それぞれの思い-1
美玖の思い-1
オーディションまであと6日
ウチは美玖。優夢と同じ吹奏楽部でフルートを担当している。
ウチのオーディションの範囲は17小節目からの盛り上がりの部分と、103小節目からのソロの部分。
盛り上がりの部分は分かるが、ソロなんて技術的にウチには吹けるわけがないのになぜオーディションするのだろうか。それ以前に、ウチの勝手なイメージだが、ソロパートはオーディション関係なく最上級生が演奏しているイメージがある。そのイメージがついた理由も謎だが、入部したときからなんとなくそんな気がしていた。
それに下級生がソロになれば先輩も良く思わないだろう。
だからコンクールにはもちろん出たいが、ソロパートのオーディションは正直言ってあまり受けたくない。先輩たちとも仲良くやりたいし……
そんなことを考えながら練習に取り組む。そのとき。
「美玖ちゃん、この1ヶ月ちょっとでめちゃくちゃ上手くなったよね! オーディション、良いライバルになりそう!」
同じフルートパートの先輩、清香先輩だ。
「ありがとうございます。オーディション、一緒に頑張りましょうね」
そんなことを言って笑顔になるが、こんなのは本心じゃないし、笑顔もただ作ってるだけ。
やっぱりソロパートは先輩が吹くべきだと思ってしまうし、オーディションに勝って先輩を傷つけたくない。……でもそんなこと絶対に言えない。というかオーディションを突破できるかも分からないのにそんなことを言う気にはなれない。




