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第6話 「相棒」

打ち明ける時

「あの語彙力がオワコンのあのお姉ちゃんが?悪いことは言わないからやめとこ」


 妹よ、お前もか。

 私が中学になってから、テストの成績や、通知表なんかは見せたことがないはずなのに。

 それなのに、なんで姉の語彙力がオワコンなのを知っている。


「さ、さくら、なんでそのことをしっているのかな?」


「妹にはバレないと思った?よく考えてみてよ、

 新刊読んでるときのお姉ちゃん『かわいい』、『かっこいい』、『軽く死ねる』しか言ってないじゃん」


「そうなの?」

「そうなの。最近はマシになったほうだけど」


「でもまあ、あおいちゃんがいるなら大丈夫なんじゃないの?」

「なんで?」


「だって、私よりお姉ちゃんを知ってるのがあおいちゃんでしょ。

 お姉ちゃんが道を踏み外しそうになったら、すぐきづいて止めてくれるでしょ。

 だからあおいちゃんに安心して鞍上を任せられるんだよ」


「どういうこと?」

「はあ、自分で言いたくないけど、要するにさくらちゃんは私ならあんたの手綱(たづな)をがっちり握れるってこと」


「なるほどね。理解理解」


「つまりね、あおいちゃんはお姉ちゃんの道標なんだよ」

「そういうことね」


 やっと理解できた。競馬についてはちょっと詳しいわたしでも、急に『鞍上』とか、『手綱』なんか言われたときは何言ってるのか全然わからなかったけど、ついに理解した。

 でも、難しい理屈をつらつらと述べるより、簡単な言葉を何度も繰り返して言ったほうが良いってことだけさくらには言っておきたい。


 そのままの意味だった。


 鞍上はウマのことを理解していなければならい。

 そのウマも鞍上を信頼していなければ、全力では走れない。


 だから、私のことをすべて理解しているあおいだからこそ、私が自由で思うままにそのユメに向かって走ることができる。


 だからか、私が小説を書きたいと言ったあの日から、私を自由にさせていたのか。今日の昼だって、私が迷っているときに道を指し示してくれたのも、全部私のためだったのか。投げやりで、適当で、興味なんかほとんどないんだと思っていた。


「俺がアホですまなかった」

「10何年前から知ってる。でもね、わたしたちは―――」


 『大物になるんだから』


「ホントどこからわいてくるの、その自信」

「目標は大きくないと、さくらちゃんもそう思うよね?」

「うん!わたし2人の作品楽しみにしてるよ」


 妹に作ってもらったハンバーグと私が千切りにしたキャベツはあっという間になくなった。


「「「ごちそうさまでした」」」


「もうこんな時間。わたし帰らなきゃ」

「送っていくよ」

「彼氏か。てかすぐ近所でしょ」


「じゃあ、また明日」

「あおい、ちょっと待って」

「どうしたの?」


「私たち大人気作家と大人気イラストレーターになろうね」


 その瞬間私の中の小さな願い事が大きな夢に変わり、夢のスタートのしっぽを掴んだ。私たちの目的地はまだ見ぬ未来。月は輝き、何気ない日々を彩っていくように、2人でこれからの毎日を幸せの夢で描いていく。そして、想像を形にしていくんだ。



 これは作家に夢をみた少女とその夢を支える少女が成長していく物語

語彙力あげてこ!

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