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第1話 「出発地点1」

小説家に憧れた少女とイラストレーターに憧れた少女の物語


「もみじ帰るよ」

「あ、うん」

「最近のもみじなんか変だよ」

「そんなことないよ」


 わたし田所もみじと長谷川あおいが一緒に帰るのはいつものことだった。


「絶対ウソ。だって、もみじが隠し事してるときずっと初めが『あ、』からだもん。それで、なに考えてたの?」

「なんでそれを知ってんの?でもまあ、隠しててもなんだから言うけど、

 わたし小説を書きたいと思うんだけど」

「え、あの現代文のテストで最下位のあのもみじさんが?悪いこと言わないからやめとこ」


 そう。わたしは致命的に国語ができないのだ。だって、”筆者の気持ちを本文中から抜き出せ”って難しくない?字数があふれるんだよ?しかも、”本文中の言葉を使って説明しなさい”なんて言葉をしっかり補って説明したのに1点もくれずにバツだし、授業なんかわたしの答えが絶対に違ってるからあててくれないんだよ。それをわかってあおいは止めてくるのだ。



「うるさいなあ。あおいだって、数学最下位でしょ。」


「それとこれとはまた話がべつ。小説なんてみんなに読まれるでしょ。

 もみじが語彙力ないのが世界中に広まるんだよ。

 だから私はそうならないように言ってるの。」


「だったら、あおいが私の先生になってよ。国語の模試で1位のあおいが添削してくれるならわたしの醜態が世間にバレずにすむ」


「え?無理だけど」


 なにがいけなかったんだろ。やっぱり、数学で煽っちゃったからかな。でも、数学で1位だからしょうがないよね。言われたら言い返すのが人の性質(さが)だし。国語より数学のほうが断然簡単なのに。なんでできないんだろ?これをいったら何故かあおいがブチ切れて大喧嘩になるから言わないけど。


「お給料のほうはしっかりと払わせてもらうよ!」

「それなら、考え_______」

「数学教えるよ!」

「やっぱ無理」

「わたしもあおいも勉強できて一石二鳥でしょ?どこに不満が?お金だったら無理だよ。今月はいろいろとつかっちゃって」


「それだよ!」


 なんだよ現金かよ。現代人だな。人情ってやつはないんか、こいつには。


「今月はラノベの続編がめっちゃでるんですよ。それをお給料には?」

「それ、全部わたしが布教したのだから買ったら貸してあげるよ」

「うーーーーん、うーーーーん、わかった。今回ばかりはそれで手を打ってやろう」


 ちょろいな。昨日の帰りにあおいの好きなおかしとちょっと高めなアイスを奢っておいてよかったぜ。でも、普段のあおいなら絶対にこんなのではのってこないのに今回はすんなりと受け入れてくれた。


「やるからには目指すは大賞よ!それで、その賞金で____えへへ」


 ちょっと待って。なにこの子なんかニヤニヤしてるんですけど。こんなにキモイあおい見たことない。あれこんな友達というか幼なじみいた記憶がないんだけど。それより大賞って何?賞金?


「ね、ねえ大賞ってなんのこと?」

「え、小説ってネットで書くんじゃないの?」

「ネット?400字詰めの原稿用紙に書いて東京の出版会社におくるんじゃないの?」

「もしかして高校2年にもなって小説投稿サイトがあるの知らないわけないよね。

 知らないから意味不明なことを言うのね。」

「なんでいちいち人を煽るんじゃい。心のノートもう一回読んでこい」

「心のノートなんかいう意味不明な参考書のことより、サイトのことよ」


 心のノートをバカにすんじゃねえよ。道徳の教科書やぞ。一番大切な教科の教科書やぞ。たしかに心のノートを真面目に読んだことはないけどさ。あれを真面目に読んだ人なんかいるの?

 それよりサイトのことだ。


「まさかこんな身近にいるオタクがこのことを知らないなんてこの世の終わりね」

「あおいは知ってるでしょ、わたしがれっきとしたアナログ人間てこと」

「今の時代の高校生がスマホを携帯してないなんてどうなってんの?友達と連絡するときどうしてるの?」

「安心したまえ。学校まで自転車で5分。そして何よりも友達はあおいしかいないわ」

「あなたのぼっち情報はどうでもいいわ」


 人に言わせておいてこの扱い。あおい、お前って子はよくわたしのことを理解していやがる。じゃあなんで聞いたんだよ。


「サイトっていうのはネットに書き込んでそれをオタクに読んでもらうの」

「なるほど。それなら簡単だね。わたしマイPC持ってるし」

「そう。書くのは簡単なの。でも、継続して書くことが難しいのよ。

 あんたこういうの無理でしょ?」

「決めつけんな。ゼロではないやろ」

「はいはい、確率はゼロではないって言いたいのね。忍耐力があるもみじならいけると思うわ。頑張って」


 うっ、数手先を読んでいるとでもいうのか。しかし、忍耐力があるというのは間違いではない。なぜなら、わたしは高校までサッカーをしていた。なんといっても、小学から中学2年の夏までベンチを温め続けたのだ。そのかいもあってか、先輩たちが引退して最初の公式戦で爆発したのである。結果?もちろん、ボロ負けだよ。察しろよ!


「じゃあ早速帰ったら登録してやってみるよ。ありがと」

「うん、また明日ね」


 よし!明日から頑張ってみるか。

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気長に二人の成長を見守ってもらえると幸いです。

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