7 週末恋愛イベントフラグを全回避して、セバスを誘いたい。
学生生活がはじまってはや一週間。
幸せしかないわ。
だって毎日セバスにおはようを言って、セバスの作った朝食を食べて、お昼はセバスに今日の授業の話をして、夕方はセバスの紅茶を飲んでおやすみなさいを言えるのよ。
この世界に転生させてくれた神様グッジョブ!
日本人が作ったゲームなだけあって、このゲームの学校は週末がお休みなの。
お休みならばやることはただ一つ!
普通なら週末、好感度が一定を超えた攻略キャラがデートに誘ってくる。
デートに誘われなくても、学校内図書室や魔法練習場で自主勉強していると恋愛イベントが発生する。
がしかし!
わたしはセバス以外に興味なし。
なので予定を入れてしまいましょう。
ストップ! 男子の好感度あっぷ!
「セバス、明日はここの仕事は休みかしら」
「はい。左様でございます」
「なら、ちょっと買い物に付き合ってほしいの。お願い」
「何時頃をご希望でしょうか」
「十時に校門前で待ち合わせましょう」
「承知しました」
あくまでも執事として働いているときと同じセリフだ。
セバスにとって執事の仕事の延長線上なのかもしれない。
今はまだそれでもいい。そもそもセバスが学園にいること自体が何かのバグでイレギュラー。
一分一秒でも長くセバスといられるなら文句は言わない。
「ありがとうセバス! やっぱりあなたが一番頼りになるわ!」
ぎゅっとセバスの手を握る。大きくて固い手。素敵な手。両手で掴んでぶんぶん振る。手を握れるだけで幸せ!
本当は抱きついて頬ずりしたい。スクショ撮りまくって印刷して部屋の壁という壁に貼りたい。が、そんな行動をしたらオタク要素0パーセントのオーちゃんがドン引きしそう。
スキップして寮の部屋に戻って、クローゼットを開ける。
クローゼット内の服を片っ端から自分に当てる。
テーブルで来週の授業の予習をしていたオーちゃんがびっくりしている。
「ど、どうしたのシュウちゃん。夕食が終わった途端ファッションショーをはじめて……」
「オーちゃん。殿方とのデートに向いている服はどれかしら。主にナイスミドルないぶし銀の隣に並んでも遜色のない服にしたいの」
「王子でも従兄でも先輩がたでもなくセバスさんなのね………」
若干呆れられつつ、デート(デートということにしておきたい)の服を選んで明日のためにお風呂に入って準備を整えた。