EP1-01 ダイアナ・ティターナ
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魔界という世界は、とても素敵な所。
魔法や魔術で溢れていて、素敵な魔女が沢山いて、とても平和な所。
…あえて一つ他の世界と比べて劣っているところを挙げるとすれば、この世界には夜しか存在しないってこと。けれど、私は夜しか無いこの静かな世界を気に入っている。
魔術の鍛錬をしていた私、ダイアナ・ティターナは、庭の真ん中でふと夜空を仰いだ。
雲ひとつ無くて今日は晴れている。魔界の沈むことのない「月」は、今日も輝いていてとても綺麗だ。
今日も月だけがただそこに輝いていて…
(あら…他になにか見えるけれど…)
そう思うや否や、紫色の何かが光の速さで動いているよう。いや、もしかしてこちらに向かって落ちている?
「うわわわわあああ!!落ちるうううう!!だれかーーーっ!!」
「えっ!?」
一体なにかと思ってよく見てみれば、それはこっちに向かって急降下してくる女の子!
「おねーさまーーっ!うけとめてくださいーーっ!」
「ロラ!?えっわっ分かったわ!」
しかもお姉様、と言って私の元に飛び込んできたのはなんと妹のアウロラ!
落ちてきたロラを慌てて抱きとめると、しゅんとしている可愛い妹がそこにはいた。
「もう、ロラ!まだロラには飛行は早いって言ったでしょ〜!」
少し涙目になっている可愛い妹を、そのままゆっくり地面に降ろしてあげた。まだ不満げな小さな彼女は、甲高い声をあげて私に抗議を始める。
「だって!おねえさまみたいに上手に魔術を使ってみたいんだもんー!」
まだ私の腰ほどの身長しかない小さなロラは、ぷくっと頬を膨らませて可愛く抗議している。
「でも、飛行魔術を習うのはまだ先よ?そういうのは学校に行ってから習うのよ〜」
「ロラもう四歳だよっ、学校いけるよ!」
…飛行魔術を四歳から練習し始めるだなんて、やっぱりロラはとんでもない向上心の塊。
本来、魔女は難しい魔術を試しだすのは10歳を超えたあたりだろうし、簡単な魔法ですら、もっと年上の魔女が手を出しだすものなのに。
私だって、魔術に手を出したのは六歳位の時だった。それに魔術を習うの学校に通えるのも、本当はまだまだ先の話。
「残念、学校に入れるのは13歳からよ!」
「ぅえー!?」
がーん、と効果音が聞こえてきそうなほどがっかりしているロラの顔を見て、思わずくすりと笑ってしまう。
向上心が高いのは良いこと…なんだけどね。
ロラにはまだまだ子供でいてほしいと思う気持ちと、その向上心を大事にしてほしいという思いがどちらも同じぐらい…
と、苦笑いをしながら思っていると。
「ダイアナー!レトナが呼んでいる!今こっちに来られるか?」
家の方からお父様の声が。お母様が私の鍛錬時間に私を呼び出すような用事…一つしか思い当たるものがないけれど。
「お父様!はーい!ロラ、もう勝手に中級魔術なんて使ったらダメよ!ね?」
「うーっ…」
ああー…この顔は、全然納得してない顔ね。
この様子だとまた飛行魔術を使いそうだけれど…仕方ないわ。とりあえず、お母様のもとに向かうことに決めた。
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【アウロラ Side】
おねえさま、行っちゃった。ロラはもーっとまじゅつのしゅぎょう頑張って、早くおねえさまみたいになりたいのに…
おねえさまみたいなすっごい魔女、ロラはおねえさまいがいしらないよ。
おねえさまはそんなことないって言ってたけど、おねえさまがぜったい魔界で一番だもん!
だからね、おねえさまならぜったい、「大魔女」になれるよ。おねえさまは大魔女になりたいから、もう十分すごいのにいっぱいしゅぎょうしてるの、ロラ知ってる。
⋯ロラもおねえさまみたいな、大魔女をめざせるくらいのすっごい魔女に…
「アウロラ、また飛行魔術の練習してたの?いくら姉さんみたいになりたいからって、勝手にやっちゃ危ないよ?」
お庭の木の後ろから下がりまゆで出てきたのは、ロラの五つ上のソールにい。
「ソールにいには関係ないもんっ!」
「…関係ない、かあ」
ソールにいには分かりっこないよ!ロラは本当におねえさまみたいなすごーい魔女になりたいのに〜!
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