表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第三章 レベッカ・ザルツブルグ侯爵令嬢との婚約騒動!?
76/104

72.ツバイシュタイン伯爵家vs帝国軍 ― グルドゥ伯爵の野望! ―



アーデルハイドとレベッカの婚約発表が王立学園で掲示板に張り出され、ソフィー所有の『プロネシス商会』が創業以来初めての危機にさらされていた頃、伯爵家本領でも兵士たちが緊張した面持ちで最前線を見張っていた。


国境を接する帝国領とツバイシュタイン家の有する領土との境に近い川を挟んで、互いに相手を見張りながらの膠着状態が続いていたのだ。


そこへ、見事な真っ白なマントを羽織り鎧姿の40近い細身の男性が近づき、兵士たちからの敬礼を受けた。


「どうだ、その後動きはあったか?」


手近に居た隊長格と思われる若い男性に声を掛けると、若者はキビキビした様子で応えた。


「伯爵様。最初の戦闘以来、敵兵に動きがあまり見られません。

不気味と言えば不気味です・・・・。」

「そうだな、今回の帝国兵の動きは、イレギュラー過ぎると私も思うよ。」


この時代の戦闘行為といえば、通常は準備段階からすぐに情報は相手方へ筒抜けとなる。

なにせ、大軍を動かすとなれば、その分の武器や防具、薬や食料など軍勢が大きくなればなる分だけ、人・金・物が動くのだから、否が応でも目立つのだ。


にも関わらず、今回の帝国兵たちの動きは変だった。


突然国境付近へ集まっている姿が目撃され、偶発的に国境警備の為に巡回していた伯爵領所属の小隊と小競り合いとなった。


幸い、小隊長も実戦経験者でもあり、大軍を相手に戦う意思は無く、双方共に若干名の負傷者のみで退却することができた。


帝国側の兵士たちも、その後を追いかけて来て、砦内へ入った兵士たちをなおもしつこく攻撃したので、300人ほどが籠る砦と、1500人ほどの帝国兵との戦闘が行われた。


ここでも、帝国側、伯爵領側の双方に同じくらいの負傷者が出た。


ところが、この小競り合い以降、帝国軍側は目立った動きも無く、ピタリと行軍を止めてしまい、現在は国境と定められている川沿いの対岸を陣取り、宿営を設置して既に二週間ほどが経過しているのだ。


帝国側と対峙するように設けられた野営陣にて、伯爵が首を傾げる。


「やはり、今回の帝国側の動きは不審な点が多すぎる。」

「ですな。通常ですと双方から戦開始の宣言が一方的とはいえ述べられて、それから我らの砦や城塞などを襲い掛かるのに、今回は小競り合いのみ。

しかも、動きが全く悟られずにこの地まで移動して来たことといい、おかしな事ばかりですな。」


参謀として側近くに仕えている壮年男性もまた同様に不審な点を確認するように述べた。


「まったくだ。ロムネス辺境伯の紋章が見えないし、見慣れない旗が掲げられていることからも、帝国側でなにかあったのだろうな。」


ロムネス辺境伯とは、帝国領でツバイシュタイン伯爵領と領地を面している。

伯爵家同様に、国境警備の任に就いており、時々剣を交える間柄でもある。


ところが、今回は辺境伯からの攻撃では無く、グルドゥ伯爵領兵と名乗る軍勢が、一方的にツバイシュタイン伯爵領の砦へ宣戦布告をし、交戦状態となってしまったのだった。


アーデルハイドの父であり、伯爵家現当主であるコルネリウス・フォン・ツバイシュタインにしてみれば、狂犬に噛まれたような、想定外の戦闘を強いられている。


とはいえ、前述したように、小競り合いの後は、川向うへ陣を敷いたまま、援軍でも待っているのか一歩も動かず、不気味な存在感だけを示し続けていた。


コルネリウスにしてみれば、今回の戦闘の場合、無理に攻める必要が無い。


仮に2~3千人ほどの軍勢をグルドゥ伯爵が率いて来ているのならば、放置しておいてもやがては兵糧が尽きてしまうのだ。


それならば、向こうが攻めてきたら、砦や城に籠って応戦していれば良い。

いずれは、疲労も溜って引き上げてしまうのを待てば良いのだから。


「それにしても、本当に今回の敵は、目的が見えませんね。」

「そうだな。使者を送るでも無し、こちらへ戦闘を仕掛けてくるでも無し、ロムネス卿であれば、今頃騎馬戦を繰り返して、双方で人質が増えている頃なのだがな。」


この時代、戦闘行為で命を落とすことは馬鹿らしく、一種のスポーツの様に、双方で交わしたルールの下で、勝敗も決められていた。


優秀な騎士を大勢傘下に収めていれば、人質も多くなり勝利を味わい、逆の立場になれば、敗北と言う惨めさと共に、身代金を支払わなければならないのだ。


つまり、より立場が上の者を人質に取れれば、莫大な代価を手にすることが出来、反対に自分が捕まってしまえば、支払う義務を負うことになる。


ハイリスク・ハイリターンな戦場には、敵を殺して身代金を失うなどという愚かな者は極稀だ。ちなみに、身代金が支払えない場合は、総大将に立て替えてもらうか、支払える額まで減額交渉をする。それでも駄目なら、分割でも良いから、支払いが終わるまでは惨めな捕虜生活を送るなど、貴族も戦争では結構世知辛い。


時折り、歩兵同士の弓矢や剣、槍などによる戦闘で重症を負ってしまったり、命を落とす者もいるが、彼らとて、多くは農家や町人などから招集されている立場なので、戦場で怪我したり、命を落せば、その分だけ労働力が減ってしまうのだから、なるべく日和見しながらガチンコ勝負を避ける傾向が強かった。


そんな感じで、やれ騎士道とか、剣士のプライドとかを振りかざす殺風景な戦場よりも、牧歌的と表現できるような、ある意味では気の長さも求められるのがこの時代の戦場だったりする。





その頃、対岸では、ロムネス辺境伯からの使者が、グルドゥ伯爵の陣地を訪れていた。


「グルドゥ伯爵。貴殿の兵士たちを即刻、我が伯爵領より撤退させることをロムネス辺境伯はお望みです。このように勝手に陣を敷かれ、あまつさえ、我が領土に隣接するツバイシュタイン伯爵領へ宣戦布告をするなど、勝手にも程が過ぎますぞ!」


壮年の騎士が、背の低い黒髪でドワーフみたいに見える風貌の男性へ向けて強い口調で責め立てていた。


「何を言う! 

我がグルドゥ伯爵家は、皇帝陛下からのお下知を頂き、不甲斐ないロムネス辺境伯に代わり、王国へ宣戦布告したのだっ!


不服だと言うなら、皇帝陛下へ直接申し出れば良い!

ホレ! ここにちゃんと陛下直筆の指令書があるわい!」


確かに、グルドゥの手には、皇帝であるクルドゥール3世の名と紋章入りの書類が握られている。


「しかし、このような頭ごなしで我が辺境伯領で勝手に戦闘を始められるなど!

非常識にもほどがあるでしょうっ!!

ツバイシュタイン伯爵家は、我がロムネス辺境伯家と長年に渡り、矛を交わす間柄故に、戦闘の駆け引きもある程度は定まっております。


しかし、グルドゥ殿にはその辺りの協定すら結ばずに戦闘を仕掛けておられるご様子。

もしもの時は、どうなさるおつもりか?」


そうなのだ。


猪突猛進で、ロムネス辺境伯領へ兵を引き連れて来たのは良いが、皇帝陛下からの戦闘許可があるからと、フライングまでしてツバイシュタイン伯爵家へケンカを売ってみたものの、流石に歴戦の兵士たちが大勢居る伯爵家の兵士たちは戦慣れしており、ほとんど戦果らしい戦果を上げることすらできなかったのだ。


逆に、グルドゥが率いて来た兵士たちの中から、複数の負傷者を出してしまい、初戦から士気が低下している。


ツバイシュタイン伯爵領の帝国側へせり出している300人ほどが護る小さな砦の一つを、1500人の兵士で取り囲み、攻略しようとしたら、双方共に50数名が負傷してしまったのだ。


本来であれば、戦の定石通り5倍の兵力で取り囲み、攻撃を仕掛けたのだから、陥落させられるはずであった。にも関わらず、同数の負傷者。


この結果が意味するところは、兵の練度が違い過ぎるということだろう。

伯爵家の兵士は精強であり、『王国一の最強集団』と名高い。

それに対して、グルドゥ伯爵の兵士たちは、凡庸な者たちばかりであり、敵では無かったということが、小競り合いですら判明してしまったのだ。


かといって、ロムネス辺境伯に取って代わりたいという野心の下で、皇帝陛下におねだりして手に入れた戦闘許可証を有効に用いるまでは引き返したくも無い。


そんなつまらない理由で、陣を敷いたが動けずにいたのだが、この問題が解消されるまでには、もうしばらくの時間が必要になりそうだった。


「グヌヌ・・・・・っ!!」


使者から一方的に責められてしまい、グルドゥは顔を真っ赤にしながらも、反論できずにいた。


「とにかく、以後も勝手に戦闘行為を続けるおつもりならば、我がロムネス家は、グルドゥ殿とは一切関わるつもりは無い。捕虜となった場合にも、自分の才覚と資産によって解決することですな。」


使者の騎士は、そう告げるとクルリと向きを変えて、グルドゥのテントから出て行ってしまった。


「クソっ!

どいつもこいつも!!

儂の思い通りに動かん奴ばかりめぇっ!!」


得てして人は、他人が出来ずにいることを『自分ならば出来るのではないか?』と勘違いしてしまうことがあるのだろう。


帝国内部でも、主戦派と言われていたグルドゥは、王国と領土を接していながら、長年に渡りその領土を拡張することすら無く、時々小競り合いを演じては、身代金や捕虜の交換ばかりをしているロムネス辺境伯の代わりに、自らが活躍して、帝国に勝利を齎して見せようと、皇帝陛下の前で大言壮語してしまった手前、迂闊に引き上げも出来ず、さりとて、馬鹿にして見下していた辺境伯に今更泣きつく分けにも行かず、くだらないプライドと細やかな自尊心に縋りついて、陣を張り続けていた。


まあ、こんなくだらない理由で宣戦布告された上に、小競り合いで出鼻を挫かれたからと戦意喪失しならが居座っているなどとコルネリウスが知ったならば、小躍りして喜んだかもしれないが、この時は未だ『不気味な静けさを見せている相手』だと認識されていたのだった。




完全に『タイトル負け』してるかと・・・・Orz


でも、派手な戦闘シーンじゃなくて、ショボイ国境紛争を長々と書く気力も無かったり(白目


まあ、農家さんにしてみれば、戦で手柄立てて小銭ほうびがもらえるのは嬉しいけど、怪我したり死んでしまっては、畑を耕す人手が減る!←コレ一番重要


ゲームの世界でなら、モブキャラは数字上の存在なので、幾らでも増やせるかと思いますけど。

現実世界での戦争なんて、『死んだら終わり』ですよね。

(`・ω・´)ゞ




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ