第15話 「今まで」
布教したい!
高校に入学してから私は、いや、わたし達はずっと2人でいる。
それは入学する前にあった出来事が関係している。
厳密にいうと、本来ならわたし達この高校にいるのではないのだ。
つまり、わたし達のもう1人の友達である人物がこの場所にいるべきなのだ。
その人物こそ、橘ひかりなのだ。
ひかりはわたし達をオタクの道に引きずり込んだ第1人者なのだ。
――――――
わたしが小学3年生の時、退屈な休み時間を過ごしているときに早口で読んでいた本を語り始めたのだ。
彼女は誰も聞いていないと思ったのだろう。しかし、トイレから帰還したわたしにばったりと聞かれてしまったのである。
「面白そうな本よんでるんだね。わたしには気にしなくて大丈夫ですから」
「いいところにきましたね田所さん。―――
なんていってられるかあ!どこから聞いてたんですか?」
「どこからって、みんながいなくなった瞬間から橘さんが1人で急にはなしだしたとこから」
「はじめから聞かれてたんですか//このことはみんなに黙っててもらっても大丈夫ですか?」
「え?無理だけど。だって、あおいも隣で聞いてたし、ねえ?」
「ぶっちゃけると、キモイ」
「グハァ!」
「でも、面白そうなの読んでるんだね。わたし達に聞かせてほしい」
ここから先はひかりによるアニメの熱弁が始まり、わたし達を沼に引きずり込んでいった。
しかし、問題が起きたのは中学校生活最後の夏だったのだ。
中学3年の夏といえば、受験勉強真っ只中である。
その中で行われる文化祭は全員が文化祭を全力で楽しもうと団結していた。
ひかりだけはちがった。みんなが準備を頑張っていた時彼女だけ勉強していた。
勉強することはよかった。しかし、文化祭当日、彼女は最後の最後に重要な火元の確認を怠ったのだ。楽しい文化祭が幕が閉じようとしていたその瞬間、消防車のサイレンが近くなってきているのが体育館にいたすべての生徒がおもっていた。
案の定その火はほかのクラスの模擬店にも引火しており、大惨事になった。
売上のランキングで一位ということがすでに発表されており、クラスの雰囲気は微妙だった。
その中で第一声を発したのが彼女だった。
「優勝したんだし、まずはそのことを喜ぼうよ」
和ませようと思ったのだが、それが一気にほかの人たちをいら立たせていた。
「1番貢献してないやつが何言ってんだよ」「この状況で楽しめるやついるのかよ」「一番に出てくる言葉がそれかよ」「謝らないとか神経いかれてるでしょ」「来年から出来ないのに笑えねえよ」
こういった言葉が次第に彼女を縛るようになり、結局は不登校になってしまった。
――――――
これがわたし達の消し去りたい忌々しい過去である。
わたし達が彼女を文化祭に誘ったのはこの事件に終止符をつけるためである。
彼女もわたし達の意図を理解して今度の土曜日に文化祭にくるのだろう。
逃げられないのなら腹くくれ!




