の人?」


男がふざけた女の動画を撮り、フォルダから見ると、空虚を撮影しているだけであった。



「やば~とうとう幻覚みてんのか? 配信しなくてよかったわ~つか通報できないわけで、詰みです乙」

「そんなことよりユー天界、来ないかい?」

「この幻覚、もしかして幽霊? こわ……待ってせめて有り金全部使ってからにしてくれんか?」


「ん?よく見ると、かわいいかも?二次元のコスプレ上手いレベルのレイヤーくらいは」

「かわいいのは天使だから。ツラがよくないと天使にはなれないってワケ」

「天界も……世知辛い……俺そんなビジュ主義の天界行って大丈夫そ?」

「見れんやつはそもそも存在できてないからモーマンタイ!」

「あ、ハイ」

「やーこの人間なら神様大満足間違いなし!」

「でもまだやることあるから家帰る」

「ついてこ~」


◇◆

こうして天使は人間くんの家についていきました。

おやおや、彼の家の前に誰かいます。


「エイト!」

「誰ですか?」

「中学までここらに住んでた新熊チアキよ」

「はあ」

「貴方まだ実家暮らしで、定職にもついてないらしいじゃない」

「それが?」


「それがって……自立して一人暮らしすべきよ」

「うっざ~何、君。家族でもないくせに説教?」

「貴方のためを思ってアドバイスしてあげてるの!」

「はいはい立派立派」

「なにその態度!?」

「どいつもこいつも自立だ親孝行だなんだって、俺には一軒家持ちの両親いるのに狭い家に家賃払うの馬鹿みたいじゃん」

「わ~天使にはよくわからないけど何か熊さんおこってる!」

「もう知らない!」

「まあまあ、熊さん、落ち着いて……」

「あなたエイトとは……」

「私は「帰れよストーカー女」


天使ちゃんはエイトくんに口を封じられモガモガしながら連行されて行きました。


「普通の人間には見えないってアンタが自分で言った設定、馬鹿すぎて忘れた?それとも天使を作ってる神様が馬鹿なの?」 殺すぞ

「あ、確かにおかしい!」

「……まあいいや。なんか選ばれた人間だっていうならさ、人を殺せるノートとかペンとかないの?」

「ないでーす。そんなの貴方に与えられるわけないでーす」

「あーはいはい。どうせ俺は……あーいいわ、うじうじ主人公キャラっぽい事言うとこだったわーめんど……」


「ではさっそく天界へ行きましょう」

「ああ」


(そういえば……立てたスレどうなったかだけ見ときゃよかった……)




「今日未明、25歳の男性が自室で不審死を遂げているのを同居する祖母が発見しました」



「エイト……間に合わなかった……」

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