第9話 「おしおき」
悪い子はメッ!
学校に着いてしばらくたったころ
「いやあ、今日はいい天気ですなあ」
「あい」
「すうぅ、怒ってますか?」
「あい?」
「すんませんでしたあああ」
「あい?」
あれあれ?あおいの様子がおかしいぞ?
なにかおかしなことでもありました?
「あおい、ちょっとそこに座りなさい」
「え?もう座ってるけど?」
「図が高いんじゃ、われぇ。それが反省しとるやつの態度か?」
「もみじがもう少し成長すればいいだけなんじゃ――」
「あ?」
「はい、すみません。正座します。」
ほんとにこの子はいちいち人のことをバカにするな。
今回ばかりはお前側に非があるんやぞ。ちょっとは気にせんかい。
「それより、あおいさんさあ、なんか言うことあるんじゃないの?」
「お母さまの料理楽しみにしててね」
「お前が作らんのか?」
「無理に決まってんじゃん。料理なんか生まれてこのかた17年包丁すら握ったことないわ」
開き直りやがった。
それはプライド的に大丈夫なんですか?
「さくらにそのこと伝えといてもいい?」
「うっ、ま、まあ、大丈夫よ」
内容をもろもろまとめてさくらに連絡するとすぐに返信が帰ってきた。
『やっぱりね。なんかおかしいと思ったんだよね。』
ですよねえ、思った通りの反応をしてくれてありがとう。
あおいにはこのことは黙っておいてやるか。
「ねえ、あおいさんや」
「なんだね、もみじさん」
「今日、体育あるのは知ってるよね?」
「それはもちろん」
「なにするか知ってる?」
「いえ、なにも」
「クラス対抗のサッカーなんだって」
「それが?」
「覚えとけよ?」
「 」
「それでは4時間目で」
なにがとは言わないが、今日は楽しい一日になりそうだ。
とはいえ、今日はそこまでがしんどいんだよな。
今日の時間割は、古典、生物基礎、現代文、体育、英語、世界史、といった感じです。
地獄です。こちらからは以上です。
と言いたいところだが、さすがに成績の悪い国語の時間に寝ると、担当の先生から
『今回のテストは平均点は確実にあるってことですよね。楽しみにしときます』
みたいなことを遠回しに言わずに、ストレートに言ってくるんだよね。
言われること理解してるのに寝るってことはありないよね。
――――――
はは、やっちまったぜ、生物基礎までは順調でした。
みんなの音読してる声が子守唄みたいになって寝ちゃった。
起きたら先生の視線がめちゃくちゃあつかった。
『そんなに見られても困ります』って言ったら、すごく怒られた。
絶賛お説教中です。
「三宅先生おはようございます。というより、こんにちは」
「田所さん、今から何いわれるかわかりますか?」
こちら国語担当の先生でもあり、担任でもある三宅そら先生です。
クラス替えは勿論あったけど3年間同じ先生です。
つまり、わたしのことを先生の中では一番理解しているのだ。
「いえ、まったくもって想像がつきません」
「中間テストがゴールデンウィークの前にあるの」
「はい、それは知ってますが、それがどうしたんです?」
「ゴールデンウィークがあけた次の週末には模試もあるの」
「その2つテストの国語で田所さんの自己ベストを更新してもらいます」
「え?」
「できなかったら卒業まで毎日わたしの補修を受けてもらいます」
「はい?」
「それでは、期待しています。次の体育遅れないでくださいね」
よ、余裕だけどね。そら先生のテストは簡単だから、うーん、まあ、何とかなるでしょ。
――――――
そんなこんなで、いろいろあり、楽しみにしていた体育が終わった。
「ぐす、そこまでしなくても」
「数の暴力を思い知りましたか?これがしてほしくなかったら分かりやすいウソをつかないことです」
この1時間で起きた事を説明しよう。
種目はサッカー、そして美少女たちの半袖半ズボン。
これはもう、やるしかないよね。
あおいを走らすと大概の女子は釘付けなわけです。
そして、あおいのもとにたくさん群がられる。
人に集まられることが苦手なあおいは私に助けを求めに来る。
しかし、それをスルーしたことで今の状況となります。
「もみじに一生ついていきます」
かくして、最強の仲間を手に入れた。
最強ではない