第39話 「家族旅行3」
ホントの落ちない城は白旗城
「竹田城跡って山の頂にあるんだよ?もしかして知らなかったの?」
「知ってたし。知らない人いんの?」
やばい。小中の歴史ができないのがばれる。ま、まあ、私は世界史選択だから日本史ができなくて当然。知ってて当然のことを知らないってこんなに恥ずかしいんだ。
「今から行くけど、今見えてる山の一番上にいくからね?」
「がんばります」
姫路城を想像していた。姫路城とくらべものにならないくらい山の上にある。これだからやめられぬのだ!戦は!とよく言えたものだ。
私が世界史をしようとしたきっかけはお分かりの通り、某中国の戦国時代をモチーフにした漫画がきっかけである。まだ司馬遷が紀伝体で書いた史紀を読んだことがないからわからないけど、史実であるとよく耳にする。
「山登りは得意!わくわくしてきた」
「おねえちゃんってこういう攻略系好きだよね」
「大好き」
「レベルアップしてからジムリーダー倒しに行くのとかも好きだよね」
「あれだけは時間が何時間もあってもたりないね」
「こどものころにそれしてたら脳の形がしてない人と違うんだって」
「それってつまり他より賢いってこと?」
「自惚れんのも大概にしとけよ」
おっと、妹から一瞬中の人が見え隠れした気がする。さくらが怒ったところを私は見たことがないけど、すごく怖そうなのは今ので分かった。
登り始めた一行だったが、さくらがもみじにとって致命的なことを口にする。運動中のもみじは普段よりも思考力が一段と落ちることをお知らせします。
「雲海を見れたらよかったのにね」
「え?」
「『え?』って雲海は早朝しか見られないよ。しかも今4月だよ?夜がよく冷えたときに見えるんだよ」
「そうだっけ?」
「夜冷えて、夜の天気が良くて放射冷却が起きなきゃ見えないんだよ?」
「そうなんだ」
「お姉ちゃんこういうの好きじゃなかったけ?」
気圧が下がって息が吸いにくい。こんなに運動能力低かったか?自分が自分を疑い始める。さくらが何か言っているがそんなことを聞く余裕はない。
「お姉ちゃん初っ端から飛ばしすぎだよ」
その一言で我に返った。登ってきた軌跡がよくわかる。雲海がでていたらどうなったのだろうと思わす絶景。日本の偉人たちだけでなく、そこに暮らしていた人たちがどうやってここに城を立てたのか。そんなことを考えさせる景色だった。
「受験の前にもう一回こよっか」
「お姉ちゃんがそんなことを言うとは珍しい」
「落ちない」
「私たちの必勝祈願はここか。めっちゃ合ってるね」
竹田城は民衆たちの努力で、私たちは自分の力を信じて戦いぬこう。努力は決して無駄にならない。ここにあったお城が物語っている。
「そろそろ下りてご飯食べに行く?」
「ゆっくりおりて登ってる時なにも見れなかったから」
「わかってます」
「私結構の速さで登ってた?」
「普通1時間かからないところを25分くらいだから早いんじゃない?途中までバスとかタクシーが来てたの覚えてないの?」
「記憶にございません」
「だろうね」
「ちょっとくだって見るとすごい積み上げ」
積み上げで思い出した。サクラダファミリアも私が世界史を学ぼうと思った建物でもある。1882年から着工したサクラダファミリアは2024年4月現在、彼は役140年間かけてもまだ、私たちに真の姿を見せずにいる。写真でしか見たことがないが、写真一枚であれほどの魅力を持った建物は他にないと思う。
ここも負けてないけどね。
「じゃあ、さくら勝負しよう」
「嫌な予感がするのは私だけじゃないはず」
「ここから駅まで勝負!」
「やっぱりそうなるか」
「あんた陸上部なんでしょ。姉のすごさをわからせてやる」
「負けたら罰ゲームね」
「それはないね。だって勝つから」
こうして私たちはお蕎麦に向けてお腹を空かせるのだった。
今度は 姉 VS 妹




