第52話 「再始動2」
集えよ同士
ボールを横に流し、蹴りやすいところへと運び、決めたコースへシュートを叩き込み、ネットを揺らす。日常になかった感覚を、以前まで足に染み付いた感覚を、久しぶりに両足に宿した。
シュートの威力、コースの打ち分け方、ボールの回転のかけ方、およそ3年間のブランクを取りもどすにはまだ時間はかかりそうだ。全盛期はこれらを完璧に仕上げていた。
威力とコースは日々のフットサルで鍛えられているから、そのころより精度は上がっていた。だが、回転のかけ方は足から、感覚から抜け去っていた。
普通の人なら回転1つだけ抜けていてもどうとでもなるだろう。でも私には守備がダメダメだった。だからシュートでしか貢献できない。そのためにはこの3つが不可欠だった。自分の調子の良し悪しは関係ない。打ったシュートは全て決める。その気持ちの一心で練習していた。
だが、今はそんなことを考えなくていい。自分がしていて気持ちがいいことをしよう。
しかし、そんなことを言いつつも、目標が定まっていないとでは練習のモチベーションが高まらない。
そんなときに思ったのだ。
そうだ。試合にでよう、と。
思ったことは即実行する。
私の本心は試合で勝った喜びをもう一度、とここに来るときから思っていた。
一度ボールを蹴るのを中断して、中学の時に一緒に最後まで戦い抜いた、沙希と後輩たちがいるグループラインにメッセージを投下した。文面などまったく考えずにメッセージを入力した。
『もう一回試合でてえなあ』
すぐに誰かが確認したのを機にぼちぼちと既読がついていった。だが、誰からも返信は来ない。諦めるか、と思っていた矢先、一番最初に口を開いたのは同期の沙希からだった。
『いつ?それと場所どこ?』
『まだ調べてない』
『どっちにしろ、ごめんだけど私は無理だ』
『あっ、そっすか。みんなも参加可否だけでもお願い』
そのあとの会話は後輩の参加有無がどんどん流れていった。
久しぶりに先輩たちの会話の流れ見た。などと、私と沙希の2人だけの学年の会話を懐かしむ人が大勢だった。
沙希は今海外にいるとのことだったので、日本に帰ってきて一緒にプレーすることは難しい。せっかくの機会だから、一緒にできたらよかったのだが残念だ。
同期と一緒にプレーできないのは残念だったが、後輩メンバーは少ないが以外にも集まりそうだった。ほとんどのみんなは高校で所属している部活動が忙しいこともあり、都合が合わなかった。
最終的には私を含めてちょうど6人が集まれるとのこと。
6人でも出場できる大会がないか探し回ると、以外にも出場できる大会があった。公式でしっかりとした大会ではなく、個人で開いている大会だった。
6人で出られる大会が非公式なのは当たり前のことだ。なぜなら、本来のフットサルは5人だからだ。公式の大会でもよかったのだが、1人だけ休みになってしまうため、みんなで楽しめる非公式の大会を選んだ。
人数的にサッカーではなくフットサルになってしまったが、なんの問題もないだろう。むしろ、このほうが慣れていていいだろう。サッカーは沙希やみんなが予定が会う時にしよう。
今度みんなでサッカーをする時までに、落ち切っている体力を取り戻そう。90分走りきれる体力を持っておかないと迷惑をかけてしまう。
3年経過しても当時と変わらないプレーを見してやる。
楽しければ構わない




