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小さな現代ディスタジー(Dystasy)  作者: ださいやさい
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原点復帰のための遠回り

「プロ( profes)(seure )ッサー・ミノ、この課題、難しすぎます」

「言っておくけど、最終課題がどんなに難しくても、個別指導はしないよ」

市立大学のある教室で、一人の男子学生が教授に懇願している。

「前年のパス率も10パーセント未満じゃないのですか?」

「それはあなたたち自身の能力が不足だから」



「この話を聞いたら、考えが変わってくれるのかなぁ。クーヴァン=レ=タンプリエの魔女騎士団は、今ではただの慈善団体にすぎません。ですけど200年前に、かつてこの街にいた魔王に匹敵するほど勢力のあった組織でした。そこでの一人の、仲間はずれにされた魔女が、魔女騎士団への復讐劇をテーマとして展開してもいいですか?プロフェッサー・モン( Monte)(necro  )クロ?」

「その名前を捨ててから100年以上経っているわよ。それって?100年前の魔女と同一人物と証明できれば、私を脅かしてくるの?」

カモン(C'mon)、教授、俺はこの単位だけ失ってはいけません。いい年しての留年は誰にも言いづらいことなんです」

「すまないが、お名前は?メモしておいて、期末の時にテスト用紙に可愛がってあげるよ」

「やった!ジャン=ルイ・ゲルマン、○○論2、継続教育クラスの」

「ゲルマン?まさか…」

「そう。魔女騎士団団長の本家の子孫の一人であります。モンテネクロの魔女に裏切られた話は我が家で言い続かれる物語でした」

「あら、そうだった?それでも加点はしないよ。魔女というのは感情を捨てた存在だ」

「信じない。きっと教授の人間の配偶者が寿命を向かって、教授が未亡人となったのだろう。その結婚指輪は証拠だ...」

「Grande gueule! 」

教授は表情を曇らせて言った。

このとき、男子学生の呼び出し機が鳴った。

「銀行から呼び出しがあったから、お先に」





モンタランベール銀行ゴードロー=レ・オーブレ支店。

「おそらくこれはただの老朽化ではない。誰かに切り離された痕跡があるよ」

ゲルマンさんが天井に懐中電灯を照らして言う。

「なんで僕を見つめてくる?ポスト魔導回線の維持工事に、天井を切る工具なんかないのよ」

「工事士のお嬢さんがやらかしたのと思わない。おそらくこの支店は結構下見された。この支店にある金庫や貸金庫を狙うことかも。下手したら、窃盗案件へ発展する可能性も否めない。だけど、セキュリティ会社の俺1人だけでここを封鎖するなんてできない。でも、警察にお願いしても、捜索令状を安易に下りてくれるとも思わない。」

「まさかこんな時間にこんなことにあうなんて、やっぱり残業はいいことなんかない」


「ミローばあちゃんなら警察にけっこう人脈を持っているけど。魔女は定年退職したあとでもかなり長生きから、きっと世界周遊にもしているのだろうか」

エレナさんはやるせないに見える顔で見上げながら言う。

「俺の(la )(formation)教育(continue)での教授も魔女だ。苗字がミノだけど」

「もしかしたら、シェレル・ミロー(Mireau)・ミノ?」

「キツネのお嬢さんも知り合っているのか。世界(C'est un )(monde )小さい(petit)だなぁ」

(la vieille) (femme)は長生きすぎただけだ」

「サービス残業は嫌だ…」

サンドラさんは勢いよく踏んで音を立てる。

「そんなに落ち込まないで、このチーズスティック、けっこうおいしいよ」

「それはレイトさんが救急車はいらぬいらぬって言って、差し入れとしてあげたのだから、別に私にくれなくてもいいわよ」

サンドラさんチーズスティックの袋をくれるオーレリーさんに手を振った。

「老婆に頭を下げる?俺も殺されかける以外は嫌だ」

「なんて?騎士魔女の孫だから?」

「なぜこんなことを知っている?」

「高校の時、連邦の歴史に、いつもAをとっていたから」

サンドラさんが握っているチーズスティックの袋を奪った。

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