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プロローグ(現在までの過程)

物心着いた時からそうだった。


「なんでうちの子はこんなふうになったんだ……」


「これが私の子供だなんて……産まなければよかったわ……う、うぅ」


「おい、調子乗ってんじゃねぇよ!魔無し!」


「ねぇ、知ってる?あの子って魔力がないんだって。本当にありえないよね〜」


「なんでお前みたいなやつが俺の弟なんだ!」


「こんなやつ、いてもいなくてもどっちでもいいだろ」


僕、ユーリス・ヴァインツァは、とある街のヴァインツァ男爵の三人兄弟の末っ子、金髪碧眼の姿で生まれた。

最初は他のこと同じように育てられてきたが、人の見る目が変わったのは1歳の時、街中にある教会で魔力の属性を調べた時だった。


『?…………!!ヴァインツァ様、とても残念なことではありますが………この子には魔力がありません…』


神官のその言葉に両親は卒倒したらしい。

世間では、魔力が持っているのが当たり前なのだという。

なのにその魔力がうちの子にはなかった。

それが他人に知られたら、家族は非難の目で見られることになる。


それから両親は必死に僕が魔力を持ってないことを隠してきたのだが、僕が5歳の時についに他人に知られることになった。

うちで雇っているメイドがうっかり口に出してしまったらしい。

もちろんそのメイドはクビとなり、街から追い出された。


それから僕の人生は変わっていった。

今まで仲が良かった友達は僕を魔無し呼ばわりをしていじめるようになり、優しくしてくれていた街の住人からは忌み子だの、悪魔の生まれ変わりだの、根も葉もない噂をされるようになり避けられるようになった。


そして僕はそれが嫌になり、家に引きこもるようになったのだが、僕の姿を見た次男や長男が無理やり僕を外に連れ出しては、同い年の子にいじめられている僕を見てゲラゲラ笑ったり、住人達から避けられている僕を足蹴にして先に家に帰るということを繰り返すようになった。


しかし、そんな僕にも二人の味方がいた。

一人はおじいちゃん。

ムキムキマッチョメンだけど顔は穏やかなおじいちゃんは周りから忌避されている僕を気にせずに優しくしてくれた。


長男と次男が僕を無理やり連れ出そうとしても、それを止めてくれたり、両親から酷いことを言われても守ってくれた。


外見には似合わないお菓子作りが得意なおじいちゃんは、いつも僕にクッキーやアップルパイなど色んなお菓子を作ってくれた。

僕はそれがいつも楽しみで、お菓子を食べるたびに嫌なこととかを忘れることができる。

それにおじいちゃんのお菓子はとても美味しい。

街中にあるお菓子屋さんと比べても一目瞭然だろう。


他にも絵本を読んでくれたり、寝る時には子守唄を歌ってくれたり、果てには戦い方も教えてくれた。


両親はそんなおじいちゃんに「甘やかしすぎ」とか、「あんな子にそんなことをする必要は無い」とか言っているそうだけど、おじいちゃんは「だったらお主らがあの子の世話をせんか!」と言うと両親は何も言い返すことができず、ただ黙ることしかできなかった。


僕はそんなおじいちゃんがとても大好きで、心の支えとなっている。


そして二人目は、


「コラー!またユーリスをいじめてるでしょ!いい加減やめなさい!」


「やっべ、キアラが来たぞ!」


「コラーあんた達ー!」




「………ありがとう、キアラ。」


「いいわよこれくらい!またユーリスがいじめられてたら、助けに行くからね!いぇい!」


そう言って僕にVサインを送ってきた赤髪長髪の女の子、キアラ・リーズファルトは、リーズファルト男爵家の次女であり歴史上一番多いとされる火属性、風属性、光属性の三属性持ちである。

キアラとは僕が四歳の頃に初めて会い、それからすぐに仲良くなった。

近くの森で他の子達と鬼ごっこやかくれんぼをしたり、家でおままごとをすることもあった。


僕が魔力無しと知られてから友達が離れていく中、僕と接してくれたのはキアラただ一人だけだった。

僕はそれが嬉しいのと同時に、とても申し訳ない気持ちにもなった。

キアラは僕と接しているせいで、家族からも注意をされたり友達からも引かれるような目で見られている。


以前、そのことをキアラに話したら、


「別に謝らなくてもいいわよ。ユーリスは何も悪くないじゃない。私はあなたと一緒にいたいからこうしているの。」


と言われた。

僕はそう言われてとても嬉しかった。

それから、キアラと過ごす時間はとても楽しい時間となった。


そしてその状態が九歳まで続き、現在に至る。

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