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わんだーけみかる!~煩悩まみれな薬剤師男が美女の尻に敷かれる異世界旅~  作者: ぽんぽこ@銀郎殿下5/16コミカライズ開始!!
第一世界編

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冒険者機関

 


 リタの職場見学に来たアキラ一行。

 しかしそこには煽りプレイとしか思えない絶叫が鳴り響いていた……



「え、なんかリタが凄い怒鳴られてるんですけど……大丈夫なのコレ?」


「えぇ、ココは糾弾(きゅうだん)の為の部屋ですのよ」



 一見すると、教会にある懺悔室。

 しかし、そのやり取りは懺悔とはかけ離れている。



「ここでは民の不満や願いを、神の代理として私達が聞き届けるの。普通は国の中枢に平民の意見なんて伝わらないでしょう? それに嘆願書を書いたって体裁は整えなきゃならないし、怒りや悲しみは伝わりにくいわ」



 職人や下っ端商人、丁稚など下働きの人間の言葉など、貴族以前に上役に握り潰される。

 嘆願書を書いても、役人や貴族の目を通している間にたらい回しにされ、手遅れになる。

 そこで教会が声を聞き、必要があれば直接国王へ上奏するし、違法な扱いが行われていれば憲兵が立ち入る事もある。

 ましてや枢機卿は王妹である。

 政治と宗教は分離されるべきであるが、それはそれだ。民に利がある分には有効となる。



「この部屋では多少の暴言や悪口も、女神様の慈悲で見逃してくれるみたいです。それを"女神様もオヤツを食べ溢す"と表現するので、通称"乙女の喪失(ロストバージン)"と呼ばれているのよ」


「いやそれもう全く違う意味ですよね?! それにレイナさん……コレ、本当は諜報も兼ねてるんでしょ?」


「あら、意外に無粋な事も言うのね? まぁ生優しい理由だけじゃないのは事実よ」




「クククク……愚痴を聞いて煽るだけで喜捨(お小遣い)を貰えるなんて、ボロい商売ですぅー。人の秘密で食べるご飯は最高ですぅ! あぁ、関係者にある事ない事噂流してメチャクチャにしてやりたい!ですぅー!」




「「…………」」

「ね?」






「ふぅ〜今日も立派にお勤め(金稼ぎ)したです! アキラ様も一度どうです?」


「いや、なんの不平も不満もないんで大丈夫ですぅー! と言うより「今夜一杯どうです?」みたいなノリはヤメて! ……それに、そこまで気に入ってる職業みたいなのに、俺にくっ付いて旅に出て良いのかい?」


「はいです! そもそも、ボクが自分で行きたいとお願いしたであります。アキラ様の旅に同行させて貰えれば、ボクが住んでいた村にも行けるかもしれないです。……もし家族が死んでしまっていても、せめてお墓を作ってあげたいんです。それが神官でもあり、家族としての役目でもあると思うです」



 大きな瞳で真っ直ぐにアキラを見つめる、背の小さな女の子。



「そうか。うん……分かった。勇者としての務めは最優先にさせて貰うけど、どうせ世界を回る旅だ。もし行きが無理でも、魔王を倒した後でも付き合うよ」




「チョロいわね〜」

「チョロ可愛いわぁ」

「チョロいヒーロー略して、ちょーろーですぅ」

「くぅーくぅくぅー」


「やっぱり糾弾部屋(ロストバージン)させてもらっていいかなぁ?!」






 ◆◆◇◇


「ともかく、新しい武器である神器は無事手に入りました」


「アンタの身体から出てきた奴よね」


「あぁ。この大聖堂にあった神器は聖剣クラージュって言うんだっけ?」


「そうよ。と言っても扱う者によって姿形も違えば、性能も違うわけだけど。アンタのそれは随分変な片手剣ね」


「随分刀身の部分が短いわねぇ。短槍かしら?」



 ロロルとレイナは不思議そうに聖剣を眺める。



「これは俺が居た世界ではメスって呼ばれてます。って言っても本来は掌サイズの刃物なんですけど。皮膚を切り開いて、病気になった内臓などを切除するのに使ったりしてるんですが」


「ピョッ?! アキラ様の世界の医者は悪魔でありますか?!」


「ん〜やっぱり、この世界では外科的なことに対する感想はそうなるんだよなぁ。治療魔法が存在しているし」


「アキラ君の言う治療法も、悪い部分は取ってしまえ、と言う点は理解できるわ。でも、何がどういう理由で臓器が悪くなっていて、どういう処置をすればいいのかはまだ分かってないのよ」



 この世界はモンスターという共通の敵がいるため、国家同士であまり戦争をしない。

 人に対する化学兵器は開発されないし、人体実験など教会が許さない。

 民間レベルで医師たちが病理解剖などをするかもしれないが、それでも限界があるのだろう。

 王城の図書にも書かれていたのは僅かだったし、城下の診療所も同レベル。せいぜい軍医がモンスターにやられた傷の治療を行なっていたぐらいだ。



「まぁこの世界の医療事情はおいおい話すとして、だ。俺もこの世界に来てから、多少は剣の訓練はしてきた。だがあくまで兵士との対人戦だ。モンスター相手じゃない。だから武器の調整がてら、この辺りのモンスターで肩慣らしをしたい。どうだ?」


「いいんじゃない?」

(わたくし)もそう思いますわ」

「ボクも勇者の力見てみたいです!」


「よし、それではある程度の期間はここを拠点とし、モンスター狩りをしよう!」


「じゃあボクが安くて料理の美味しい宿を紹介するです」


「そういえばアンタ、冒険者機関に登録はしたの?討伐したら報酬が出るわよ?」


「おっ! 肝心なテンプレを忘れてたぜ! まずギルドに行くのは定番だったよな〜。んで、顔の怖い先輩に絡まれちゃったりして、返り討ちにするだろ? それで影で見ていたギルマスが「お前はSランクだ!」とか言っちゃって〜」


「アンタがなにを言ってるか分からないけど、冒険者機関は各国が加盟してる公的機関よ? そんな横暴なことをしてる奴が居たら問答無用で牢屋行きだわ」


「で、ですよね〜。まぁ平和で面倒がないのは良いことだ。よし、行ってみよう!」



 まだ仕事があるレイナと別れ、意気揚々と大聖堂を後にした三人と一匹。

「ボクに着いてくるです〜」とリタに案内しては貰ったのだが……



「なんだよ、大聖堂の真ん前じゃないか」

 道路を挟んだ向かいの建物だった。


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