オーディション-1
数日後。コンクールで演奏する曲の決まった吹奏楽部は、この前掲げた『全国大会金賞』を目指し練習に励んでいる。だけど……あまり良い演奏ができない! 個人の練習もまだ必要なのは間違いないけど、全体での合奏になると個人の課題が浮き彫りになってしまって、さらに出来が悪くなってしまう。
「う〜ん、見事にバラバラですね……今はオーディションをしていない分、全員で演奏しているというのはあると思いますが……では指揮に加えてメトロノームもつけてやってみましょう。特に音の出だしがメトロノームの音に合うように意識してもう一度やってみましょう」
そしてもう一度合奏を始める。まだちょっとズレているところはあるものの、さっきよりは全然マシだ。
「はい、皆さん、先ほどよりも音にまとまりが感じられましたよね? それ以外にも伸ばすべき部分はありますが、まずはこの出だしを揃えることを意識してやっていきましょう。明日からは部活動の時間が30分長くなります。これでこれまではできなかったセクション練習もできるようになるので頑張っていきましょう」
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その日の部活が終わり、下校の時間。
「音を揃えるって難しいねぇ」
美玖ちゃんがそう言う。すると、
「多分パートごとでどこを基準に音を合わせるかが違うからじゃないかな?」
後ろから3年生の岡本瑠奈先輩が会話に入ってくる。
「そうなんですか!?」
美玖ちゃんが聞くと、
「本当は指揮に揃えるのが良いんだけどね。音が目立って演奏の中心になりがちなトランペットパートとかに合わせたり、自分のパートに合わせたりっていうのが人によってバラバラなのかなって。ま、私の予想でしかないんだけどね」




