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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第三章 レベッカ・ザルツブルグ侯爵令嬢との婚約騒動!?
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63.『ソフィーの休日』① ― ソフィー闇堕ち危機一髪!? ―


10月下旬に行われた学園祭が終わると、王国にも冬が近づいて来る。

少し長かった秋には、時々とはいえ、暖かい日もあったが、冬には北部では雪で閉ざされ、南部では冷たい風が吹く。


王国中部にある王都では、雪が積もる日もあれば、空っ風が吹き荒れる日もあり、その年によって降雪量は異なる。


人々は、やがて確実に訪れるそんな季節を思いながら、日々の生活と格闘していた。





お祭り騒ぎが終わり、王都伯爵邸にも、いつも通りな平和な日常が戻って来た。


僕は、前日のカラーガード披露の大成功の興奮で、昨夜はいつもより少し遅くまで起きていたせいか、ゆっくり起床するつもりで、グッスリと寝入っていた。


「お兄様ぁ~♡」


あれ?

ソフィー?

お前も昨夜、僕と一緒に遅くまで起きていたじゃないか。

どうして、こんなに朝から元気なんだい?



若さかっ!?


わずか二歳差とはいえ、若さ故に元気なのかっ!?


「・・・・まだ眠いよぉ・・・・。

昨夜も遅かったじゃないか・・・・。

もう、少し・・・・ムニャムニャ・・・・。」

「あら。約束を忘れたとでも?」


アレ?

約束?

そんなものしたっけ・・・・?


ダメだ。

眠さと疲労感で、頭が上手く働かない。


「私・・・・お兄様との約束を楽しみにしておりましたのにぃ・・・・」


ん?


なにやら、ソフィーの纏う雰囲気が変わったような気が?

例え寝ぼけてはいても、僕の身体に染みついている生存本能がけたたましく警鐘を鳴らしている。


「そぉーでぇすぅのぉ・・・・・

私との約束なんて・・・・お兄様ぁにぃわぁ・・・・

どぉーでぇもぉー

よぉろぉしぃいのぉでぇすぅわぁねぇ・・・・」


あ。

押しちゃいけないイスッチ。

押しちゃった(白目


「お覚悟っ!!」

「ふわぁっ!?」


ソフィーが叫び声を上げる寸前だった。

僕がベッドから転がり落ちるのと、ソフィーが放った斬撃が、ベッドを真っ二つに切り裂くのと、ほぼ同時だった。


相変わらず手加減も容赦も微塵も無いな。


「・・・・今朝もまた、なんてモノを振り回してくれてんだっ!!

僕のベッドが真っ二つに割れてしまっているじゃないかっ!!」

「あら?

マダ生きていましたの?

止めを刺さなくちゃですわね・・・・。」


ソフーの身長とほぼ同じくらいの長大な両手剣ツーハンデッドソードが、床に転がる僕へ向けて振り下ろされる。


「だから、待てってばぁーーーーっ!!」


瞳の光りが消えてしまい、顔の上半分にシャドーを宿したソフィーの耳には、僕の声も届かないみたいだ。


ソフィーが一度両手剣を振り下ろすたびに、次々と家具が切り裂かれて行く。


「あ、この椅子お気に入りだったのにーっ!!」


以前ソフィーが、僕への誕生日プレゼントだと言って、贈ってくれたアンティーク椅子が、無残にも破砕してしまった。


ところが、何を思ったのか、ソフィーの動きがピタリと止まった。


「椅子・・・・?」


良くは分からないけど、チャンスだ。


「そうだよ!

ソフィーが僕の誕生日に贈ってくれた椅子じゃないかっ!!

気に入っていたんだぞっ!」


その言葉が耳に入ったのか、ソフィーの瞳に灯りが戻って来たようだ。

いいぞ、あと、一息だ。


「他にも、エリカからのクローゼットに、クララからの姿見鏡だってこの部屋にはあるんだ・・・・ あ?」


ダメだった。


ソフィーの瞳に、今度は赤い光りが怪し気に灯りだすと、今度こそ容赦無く、僕が列挙しかけたクローゼットと姿見鏡、他にも室内にあるすべての家具と言う家具が、見るも無残な姿へと変貌を遂げて行く。


「あぁぁーーーーーーーっ!?」


まるで、室内に小さなサイクロンが発生したかのように、触れる物全てをシュレッダーにかけた様に、引き裂き、切り裂き、破砕し、粉砕し、賽の目状に切り下ろし、裁断して行く。


あ。コレは詰んだかな?(汗


僕が迂闊な一言を放ってしまったばかりに、ソフィーの兇刃が、徐々にだけど僕へ迫って来る。


ヤダ、マジで超怖いんですけど。


「ソフィー!

落ち着けっ!!

な?


頼むっ!!

落ち着いてくれぇーーーっ!!」


そこへ、思いがけず救援の手が入った。


「お嬢様。落ち着いてくださいませ。

これでは、若様がお困りです。」


僕付執事のハンスだった。


片手には、執事の執務で用いる万年筆が握りしめられ、反対の手には、ドローイング・ボード(物書き台)が盾代わりに装着されている。


ギャイーン!


ソフィーの両手剣が、甲高い音と共に万年筆に弾かれる。

これぞ、正しく『ペンは剣よりも強し』だ。


「いいぞ、ハンス!

そのまま沈静化してくれっ!」


僕が声援を送ってしまったのがいけなかったのだろうか?

なんだか、ソフィーの様子が、更にもう一段階変化しているような?


あれ?


「・・・・お兄様は・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・・・・・私との約束よりも・・・・約束よりも・・・・」


なんだか、“闇堕ち”という言葉がピッタリと当てはまる様な、そんな感じで、ソフィーがどんどんとダークサイドへ堕ちて行くのが、手に取るように分かってしまった。


だって、ソフィーの身体の周囲に、見るからにドス黑い、“闇”そのものが、まるで炎の様に巻き上がりながら、纏わり憑いて行くのだもの。


「ダメだ!

ハンス!!

逃げろっ!!」


僕が声を掛けた時には、一瞬だけど遅かった。


ハンスの万年筆がポッキリと折られてしまい、盾代わりのドローイング・ボードすらも、粉々に砕け散ってしまった。


無防備となったハンス。

両手剣を高々と掲げるソフィー。

思わず、目を閉じて叫んでしまう僕。


「ハンスーーーーっ!!」


僕が目を開けた時には、ハンスの姿は視界に入らなかった。

大きなタンコブをこしらえて、床にうつぶせで伸びてしまっていたのだ。

どうしよう、ペンが剣に負けてしまった・・・・。


「O・・・・Ni・・・・I・・・・Sa・・・・Ma・・・・・」


闇堕ちしてしまったソフィーは、地獄の底から響いて来る亡者の叫び声の様な、そんな金切り声にも近いような、形容しがたい声でなおも僕を呼ぶ。


「ソフィー・・・・」


もういいや。


このまんま、二人で地獄でもどこへでも行こう。

堕ちるなら、一緒に堕ちればいいや。


そんな風に、思えたら、心が軽くなった。


僕は、ポツンと立ったまま動かないソフィーへと近づくと、そっと両手を広げて、ギューっと抱きしめた。






















「お兄様ぁ~♡

朝ですわよぉ~♪」

「へ?」


目を開けると、そこには長大な両手剣ツーハンデッドソードを握りしめながら、ニコニコしているソフィーが居た。


僕は、冷や汗をかきながら、聞いてみた。


「おはよう。ソフィー。

もしかして・・・・約束のために?」


パァーっと満開の花のように、笑顔を浮かべて、ベッドの上で上半身を起こしたばかりな僕へ抱き着いて来るソフィー。


「覚えていらしたのですわねーっ!!

嬉しいですわっ!!」


だから、毎回毎回武器は何処へ消えてしまうんだよっ!?

ツッコミたいけど、命懸けだよね。


そういえば、昨夜寝る前に、寝ぼけ眼の僕へ向かって、ソフィーが一方的にだけど


「明日は、朝から一緒に買い物へ出かけたいですわ!」


とか言ってたっけ。

危なかった。


忘れていたら、アノ悪夢が現実になるところだったのだろうかと思うと、僕は滝の様な汗がダラダラと零れ落ちて止まらなかった。


「あ、ああ。忘れるハズが無いじゃないか・・・・ ハハ、ハハハハハ。」


乾いた笑いを浮かべる僕へ、ソフィーが止めの一言を告げる。


「お兄様の耳元で『約束を忘れたら殺しますわよ。』って睡眠学習させた効果があったというものですわ♡」


なんだって・・・・。


「やっぱりお前の仕業くわぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!」


寝ても覚めても、どうやら僕はソフィーに振り回される定めのようだ。

ハァ。



アン王女の様に、美しく優雅な休日の冒険を描こうと思ったら・・・・Orz←どうしてこうなったし?


ソフィーの闇堕ちの夢が正夢になるかどうかは、作者にも分かりません(汗



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