3話
~???視点~
「ここにも、いなかった」
そう呟きながら、私は森の中を歩いていた。
とある力を持つ人を探していた。
それが、村の掟だったから。
だけど、あの街には誰一人としていなかった。
私が探している人が。
もうここに用はない。
また別の場所を探そう。
ぐきゅるるるううぅぅぅーー
……………それはさておき、
「お腹、すいた」
私が、この前訪れた村で食事をしてから、今日まで何も口に入れていない。
何か食べないと倒れてしまいそうだ。
しかし、私にはお金がもうなかった。
「誰か、優しい人、いないかな」
このままでは行き倒れてしまう。
それだけは嫌だった。
空腹と戦いながら歩いていると、とある広場に出た。
見たところ小さな草原という感じだ。
しかし、そこに人の姿はなかった…………残念。
だが、ひとつ気になることがあった。
「これは、魔力の残滓?」
ここでなにか魔法が使われたのだろうか。
だが、今の私には非常食以外の何でもなかった。
「この量なら、あと一日はもつかな……」
そして私はこの辺に漂っている魔力の残滓を摂取すると、また歩き始めた。
しかし、結局私はその途中で倒れることになった。
「なにアレ、魔力の残滓にしても質が悪すぎ……。全然満たされなかった」
多分、さっきの広場で使われたであろう魔法の質が悪かったのだろう。
そもそも、私達は魔力を摂取して生きられるようにはなってない。
私たちがエネルギーを取るには食事をするか、とある力を吸収しないといけない。
それが理由のひとつでもあるのかもしれない。
そんなことより、このままだと本当に行き倒れてしまう。
「もう、ダメ…………」
その後、結局見つかることはなくその場で意識を失ってしまった。
「あの、大丈夫ですか?」
!?
その声で私の意識は一気に覚醒した。
こんな所に人がいるなんて思いもしなかった。
私は声の主へ顔を向けるとそこには、金髪碧眼の男の子がいた。
まだ幼い見た目なのに、その目はまるで何かを諦めたような……………ん?ていうかこの子って…………まさか!
「……………やっと、見つけた」
私はやっと、見つけたのだ。
私と契約するにふさわしい力を持つ人に………
「え、それってどういう…………」
ぐきゅるるるううぅぅぅーー
「…………お腹、すいた」
「え、えっと、僕の家に来ますか?」
!?
「いいの?」
「えっと、その、僕いま家に帰るところなので」
「ありがとう」
「じゃあ、行こうか」
まずは腹ごしらえをしないと、うん。
この人が優しい人でよかった。
こうして私は、探していた人と共に彼の家へと向かうのだった。
*******
~ユーリス視点~
僕はキアラと別れ、家に帰るところだった。
キアラがさっきのように傷を治してくれたのは勿論、今回が初めてではない。
いままでも、ギース達に負わされた傷は全てキアラが治してくれた。
もしキアラがいなかったら、僕は今頃大変なことになっていたかもしれない。
キアラがいることに改めて感謝しなきゃな。
「…………ん?なんだろう、アレ」
家まであと少しのとこまで来た時、道端に何かが倒れているのを見つけた。
近づいて見てみると、それは女の子だった。
そして僕より少し歳上に見えた。
辺りを見渡すが僕とこの女の子以外、人らしき影はなかった。
「どうしたんだろう……」
とりあえずこのまま放置はまずいので、生きているか確認をすることにした。
「あの、大丈夫ですか?」
するとその女の子は目を覚ました。
改めて見るとすごく綺麗な人だな。
白に近い水色の髪を肩まで伸ばし、髪と同じ水色をした目は少しおっとりしていて、僕より少し歳上な見た目に反してすごく大人っぽくてまるで、おじいちゃんから聞いたおとぎ話に出てくる女神様みたいな……………ってそうじゃなくて!
「……………やっと、見つけた」
?
やっと見つけたって一体、この子は何を言っているんだろう?
「え、それってどういうーーー」
ぐきゅるるるううぅぅぅーー
「……………お腹、すいた」
あぁ、この子はお腹がすいているのか。
だからという訳では無いけど、この子がさっき言った意味も知りたいし、ひとまずは昼ごはんを食べに帰ろう。
「え、えっと、僕の家に来ますか?」
「いいの?」
「えっと、その、僕いま家に帰るところなので」
「ありがとう」
「じゃあ、行こうか」
こうして僕は、森の中で出会った謎の女の子と共に家へと向かうのだった。