表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/49

「ただいま」

 誰もいない家に帰るとホラーは言った。

「おかえり」

 影が言う。

 ろうそくに火を灯して家の中をほんの少しだけ明るくする。仕事道具のスコップを玄関にあるスコップ置き場に置く。背伸びをして冷蔵庫をあけて中に入っている水を飲んだ。相変わらず、すごく美味しい。(水が美味しいことは地下の唯一と言っていい自慢のできることだった)

「今度のお給料で新しいリボンが買いたい」

 大きな鏡の前で髪を解く。(鏡の中の自分の顔は無表情)

「ろうそく代は?」

「それくらいなんとかなるよ。……きっと」長い青色の髪を頭の上でまとめて、ベットまで移動する。

 ホラーの部屋には憧れのアイドルの大きなポスターが貼ってあった。そのポスターにそっとホラーはおやすみのキスをする。

 お風呂場で服を脱いで冷たい水のお風呂に入る。(小さい胸が少し気になる)

「気持ちいい。生き返る」窓の外は真っ暗でなにも見えない。(遠くて獣が鳴いている声だけが時折聞こえた。きっと、喧嘩でもしているのだろう)

 ホラーがお風呂にはいっている間に影が洗い物をしてくれている。お家での役割は当番制で今日は影が家事をやってくれる日だった。

「洗濯物ほかにある?」

「ない」

 元気な声で扉の外にいる影にホラーは言った。(白い陶器の湯船の中で、足を伸ばして、代わりに家事をやってもらって、まるで王様にでもなったような気分だった)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ