表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/55

第20話 「介護」

なにこれ?

 現在わたしとあおいの2人はどこにいるでしょうか?


 正解は校長室です。みんなあてられたかな?

 悲しいな...目立つことなんて1つもしてないのにな。



 事の発端は数時間前、いやさかのぼること一時間前である。

 わたしはくだらない何かの授業の時間帯いつものように爆睡をかましていた。しかし、ふと目を覚まして授業を受けようと、寝たりない目をこすりながら黒板を見たところ『祝!田所さん校長室行き!』と垂れ幕のように書かれていた。



 その時のクラスの雰囲気はカタールで行われたワールドカップで日本がグループリーグを1位で抜けたときのような盛り上がりだった。



 え?深夜にやっていて生で見たから次の日はおつやみたいだっただろって?

 正解


 うーん、他で例えるとするならWBCで日本が優勝した時みたい。私達の学校では決勝戦、いや準決勝から授業をやめてみんなで応援したからね。

 野球をしたことがないわたしはというと何が起こっているのか1つもわからなかった。でも、ボールは友達だからね。


 いかんいかん話が脱線してしまった。


 担任の先生であるそら先生になぜ呼ばれたのか理由を聞いたが先生も知らないらしい。

 担任にも内容を話さない校長ってどうなの?と思ったでしょう?

 わたしも思いました。だからそら先生に校長がどんな人か聞いてみた。

 子いわく、『とにかくやさしい』らしい。だから、そんなにかしこまる必要はないらしい。


 始めはその日の放課後は補修があるから逃げようとしたが詰めが甘かった。だってそら先生本人がそのことを知っているんだもん。そりゃ校長優先になるよね。


 腹をくくりあおいと共に行こうと、彼女の教室をのぞいてみると同じことが起こっていた。彼女が言い逃れしようとしていた時にわたしがちょうどのぞいたらしく、彼女はすんなりと言い逃れを辞めた。

 成長したんだね、と物思いにふけっていると殴られた。まだ悪い事してないのにね。


 彼女と合流し校長室に着き、2人でそわそわしていると背後から校長先生が登場し、中に招かれたというわけです。


 ――――――


「ごくろう」

「あんたが言うことじゃないでしょ!よく校長先生なのにそんなことできるね、

 それだからいつまでたっても小さいままなんじゃないの?」

「小さい?どこを見て言っているのだね?デカいやろ!!」

「その度胸は認めてやろう」


 認められちゃった。友達、いやマブダチに。わたしは日本の首相であれ、アメリカの大統領であれ、誰であってもこの態度で突き通すけどね。(ただし、天皇陛下御一行は除く)


 ちらりと校長の顔色を窺ってみた。ニコニコしていた。

 そこで私はこの人なら何でも許されると思い、脳内で何かがはじける音がした。


 そうだね。脊髄で会話しろってことだね。


 あおいは今日私たちがなぜ呼び出されたのか理由を聞き始めた。


「どうして今日はこんなところにお呼ばれされたのでしょうか」


「校長室では不満だったということか、あおいィ!それはどういう意味じゃ!」


「話が進まないからあんたは話さないで!」


 起こられた。校長先生じゃない人に。この場で一番権力がない人に怒られた。

 いつもならここで折れていただろう。しかし、今日のわたしは違っていた。

 ここまで校長は『中にどうぞ』の一言しか話してないということだけ伝えておきます。


「それはわたしに人としての権利がないってことなのか?

 ああ、ひどい。ついにここまで言われてしまうとは」


「ホントに黙っててくれない?」

「はやく謝ってくれないかな?『ごめんなさい』が言えない子に育てた覚えはありません!」


 そろそろ、校長先生喋ってもらってもいいんだよ?


「君たちを見ていると私の孫を思い出すよ」


 喋った!ついに校長が口をお開きになられたぞ!


「あの子たちは石川に住んでいてね、ここ数年顔を合わせていなくてね」

「あっそ」

「もみじ口が悪うございます」


「いいんだよ、君たちは私の孫みたいなものさ」


 ホントにこの校長先生優しいな。そら先生が言った通りだ。なんか私たちが校長の孫の代わりとして呼ばれた気がする。


「そこで君たちに孫の姿を見てきてほしいんだが」

「なんで知らないやつの孫の顔をみなきゃいけないんですか?」


「あの子たちに嫌われたんじゃないかってね、そう思うようになってきたんだよ。

 お盆や正月に帰って来ると思っていたがなかなか顔を見せてくれなくてね、

 思い返せばあの子たちが9歳のころから7年間みていなくてね」


「実際に嫌いって言われたんですか?」

「言われてはいないが、言われたのも同然だろう」


(もみじ、このじじい相当めんどくさいぞ)

(気付くの遅すぎ。私をもっと見習え)

(そのことそら先生から聞いてたな?)

(敵情報を仕入れるのは当たり前なんだよなあ)


(正論ぶちかましてさっさと帰ろう。今日は補修もないし)

(わかったイイ感じにフォローするからやっちゃいなさいもみじ!)


 ということでこの拗らせた野郎に正論パンチを食らわせてやろうと思います。


「じゃあ、もう自分から合いに行けよ」

「え?」


「さっきからめんどくさいです。

 そんなに孫がみたいなら自分からいけって言ってるんです。

 私達がその代わりをするってじじい失格ですね。」


「孫が待ってるかもしれないのにね」

「だが、もし嫌われていたら」

「じいちゃんのことを嫌いになる孫がどこにいるんよ」


「「ひよりすぎ」」


「そうか。目が覚めたよ。明日会いに行ってくるよ」

「それと、橘さんをよろしく」


「「めんどいんじゃボケェ!」」


「でも、今日はこんな爺さんに付き合ってもらって悪かったね。

 先日から君たちに支えてもらってばっかりだ。

 いづれこの恩は返そう!」


「では私たちはこれで」

「失礼します」


 え、私たちこんなくだらんことで呼び出されたの?

 ただ数分老人の介護するために来さされたの?


 それに応じた給料ぐらいは出さんかい!  

ホントなにこれ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ