吹奏楽部からのお願い-5
その後、今日も部長と顧問による部の説明、上級生による演奏、1年生の楽器体験がある。今日からは1年生も先輩たちと同じ時間まで体験できる。
今日はトロンボーンパートの人に楽器体験に誘われてやってみた。
「お、上手に吹けてるじゃん! ……そしたらユーフォニアムって楽器も体験してみたら? マウスピースは同じだからそれも吹けるかも」
そう言われてそのままユーフォニアムのいる、低音パートに連れて行かれた。やっぱり強引なんだ……。そして一応ユーフォニアムも体験しておいて、そして下校時刻になったため下校。……なんか色々疲れた……
・ ・ ・
その日の下校時。美玖ちゃんや結衣ちゃん、愛依ちゃんと別れた後、1人で家に向かって歩いていると、
「おい」
後ろから声をかけられる。明らかに男の人の声だ。私、この声知ってる。後ろを振り返ると、やっぱり。橋田弘樹さんがいた。
「お前、吹部の見学、来てたよな? 入るのか」
「そのつもりではありますけど……」
「それなら良い。……ま、とりあえず伝えておくか。小学生の頃、俺をたすけてくれただろ。また俺を……いや違う、吹奏楽部を救けてほしい」
「……えっ? 助けるってどういうことですか?」
私の頭の中にはハテナマークがたくさん浮かぶ。
「とりあえずお前が吹部に入ればとりあえずは救けたことになる。それだけだ」
私の頭はより混乱する。吹部に入るだけで助けたことになるの? なぜそれが助けた理由になるの?
「お前、学校では素人のフリしてたけどホントは楽器、できるんだろ。だからお前みたいな人が入るだけで救けたことになる。そんじゃまた学校で」
そう言って彼は走っていってしまう。まだ確認したいことがあったから追いかけようとしたけどダメだ。彼は足が速すぎて追いつけそうにない。
まあとりあえず入部するだけならできる。そしてそれをきっかけに入部を決めたのだった。




