体験入部-2
その数日後、私たち1年生の体験入部の期間が始まる。私はもちろん吹奏楽部へ!
練習場所となっている音楽室へ向かっていると……
「あ、優夢じゃん! ヤッホー!」
誰かに後ろから声をかけられる。この声は美玖ちゃんだ! そう思い後ろを振り返ると予想通り、美玖ちゃんと結衣ちゃんが来ていた。
「2人とも吹奏楽部の見学なの?」
「うん、ちょっとだけ気になってたからね。優夢も?」
「うん! 私、絶対吹奏楽部入りたいから!」
「そうなんだ。でもなんでそんなに入りたいの?」
「う〜ん、特に理由はないんだけど、ラクそうだから?」
私がそう答えると、「何その理由」と美玖ちゃんにツッコまれる。
そういえばさっきから結衣ちゃんが無言な気が……
「結衣ちゃん、さっきから黙ってるけど大丈夫?」
「いや、別に大丈夫なんだけど、ほら、知らない人とかいるし……」
そういえば結衣ちゃんは結構人見知りだったんだ。ま、私も少し人見知りだけど。
「な〜んだ、そういうこと? そのくらいでモジモジしてたら何もできないよ?」
美玖ちゃんが言う。なんかちょっぴり結衣ちゃんのお母さんみたいだった。そんな感じで少しお話しながら音楽室へ向かう。意外と見学に来ている人数が多い。
そして部活が始まろうとしたその時。
「あの子今日来てないの?」
そう誰かが言う。その直後、
「悪い、遅れた」
1人の男が入ってくる。「もう、今日から1年の体験入部期間なんだからね? しっかりしてよ?」と言われ、その男の人は楽器を準備する。そしてそんな事を言った後。
「まだ少しかかりそうだし先に説明しちゃえば?」
と誰かが言う。
「そうだね。じゃあ……皆さんこんにちは。初日から吹奏楽部の見学に来てくださりありがとうございます。吹奏楽部部長の菊地咲夢です。私たち吹奏楽部は『一音入魂』をモットーに日々活動しています。現在は3年生15名、2年生12名の27名で活動しています。今日は、まず私たちが1曲演奏し、後半は皆さんにも楽器を体験していただきます。ぜひ最後まで楽しんでいってくださいね!」