ホーンリバー帝国の変調
アニメ化された「妹さえいればいい」という商業作があります。作者はもう大御所もいいところなんでしょうけれど。最近では、「変人のサラダボウル」もアニメ化されましたね。
小説の中では、若手の三人の作家を中心に、彼らの自ら持っているものと、求めているものとの食い違いによっておこる葛藤や苦悩がとても良く書かれています。また、作家や出版社の内実ネタも多々含まれていて、特に作家で「在りつづける」ことの大変さがしみじみと綴られています。それは、作家としてある程度の年数をこなしていないと書けない話でしょうね。本当に作家を目指す人なら、読んでおいてもいいのではないかと。
さてこの話、作者の趣味と思われる、酒とゲームの話が多々出てきます。中でもTRPGネタはなかなか秀逸で、一応アニメ化もされましたが、ツッコミは甘かったです。
主人公たちは、ガガギア王国の冒険者となっていますが、その出自はミッドフィールド公国の公女でした。しかし、各国を次々と吸収し、属国化していく「ホーンリバー帝国」。その傘下に下った母国に嫌気がさして出奔し、ガガギア王国に在籍している、という設定です。
うーん。さすがに地上波では流せないネタですか。
まあこうして、ほとんどの国はホーンリバー帝国の傘下に下って、世界の大部分は帝国に支配されている状態になってしまっているのですが。
そのホーンリバー帝国がこの夏にやらかしをしたのは、記憶に新しいところですよね。とりあえず、あまりひどい続報が入ってくることもないということは、まあそれなりに落ち着いたのかな、と考えています。
そしてそれとは別に(関連なくはない可能性も)、帝国がソニーの傘下に入る交渉中、っていうニュースはなかなかインパクトが感じられました。なぜ、いま、と。なろうと同じカテゴリのカクヨムさんも当然帝国傘下ですから(というか、直系に近い?)、なろうユーザーとしてもカクヨムの先行き含めて気にならないわけはありません。
そして、このあたり楽韓さん含めて色々と解説が出ていたりするようですが、今帝国の筆頭株主って、K国カカオ系のファンドだそうです。カカオは日本ではピッコマを運営しているようですが、日本では帝国のを含む日本のマンガを多く配信しているそうです。
ちょっと前までK国発のWebtoonは世界を制する、っていう勢いでいたんですが、NASDAQ上場後の経緯は悲惨。全世界から撤退が続き、もう本国と日本ぐらいしか残っていないようで、その日本でも売り上げのかなりの部分は日本産の作品、となると色々焦りも出てきたりするのでしょう。なんか、去年から今年にかけてのEVのそれを思い出してしまいます。
今回の交渉は帝国側から持ち掛けた、という話もあり、これ以上K国の資本の買い集めにあって影響力を増されたら困る、という所もあったのでしょう。もう少しで思い通りに出来るか、と思いきや寸前で逃げられてしまったと。まあ帝国株価も相当上がっていますので、投機としてみれば十分なプラスではあるのでしょうけれど。
読者側の立場としても、今回の交渉は期待してみた方がいいのかもしれませんね。帝国さんのコンテンツがみんな「俺だけレベルアップ」になっちゃったらいやですし。そもそもがとこ、Webtoonが廃れてきているのも、一つのテンプレが流行るとみんなそれの後追いを余儀なくされ、多様性が無くなって飽きられてしまった、という所があるようです。あれ、これに関していえば、どこかにも似たような話が……
さて、ではなろうはどうなのか。安全なのか、と考えてみますと。まあそもそも公開会社でなければ株の買い集めもしようがないのですが。それでも、なろう自体は実はほとんど知財を持っているわけではないのですよね。
帝国モデルでいえば、なろうはとても小さな都市国家みたいなものでしょうか。しかも国民は傭兵としてよそに出稼ぎに行く傭兵国家。なので、もし国家が乗っ取られたとしても、国民がみんな出奔してしまえば後はスカスカになってしまう。このあたりが契約で知財を縛っているであろう帝国との大きな違いですね。
というわけで、まあなろうにこういう変調が見られることは無いでしょうが…… それでも、なんか自国が他国から熱烈なラブコールを受けるわけではない、というのはちょっと寂しいところですね。
今年は、なろうも生まれ変わる年だ、という話がありましたが、もう年末。とりあえずUIには色々と変更が加えられましたが、本質的な変更ってまだ見られていないような気がしないでもなく。
まあ、来年はどうなっていくんでしょうねw