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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第四章 本当の婚約者
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83.クララの本音と平穏な日常

今回は独白からのスタートです。





「私にとっての幸せってなにかしら?」


それが、私にとって挑戦しなくちゃいけない課題になったの。


私は、極々平凡な容姿と、才能を与えられて、この世に生を受けた。

幸いにも、私が生まれた伯爵家は、大貴族と呼ばれる裕福で、経済力も、政治的な影響力もある方の家柄だったから、何不自由無い生活が保障されていた。


でも、私は女として生まれてきたから、自分の幸せを、自分で勝ち取ることは難しい。


それならば、この時代に女として生まれたことの幸せとは、一体どこに見出せば良いのだろうか?


子供の頃からの私の悩みは、それだった。

答えが見つかりにくい難題。


『生きるとは?』ではなく、『幸せとは?』への挑戦。


周囲にいる大人たちを観察すると、幸せそうな人もいれば、そうでは無い人もいた。

幸せそうな人は、誰か好きな人と一緒に過ごしたり、仕事や趣味に生きがいを見出しているようにも見える。


教会では「神様を信じれば幸せになれる。」と教えられるけど、私には、少し厳しい神様にも思えてしまい、後ろめたいことがあると「神様。今の悪い子の私は見ないでください。」なんて、身勝手なお祈りをしたものだわ。


そんな私が、一つの答えを見つけたのは、王立学園の中等部の頃だったっけ。

時々視界に入って来る、優しい目をした彼のことが気になってしまったのだ。

中世的な容姿だったのも、私にとっては、接しやすかった。


彼の周りには、既に好意を表している者たちも大勢いて、うかうかしていると、私までその他大勢の一人に埋もれてしまう。


だから、私なりに彼のことを観察してみたの。


先ず、どんな感じの女の子に興味を魅かれるのか。

好きな食べ物や、好きな色。

好きな音楽、好きな教科。

よく読む本の種類や傾向。

周囲に居る友達の性格や逆に距離を置くタイプ。

家族構成や、教師との相性なども。


そうやって、彼がお淑やかで、賢い女性の方が好きだって分かったの。


当時は、エリカがクラスで一番を取ることが多くて、私は5~6番くらいをウロウロしていたの。


アーデルは、4~5番だから、今とあまり変わらない。

そこで、彼よりも上の成績を常に収めることを目標にして、猛勉強に励んだの。

本当なら、エリカの方が天才肌で、あまり勉強しなくても上位の成績が取れる子なんだけど、幸い彼女の関心が他に向いていたお陰で、私が学年一位になるには、それ程時間が掛からなくって済んだわ。


普段から会話をする時だって、気を遣って、同級生とおしゃべりするのにだって、いつ彼が私の声を拾ってしまうかもしれないと、細心の注意を払ったものだったわ。


そうやって、少しずつだけど、彼好みの女の子へ近づけるように、猫も被ったし、今でも努力し続けているわ。


水上を優雅に泳いでいる様に見える白鳥は、実は、見えない水面下で必死にバタ足しながら、そうとは見せないように表面では優雅に振舞うものだもの。


彼に、とても親しくしている妹さんが居ることだって、調べて分かっていたわ。

だから、私は他の者たちとは違う作戦に出ているの。


他の人たちは、妹のソフィーをライバルだと思い込んで、蹴落とそうとしている様に見えるけど、私は逆ね。


もし、将来アーデルと結婚出来たならば、その妹が、今度は小姑になるかもしれないじゃない?


それならば、今からケンカするよりも、最初から手懐けて、味方にしてしまえば良いのに。


それに、多くの者たちが欲張ってしまうのも、失敗している原因に見えるわね。

第一婦人、つまり正妻の座ばかり狙っているみたいだけど、誰だって正妻の地位は欲しいでしょうね。


それならば、私は最初から第二婦人や側室で構わないと思うようにしているわ。

そうすれば、誰かさんとケンカするよりも、ずっと建設的だと思うの。


本来であれば、親の決めた婚約相手と結婚させられるのが、伯爵家に生まれた女の宿命だけど、本気で好きになってしまったアーデルハイドと結ばれるためならば、これからだって努力を惜しむつもりは無いわ。





色々あったけど、騒々しい日々が過ぎて、平穏な日常が戻っていた。


僕は、いつものように朝食を済ませ、ソフィーや屋敷の者たちに見送られ、王立学園へ通う毎日だった。


「おはよう、アドルフ、エリカ、クララ。」

「おう。おはよう我が友。」

「おはよう。」

「おはようございます。アーデルさん。」


うんうん。

やっぱり学園生活はこうでなければ。


「・・・・お、おはようございます・・・・。」


少し離れたところから、顔を真っ赤にしながらレベッカも挨拶して来る。


「おはよう。レベッカ。」


レベッカはといえば、僕との婚約騒動の頃みたいに髪を降ろしたスタイルを止めて、いつもの厚底眼鏡に片側だけの三つ編みの地味な格好に戻していた。


でも、以前のメガネを外した絶世の美女姿を知ってしまった男子を中心に、女子たちまで、以前の様に『眼鏡不細工』とか『図書館眼鏡女』なんて陰口を言う者はほとんど居なくなっていた。


それどころか、彼女の魅力に遅まきながら気づいた男子から交際の申し込みまで来ているらしい。理由は不明だけど、レベッカはそのすべてを丁重にお断りしているとの噂まで僕の耳に届いているけどね。


なんにせよ、以前よりも僕の周囲に友達は増えている。


『アーデルハイド親衛隊』については、永世会長だったレベッカが降りて、妹のソフィーが会長と言う、不思議な現象が起きてしまっているけれども、そのお陰もあってか、僕への告白者はゼロな状態が続いている。


僕としては、非常に助かるので、結果オーライかな?

こういうのも、『雨降って、地固まる』と言うのだろうか。


ともかく、そんな風に平穏な日常が続くこ

とを僕は少しも疑わなかった。



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