同じ事を3·,5,7,11…度も繰り返し?
「あ、忘れた。これは勤務先に行く道だった」
ジャン・ジョレ広場の中心にある騎兵の銅像を見て、少女がぽんと自分の頭を打った。
「大学生の影も見かけないのだが…」
大きい紙に糸の束を粘って、騎兵の銅像の形に仕上げる大道芸人を見るフリーライターが戸惑った。
「そんなのを言わないで。ウビサンを思い出した?」
「Ubi sunt qui ante nos fuerunt(先人たちはどこへ行ったのか)。この古典文さえ知っていなければ作家失格だもの。だけどさ、銅像にナイフとフォークを向いてはいけないじゃない?」
「それは…もちろんカフェ行くわ。この街を散策しながら、目に映る歴史の長いものと口に入る歴史の長いものが交わっていたらなおさらだわ」
「連邦にもっとも稀でない一つは長-い歴史のある街だ。市街地の真ん中に教会堂やキャッセルがパッンと釘付けられていて、川沿いの道に行けばあちこちがバーで、運が良ければグネグネで駅に行けるんで…」
「運が悪ければ?」
「フェンスのない上水と下水が合流した用水路に転ぶ。そういえばおサイフ大好きなドラゴンは?」
2人は後ろに振り向いて見る。ドラゴン女がインスタントカメラを持って銅像と同じフレーム内に収まるように角度を繰り返して調整し自撮りしている観光客カップルに近づいた。そして、アコーディオンを弾いた大道芸人が急に演奏を止めて、駆けてドラゴンに巻落としのわざを使った。
「やっと見つけた!俺の金を返せ!」
広場の一角で青銅色の恰好してアコーディオンを演奏していた大道芸人がドラゴン娘のしっぽを掴んだ。
「はい、ランチタイムがおしまい。これは憲兵沙汰になるものね。ひとまずこの広場周りの日陰で涼しい場所を探そうか?」
「そうするわ。ところで、作家の姉ちゃん、冷や汗が出ているし、よだれのあとも茶色っぽくて、おなかの調子が整っていないのじゃないの?」
「あら、マドモアゼルにばれた?連邦鉄道に感謝するしかない。サイン挙げの人手を捻出してレールを叩いてくれたら、列車に乗って吐き気することもなかった。あ、憲兵さんが向こうから歩いてきた」
どの犯罪グループでも属しないドラゴンが、憲兵に厳重注意されてから、解放された。
「この子を恨む気持ちを10点満点で評価したらどのくらい?…10か…これでいい?私たちがこの子を再教育するから、今までごめんなさいね。」
フリーライターが小切手に2週間分の収入にあたる数字を書いて、小切手をちぎって、アコーディオンを弾いた大道芸人に渡した。
「…どうしてここまで?」
ドラゴンが、2人に顔を横に向けて、低語する。
「セシルさんもこのまましたら、私の父と同じところに住むことになるわよ」
「あなたの親に請求するつもりから。ついでに、あなたの私生活に介入研究して、叛逆期の青少年と親の関係に何かを書けると思っているのよ。でもマレシャル家の親子関係も興味深いね」
「自分、マレシャル家との縁が薄い…」
ドラゴンが頭を下げて、両手で顔を遮って、さらに自分のしっぽで腰をぐるっと巻いた。
「こうしたらどう?もう食事するまで解けてあげないわ。さて、みんなでこの辺りに一番近いランチタイムのある営業している店に行こう」
少女は勤務中にしか使わないヘアゴムをポケットから出して、ドラゴンの両手に手錠をかけるように付けた。




