決戦-5
音楽室の中からは陸斗先輩の演奏が聞こえてくる。しばらくするとその演奏は止まり、音楽室から出てくる。
「あ、次は私だね!」
と言って穂香先輩が立ち上がり、音楽室に入っていく。廊下には再び演奏の音が漏れてくる。
「すごい緊張してきた〜」
って由利先輩が言ったので、
「分かります、私もすごく緊張してきました。あ、でも友達は先生の前に座ったら緊張なんて気にならなくなってたって言ってました。本当なんですかね?」
って相槌を打つ。
「あぁ、確かにそうかもしれない。去年のコンクール本番と同じ感じ。直前までは緊張するんだけど、いざ始まると緊張なんて分からなくなる。なんでだろうね?」
なんて軽く微笑んでくれて、それだけで少し緊張がほぐれた気がした。そして丁度そのタイミングで穂香先輩も戻ってきて、「次由利ちゃんだよ〜」って言って視聴覚室へ向かった。
「はい、頑張ってきます!」
そう意気込んでから、音楽室へ入っていった。
話し相手のいなくなった私は、最後の確認として、手の動かし方のイメージトレーニングを始める。しかし、由利先輩のオーディションの範囲は狭めなので、しっかり確認できる前に出てきてしまった。
「さ、オーディションの大トリ、優夢ちゃんだよ! 頑張っておいで!」
そう由利先輩が言ったので、「あまりプレッシャーかけないでくださいよ〜」なんて言って、軽く深呼吸をしてから音楽室に入った。




