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10話

あけましておめでとうございます。





「それじゃあ、ステータスのことも教えたし、今度こそ攻撃魔法を教える…………私、何か教え忘れてることない………よね?」


「だ、大丈夫だと思うよ……多分」


さっきのこともあってか、シャナはちょっと不安になっていた。


そして僕も大して自信がないので曖昧な返事しか返せない。


「攻撃魔法を使うのに必要なのは精霊力とイメージする力の二つ。例えば、火属性の魔法を使いたい時は頭の中で火を、水属性の魔法を使いたいなら水をイメージする。そしてイメージしたのを精霊力を使って発動させるというのが、攻撃魔法。それじゃあ、やってみてまずは初級魔法から」


「うん。やってみる」


僕は頭の中で火に関するものを浮かべてみた。


やっぱり火といえばロウソクかキッチンの魔道コンロしか思いつかない。


魔道コンロとは魔道具のひとつで、呪文一つで火が出る。


そしてその火で、料理ができるものだ。


「火に関するものをイメージできたら、手の平に精霊力を込めて『精霊の力よ、火となりて我が手にちからを!ファイアボール!』って唱える。やってみて」


「う、うん。わかった」


詠唱を唱えている時のシャナがとても真剣で気圧されてしまった僕がいた。


「ふぅ……『精霊の力よ、火となりて我が手にちからを!ファイアボール!』」


すると、僕の手から小さい石ころの大きさの火が出た。


「ユーリス、それを投げてみて」


「こ、こう、かな?」


僕は近くにあった岩に手のひらの火を投げる動作をした。


するとその火は僕の手から離れ、見事狙っていた岩に直撃した。


岩には当たった場所に少し焦げた跡が残っていた。


「おぉ〜。おぉ〜!これが魔法……!」


「ん、ユーリス、一発でできるなんてすごい」


「そ、そうかな?えへへ……」


シャナに褒められたのと魔法が使えたことで、僕は凄く嬉しかった。それこそ、目を星の形にしてキラキラするくらいには。


「やっぱりユーリスは天才。さっきもすぐに精霊力を扱うことができた。この調子で、他の魔法もやる」


「うん!」






この後、僕は他の七属性の初級魔法も無事に使うことができた。


他の属性の魔法も使えたことで、僕のテンションは限界をぶち破っていた。


そして結局、一日中魔法を使うことに費やした。とても満足した。





*****





「………ロキ。ヒロキ!起きてってば!」


雫玖の声で俺は目を覚ました。


「ん……なんだよ、中村」


「何って、今修学旅行のグループを作ってるんじゃない。覚えてないの?」


「あ〜それは悪い。今はどんな感じなんだ?」


現在俺たちは、月末にある遠足のグループ分けを行っていた。


クラス内はほぼ自由時間ということもあって騒がしかった。


「もう大体は決まったよ。あとは余った人がどうするかというだけ」


「んで、その中に俺も含まれてるってことか?」


「そういうこと。そして入れるところが私たちのグループと、あそこのグループ」


そう言って雫玖が指さした方を見ると、そこにはいかにもオタクって感じの人達が集まっているグループがあった……


「………中村のグループにしときます」


まぁ、他のがどんな感じだろうと、俺は雫玖のグループに入る予定だったが(キリッ)。


「よろしい!じゃあヒロキも入れてちょうど4人だね!」


「このグループには誰がいるんだ?」


「ちーちゃんとゆーいちだけど?」


何となく察していたが、その通りだったようだ。


俺と雫玖と雄一と川上は、小学校の頃から同じ学校に通っている。クラスは違うことはあったが。


そしてそのせいか、自分含むこの4人は常に一緒にいる仲となっている。


「おっけーわかった。じゃあ寝るわ」


「ちょっと!もう寝るの!?」


「だって眠いんだから、寝るしかないじゃん?」


「ダメだってば!この後石橋先生の授業なんだよ?」


「うっわ、最悪。じゃあ寝れないじゃん」


石橋先生、怖い先生。以上。


「だからやめておいた方がいいよ」


「全く。弘樹は相変わらずだな」


そう言って近づいてきたのは雄一だった。


「ついこの前リア充になったお前にはなんと言われようと関係ないね」


「別にいいじゃないか。あとリア充は関係ないだろ」


雄一はこの前、雫玖の手引きで川上と付き合い始めた。


お互い意識していたのに踏み出せなかったのを、雫玖が後押ししたのだ。


「ほんと、お前たちの関係が羨ましいよ」


「そう言うくらいなら弘樹も彼女の一人くらい作ってみたらどうなんだ?」


「お前みたいな感じなら簡単に作れたかもな。だが俺は顔もそこそこだし勉強も普通くらいだから、よってくるやつなんていねぇよ」


ちなみに彼女いない歴=年齢である。


常に俺の隣には雫玖がいたから、もしかしたら俺が作らなかったというのもあるのかもしれない。


「どうだか。なんならそこにいる中村にでも聞いてみるか?俺と付き合ってください〜って」


「ちょ、ちょっとゆーいち!変なこと言わないで!」


「そうだぞ瀬戸。俺みたいなやつなんかが、中村と付き合えるわけじゃあるまいし」


「そ、そこまで言わなくても……(ボソッ)」


「ん、なんか言ったか?」


「なんでもない!」


雫玖の様子が変だが、いつもの事なのでスルーすることにした。


「弘樹、お前ってやつは………」


雄一が何か言っているが俺には何も聞こえていない。


たとえ説教臭いことを言われているのがわかっていたとしても、聞こえないものは聞こえないのだ。




その日結局、俺は寝ることで時間を潰し、石橋先生に頭をしばかれることになった。


今年もよろしくお願いします。

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