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プロローグ

目が覚めると知らない天井であった。


周囲を見渡せば当然のごとく知らない部屋の中に私はいた。


部屋の中の調度品が一目見ただけで高級だと分かる物ばかりであるし、作りも今風ではない。


どちらかと言えば中世ヨーロッパの貴族の一室と言われた方がしっくりくるのだが、そもそもわたくしは産まれも育ちも日本人である。


当然のことながらこのような部屋で住めるだけの財力も持っていない。


いったい何故わたくしが今ここにいるのか思い出すためにわたくしは前日の行動を思い出そうとした瞬間、わたくしとは違うもう一人の記憶が一気に雪崩れ込んできた。


「……………………前世のわたくしは仕事帰りに交通事故に合い、そして何故か前世でやり込んだ乙女ゲーム『永遠のラビリンス』の悪役令嬢キャラクターであるマリー・ゴールドに転生していて、さらに今更前世の記憶を思い出した」


とりあえず泥酔からの見知らぬ男性にお持ち帰りされてラブホテルで目覚めたとかいう今まで予想していた不安などどうでもよく思えるくらいの衝撃が私の中を駆け巡っていくと共に心底思わざるをえない。


なんで今さら前世の記憶を思い出したのか、と。


今までの、マリー・ゴールドの記憶が正しければ今日行われるパーティーは建国を祝うパーティーであり、私それは前世の私の記憶が正しければ婚約者であるカイザル・ドミナリア殿下から一方的に婚約破棄を告げられるからである。


だから今更なのだ。


今更前世の記憶を思い出した所でどうにもできない。


足掻くこともできず、ただ断罪されるだけの運命。


しかしながらわたくしはこの乙女ゲーム『永遠のラビリンス』のヒロインであるスフィア・エドワーズへ確かに嫌がらせの様な事をしたのだが、だからと言って婚約破棄を、それも公衆の面前で恥をかかせられる様なされ方で告げられる様な事は一切やっていない。


あの場でカイザル殿下が告げる私が行った罪の数々は本来であれば、元々カイザル殿下と男爵家長女であるスフィアが仲良くする光景を見て嫉妬した私ではない令嬢達であり、殿下ともあろうお方が下級貴族の令嬢と仲睦まじく過ごしていればどうなるかという想像もできず、その対策もして来なかったカイザル殿下自身が招いた結果としか言いようがない。


それら全てをわたくしのせいにして、更にあの様な婚約破棄をこれからされるのだと思うと無性に腹が立ってきた。


しかしだからと言って最早どうする事も出来ないのが余計に腹が立つ。


そして、わたくしの抱える問題はそれだけではなかった。


むしろこの問題があるからこそわたくしはヒロインであるスフィアへとちょっかいをかけていたのである。

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