7話
今回は短めです。
玄関を過ぎてリビングに入ると、家族はいつものように食事をしていた。
相変わらずそこに僕の席はない。
たけど、何故か僕はそんなことは気にならなかった。
自分でも驚くくらい心が落ち着いていたのだ。
僕は一体どうなってしまったのだろうかと思ったが昨日、心の中のもやもやを吐き出したり、僕を理解してくれる人が増えたのが原因なのかもしれない。
しばらくリビングの入ったところで待つと、僕の父が立ち上がり、それを合図にするかのようにお母さん、二人の兄が立ち上がる。
今日はおじいちゃんもいるので、兄達は僕を呼ぶことは無かった。
僕は家族がリビングから出ていくのを確認すると、部屋の外で隠れながら待っているシャナをリビングに入れた。
おじいちゃん以外の家族には、伝えたらとても面倒臭いことになるかもしれないので、シャナのことは伝えていない。
僕がシャナを席に座らせると、おじいちゃんは台所へと向かった。
「シャナちゃん、ユーリス。朝は何が食べたい?」
「僕はパンとスープでいいや」
「ん………クッキー………」
「シャナ、それはおやつだよ。今は朝ごはんだからね」
「む……じゃあ、ユーリスと同じのでいい」
シャナは少し不満げにそう言った。
「二人ともパンとスープじゃな?スープは今から作るから、ユーリスはパンを儂の分も一緒に用意してくれ。シャナちゃんはしばらく待ってなさい」
「はーい」
「………ん」
僕は台所の横にある部屋に入ると、奥にある箱の中からパンを三切れ取り出し、リビングの机に並べた。
「ありがとう」
「いいよ。そういえば、シャナって旅の間は何を食べていたの?」
「出店で売られているものとか、魔力とかいろいろ」
「へぇ〜、精霊って魔力を食べられるんだね。お金は大丈夫だったの?」
「うん、村を出る時に沢山貰った。でも、もうない………」
「大丈夫だよ、これからは僕が一緒にいるから。だから、その、よろしくね」
改めて言うと恥ずかしい気持ちになる。
そしてシャナは、
「ん、よろしく」
そう言って微笑んだ。、
僕達がしばらく談笑をしていると、朝ごはんがきた。
「ほれ、待たせたの」
「ありがとう。おじいちゃん」
「ありがとう……ございます」
「シャナちゃんや、今更敬語なんて使わなくても構わんぞ?」
「ん、わかった」
そして僕達は目の前の料理に手をつけたのだった。
受験があるのでしばらく投稿日が空くことが増えます。