絶対にしなかった
そして俺は皇帝陛下へ再度頭を下げ、土下座のような格好で告げる。
「マリーの身体を回復させる方法を教えてくださいっ!」
俺のせいで人生を狂わされ、そして命までも危ない状態になってしまった少女。
であれば、それを俺が救うのが一人の人間として当然であろう。
それに、ここで俺が救わなければ、きっと俺は一生後悔するであろうし、一生自分自身を許すことはできず行く事になるだろう。
むしろ、マリーを助ける事により、俺はようやっと、未熟ながらも一人の人間になれるような気がしたのだ。
「マリーの身体を治す方法……其方は今そう申したのか?」
「はいっ! 間違いありませんっ!」
「……ふむ。 その感じから見て、其方は既に出来る事全ては一応試しているみたいだな」
そう言う皇帝陛下の言うとおり、俺はマリーが気絶していた間、金に糸目を付けず、できることは全て試していた。
それこそ回復魔術からポーションは勿論、東大陸から伝わったとされる呪術の類も全て試してみたのだ。
しかしながらどれもマリーの身体を完治させるどころか全くと言っていいほど効果は見られず、今に至り、残すは皇帝陛下ならばマリーの身体の事について俺の知らない知識を持っているのではないかと思ったからである。
そもそも、自分で言うのも何だが次期皇帝陛下となるであろう人物の妃となるべくマリーは俺の婚約者となったのである。
にもかかわらず、子供を産めるかも怪しい病弱な女性を婚約者にするはずがないではないか。
なぜ今までその事に気づけなかったのかと、少し考えればそのおかしな事にわかる筈ではないかと過去の愚かな自分を再確認すると同時に、もしかしたらマリーの身体を治せる何かがあるからこそ婚約者にしたのではないかという小さな希望も見えた。
そうなれば、万策尽きた俺がやるべき事など決まっている。
皇帝陛下に頭を下げ、教えをこう。 それだけだ。
「はいっ! 分かりうる全ての方法を試してみましたが、その全てが無駄に終わり、この私の婚約者としてマリーを選んだ皇帝陛下ならば何か知っているのではないかと思い、無理を言って本日この場を作っていただきましたっ!」
頭を床に擦り付け、教えを請う。
少し前までの俺ならば、それがたとえ父上相手でも、そしてどんな理由であれこのような事は絶対にしなかった。
しなければ多大なデメリットがあるのだとしても、俺はしなかったであろう。
「成る程。 では、其方は我に何を与えることができる? 申してみよ」




