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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第一章 妹と僕 ― アーデルハイド親衛隊は妹の旗下へ従属するか? ―
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7.ワッフルワッフル!  ~ ソフィーの甘く蕩ける野望・拡大編 ~


「それで? 

今回お兄様に不躾な手紙を寄越した命知らずは誰ですの?」


「はい。アーデル親衛隊No.116番。子爵家令嬢ユーリと言う者です。

詳細データはこちらのファイルにまとめてございます。」


そこには金髪前髪パッツンで肩までのゆるふわウェーブが掛かった幼さの残る顔立ちをした子爵令嬢の写実的な似顔絵とスリーサイズ、その他入りのデーターが記されていた。


無論、本人が秘密にしたがっているようなちょっと恥ずかしいエピソードも添えて。


「ふーん。で?

裏は?」


ソフィーは既に、今回の挑戦状ラブレターをたかが子爵家令嬢如きが渡したとは思っていない。基本的に自由恋愛の許されない貴族間での遣り取りだからこそ、裏で伯爵家とつながりを持ちたい大物が居ると推測していたのだ。


「現在調査中ですが、第一容疑者は辺境伯令嬢シャーロット。

第二容疑者は辺境伯爵令嬢シンシア。

第三容疑者はライバルの伯爵家のいずれかが辺境伯令嬢の名を騙ったかと。


これら全てが共闘して仕掛けて来た可能性も捨てきれませんが・・・。」


「続けて調べて頂戴。判明次第報告を。

報復攻撃を行います。」


「畏まりました。」


「貴女の仕事ぶりにはいつも満足しているわ。

ご苦労様。ミラ。」


ミラは、ソフィー専属メイドの一人だが、ソフィーと同い年で、幼少の頃から共に育ってきた信頼の置ける貴重な存在だ。


真っ白でサラサラとした髪は頬の辺りで纏められ、シャギーと呼ばれる髪型を好んでしていた。身体もまた色素が薄いらしく赤い瞳をしたアルビノと呼ばれる珍しい生まれつきの透明憾のある天然美を備えた少女だ。


常にソフィーの側で影のように控え、ソフィーの意を汲んで行動することが多かった。


そのため、白百合隊とは所属が異なりるが、通常業務の範囲内では伯爵や執事長、メイド頭に従うこともするが、別命あれば、彼らに従うよりもソフィーの命令こそが至上となる。


「ところで、買収した商会のその後の動きはどうかしら?」


「はい。そちらも問題ございません。

商会のトップは汚職と贈収賄の嫌疑により更迭されました。


その後任に、こちらで用意した者たちを据えたので、現在は我々の支配下です。


利益も、買収前とは比べ物になりませんから、全従業員が固定賃金UPと福利厚生に満足して連日2時間までは残業してでも売り上げを更に伸ばしてくれております。」


「そう。くれぐれも過労死には気を付けてあげてね?

一件でも起こると、警戒されちゃうから。

適度に休ませて、細く、長くでお願いね?」


「そちらも、福利厚生の中で対策を施しております。

6連勤の者には、強制的に1日休みを与え、隠れたり誰かと代わって働こうとした者には、罰として3日間の休職処分とし、定期昇給・賞与の減額対象となることを伝えております。


実際にこの処分を受けた者が数名おりましたが、以後は目覚ましい効果があり、全従業員が過度の残業や連続しての勤務を避けるようになりつつあります。」


「商会の売り上げが上がったうえに、従業員の労働環境も改善できたみたいで良かったわぁ。

これで安心して、次の商品販売へ移行できるというものね。」


「次は、アレでございますか。」


「ええ。

アレよ。」





「いらっしゃい!

いらっしゃーい!」


「さぁさぁ! 王都初登場っ!

プロネシス商会新商品!

揚げワッフルだよー!!」


「味付けも色々!

チョコ、バニラ、バナナ、チョコバナナ、フルーツミックスもあるよぉー!」


飯テロ?


いえいえ、王都を中心に展開するソフィー所有の中規模商会が、今や買収により二つの商会を併せて大規模商会となり、王都のみならず、周辺の近隣都市までその版図を拡げて精力的に販売活動を繰り広げているのだ。


プロネシス商会。


元の名は、全く別物であったが、ダイジェスティブビスケット販売で販路を拡げたかったソフィーが個人資金ポケットマネーで平和裏に買収したものだ。


それまでは製粉と麦を粉にしたものを販売することを中心としていたが、ビスケット製造及びチョコレート製造とを行い、同じ工場内でビスケットにチョコレートを塗るコーティング作業まで行うようになったため、麦の製造販売に加えて、ダイジェスティブビスケット販売まで商いが広がった。


次いで、チョコトリュフの登場により、一気に売り上げは倍増。


ここで、道の駅や産直での販売を思い浮かべて欲しい。


農家さんは、野菜や果物を直接販売するだけでも、ある程度の儲けが出る。


しかし、果物や野菜を加工した食品は、売値も上がり更なる利益を生み出すことが出来るのだ!


つまり、原料である麦だけを販売していた中規模商会が、加工品であるビスケットという付加価値を付けただけでも粗利益が生み出せるのに、チョコレートコーティングなどという美味しさまで付加したのだから、最初は貴族を中心に爆発的に売れた商品が、やがて庶民にも求められるヒット商品へと成長していたのだ。


無論、追従したがる者たちは多く、類似の品を出してくるライバルたちも表れている。

だからこそ、ソフィーは先手を打っていた。


「お客さん。うちの商品には全て白百合の焼き印が交差して押してありますから、類似の粗悪品なんかと間違えないでくださいませ。」


「それだけじゃぁーありませんよぉーーーっ!

当社製品は、他の領地では取れない、良質な東方伯爵領特産の吟醸大麦を贅沢に使用しておりまーす!! つまり、他では真似できない原材料に拘った一品なのですっ!!」


売り子が次々と如何に極上な原材料を使用しているかまで述べる。


正に安定のソフィークオリィティ。


全ての商品と包装紙に二つの白百合が交差して重なり合う様に焼き印が押してある。


この焼き鏝は、複製しようと思えば、相当な出費が必要となるため、市井の商会では偽物を造らせるだけで大赤字が出るであろう。


ここへ、追加で買収されたやはり粉物を扱う敵対していた商会から製粉技術のみならず、ワッフル他の金型を仕入れたまでは極普通だろう。そこへ油でワッフルを揚げることで更なるサクサク感を生み出し、生クリームや果物を添えて食べると言う商品バリエーションを拡げてしまったのだから、恐れ入る。


サクサクにしっとり。


正に王道中の王道でありながらテイクアウトも出来るというお手軽感は、王都の若者を中心に今後爆発的な売り上げを伸ばして行くこととなる。


買収により新たに従業員となった者たちも、以前とは比べ物にならない程に売り上げが増えたお陰で、給料にも反映されるという喜びに全員が満足感を持って働けるという夢の好循環が築き上げられていた。


「フム。

これならお嬢様の裏計画にも更なる貢献が望めそうですね。」


路地裏から一人満足げに百合マークに色鮮やかな包装紙に包まれた揚げワッフルベリーベリースペシャルをパクつきながら、真っ白な髪と赤い瞳を持つメイド姿の少女が呟いたのであった。




アクセス数が段々と伸びて来ていて・・・。

すごーく嬉しかったりしています。


ブクマ&評価もありがとうございます!!

筆者の貴重な燃料になります(*^^*)


これからも宜しくお願いします!!

(*- -)(*_ _)ペコリ

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