それぞれの思い-8
結衣の思い-1
オーディションまであと4日
私は結衣。トランペットの担当だ。人見知りだから慣れるのに時間がかかったけれど、最近ようやく部員の人たちとは普通に話せるようになってきた。
演奏はまだ全然上手じゃない。狙った音を出すというのはできるようになってきたが、息継ぎのタイミング、音の強弱……正直この調子じゃオーディションは間違いなく落ちてしまうだろう。でもオーディションまではあと4日。これだとどう頑張っても4日で演奏技術が上達するとはとても思えない。
家に帰っても指だけ練習することはあるが、私の住む集合住宅じゃ音を出すわけにも行かないし……
「結衣ちゃん、演奏の調子どう?」
咲夢先輩が言ってくれる。彼女も私と同じくトランペットの担当で、吹奏楽部の部長でもある。
「狙った音を出すことはできるようになってきたんですけど、息継ぎとか強弱とかが難しくて……」
「なるほどね……私は狙った音が出せるようになっただけでも十分だと思うけどね。ちなみに強弱ってさ、弱くなっちゃう感じ? それとも強くなっちゃう感じ?」
「どっちかっていうと弱くなっちゃいますね……」
「うんうん。じゃあそれはどうして弱くなっちゃうと思う?」
咲夢先輩に言われ考える。
「多分、不安なんだと思います。やっぱりトランペットって音も大きいしミスすると目立っちゃいそうで……」
「ああ、確かにミスすると目立つっていうのはそうだね。でもさ、私はミスを恐れて消極的な演奏するほうが目立つ気はするけどね……。実際積極的に演奏したほうがキレイな音になるからなんだかんだでミスも誤魔化せるし。ま、どうするかは正直言って自分次第だけどね」




