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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第三章 レベッカ・ザルツブルグ侯爵令嬢との婚約騒動!?
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69.ソフィーへの宣戦布告 ― 新たなる脅威『ドライローゼス商店』 ―



アーデルハイド様が帰宅する前のこと。


王都伯爵邸では、いつものようにソフィーお嬢様と私の二人で執務室で会話をしていた時だった。

そこへ、窓からコンコンと軽くノックするような音が響く。


「お嬢様。伝令1号が着ているようです。」

「あら? 急ぎのご用件かしら?」


以前、バイエル様によって私にまで裏切者の疑いが掛かった時、王都繁華街にある『プロネシス商会本部』から、レベッカ様の住むザルツブルグ侯爵邸宅へ、伝令2号という名の伝書鳩を飛ばしたこともあり、伝令1号と名付けられたこの鳩もまた、私にも良く懐いている。素早く抱きかかえて、お嬢様に足に括りつけられている通信筒を差し出した。


「・・・・これは・・・・。」


小さな通信筒から、丸められた手紙を出して素早く読むと、お嬢様は苦虫でも噛み潰したような表情を一瞬だけされた。


「どうなさいましたか?」

「やられたわ。レベッカさんは、正々堂々と私への宣戦布告を寄越して来たわ。

これから少し忙しくなりそうね。」

「よろしいのですか?」


私なりに落ち着いた声で尋ねる。


「?」


お嬢様は、何がとでも言いたげに、小首を傾げるだけだ。


「以前、お嬢様との共闘の際には、確かに『どのような結論へ至るにしても、ご期待には誠意を持ってお応えするつもり』だと仰ってました。

それなのに、今回は敵対する行為を平気でするなど・・・・。」


確かに、以前ガエラ・インテグラ嬢とシンシア嬢二人が組んで、アーデルハイド様を自分たちのものにしようと企んだ時には、レベッカとも共闘した仲でもあり、今後も友好な関係を続けられるものだとばかり思い込んでいた。


それが、裏切られたように私には感じられていた。


「それなら、言葉通りじゃないかしら?

『どのような結論へ至るにしても』と先に断りまで入れているのですもの、今回の様に敵対という結論へ至っても、それは彼女の結論だわ。


『ご期待には誠意を持ってお応えするつもり』だって、正々堂々と宣戦布告までされちゃ、真正面から私とお兄様を賭けて、戦うおつもりだという意思表示にとれるもの。」

「お嬢様・・・・ この状況を楽しんでませんか?」

「ええ。楽しむつもりよ。」


流石は自分の女主人だと、関心したけど、ここはいつも通りクールに。

そんなつもりで表情を引き締めた。


「ミラ。今回はこれまでのマヌケな思い付きなんかの戦いとは違うわ。

レベッカはちゃんと計画を立ててから宣戦布告してきているのだもの。

総力戦になるかもしれないわね。」

「そうなのですね。」


私は、ソフィー様のためならば、どんな命令でも従う覚悟はある。


「お嬢様がお命じ成られれば、私は何処へでも参りましょう。

この身は全てお嬢様の為にのみ存在しておりますから。」

「ええ、これからも頼むわね、ミラ。」

「ハイ。」


このお方だけが、私の主なのだから。





私が最初に取りかかったのは、いつもの様に『プロネシス商会本部』へ出向き、ソフィーお嬢様からの指示書を支配人へ渡して、報告書を受け取ることだった。


「ミラ様。連絡ご苦労様です。」


初老の支配人が、いつものように私にまで丁寧な応対をしてくれる。


「支配人も、お疲れ様です。

伝令1号が、ザルツブルグ家から王都伯爵邸へ戻っておりました。

こちらからレベッカ様へ戻しておいてください。」


伝書鳩は、帰巣本能を利用して、目的地へ通信を届けることには向いているけど、別の目的地へ送るのには向いていない。


今回は、王都伯爵邸へと戻るだけの伝書鳩をザルツブルグ家へ預けていたので、その鳩を再びザルツブルグ家に戻すようにとのお嬢様からの指示なのだ。


正直に言えば、お嬢様への敵対行動としか見えない婚約発表をしたレベッカ様を、私は許せない気持ちがあるのだけど、使用人は主人の命令に従わなければならない。



「分かりました。午後の配達の時にでも、届けさせましょう。」


伝書鳩を入れた籠を前に、支配人は以前箱を持って来てくれた鳩の世話係の少年を呼んでくれた。


「お願いします。」


少年は私から籠を受け取ると、コクリと頷いて部屋を去って行った。


「ところで、ミラ様は、最近王都で話題になりつつある健康食品の店をご存知ですか?」

「いいえ、知りません。」


はて?


この王都には、数知れないほどの店がひしめき合っていて、個人商から中小規模の商会、大規模商会まで、様々に凌ぎを削り合っているとは聞かされているけど、『健康食品』を扱う店はあまり聞かない。


お嬢様の個人所有である『プロネシス商会』は、“双白百合”を印として、現在王都だけではなく、周辺都市部などで手広く商売をしている。


主力は『粉物』と呼ばれる、麦の粉を用いた焼き菓子や生菓子と呼ばれるスイーツ類、健康食品などを主な商品として、向かうところ敵無しで急成長を遂げている。


「『ドライローゼス商店』という名の新興勢力ですが、『プロネシス商会』と似たようなやり方で、販路を急速に拡大しているのです。

主力製品は、我が『プロネシス商会』が『粉物』に対して、ドライローゼスも『粉物』なのです。

しかも、こちらが『麦』に対して、あちらは『豆類』がメインでした。」


支配人から、サンプル用に購入されたらしい『豆粉』を受け取り、袋から一口だけ舐めてみる。


「これは・・・・?」

「ええ。単なる豆の粉です。

しかし、この粉を加工することで、甘味や健康商品が生まれるらしいのです。

残念ながら、私たちには、どのように加工するのか皆目見当も付きません。

しかし、近い将来脅威となる可能性が高いかと思い、お耳に入れておこうかと。」


支配人の言う通りだ。

すぐにでも、お嬢様へお知らせしなければならない事案かもしれない。


「分かりました。

このレポートは?」

「そう仰ると思って、先程お渡しした報告書の中へ私見を入れておきました。

ご確認ください。」


流石は、学園でも一つの部門で長を務めて来られた人だけのことはある。


「分かりました。

このまま引き返して、お嬢様へ報告します。

支配人。流石ですね。」

「お褒めに預かり、光栄です。

ソフィー様にも、よろしくお伝えください。」


私は、深く頷くと、一目散に屋敷へ向かった。

お嬢様に、加工方法が不明な『豆粉』を届けるために。




ドイツ語で「ツバイ=2」、「ドライ=3」の意味。


アーデルハイドは「2つの石 (斧)」が紋章なので、レベッカなりに、ソフィーの「双白百合」への

対抗策として「ドライローゼス=3つのバラ」という感じです。


解説入れるほどでも無かったかもですけど、一応。

(`・ω・´)ゞ




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