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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第二章 学園祭編 ―悪役令嬢暗躍―
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61.学園祭第四日目『弁論大会』 と五日目『閉会式』


学園祭四日目『弁論大会』


いつもの大広間へ大勢の者たちが集まっている。

今日は、『弁論大会』が行われており、既に何人かは発表を終えている。


この弁論大会と、明日の『閉会式』のために作られたステージで、インテグラ先輩が熱く語る姿に、周囲はシーンと静まり返って、耳を傾けている。


インテグラ先輩のよく通る声が、大広間に集まった者たちの耳朶を心地よく打つ。

そして、語る内容もまた、正論だと僕には思えた。

だからだろうか、深く頷く者たちも多く見受けられた。


主題「青春について」


「青春は一度きりだ!


私たちは今、王立学園で学んでいる。

中等部の者たちは、13から15歳程の者が多いことだろう。

高等部なら、16から18歳程になるだろう。

18歳と言えば、王国では大人と見なされる。

我々は、未熟だ。であればこそ、失敗してしまうこともあるだろう。

しかし、青春は一度きりだ。

後になってやり直しをしようと思っても、やり直しできるものでは無いのだ。



だからこそ、精一杯生き抜くことが大切だろう。


ある者たちは、学業に情熱を注いで、将来の夢を自ら切り開くつもりだろう。

また、乗馬などのスポーツに打ち込む者たちも、多くいることだろう。

そして、将来を見据えての、恋愛にこそ価値を見出し、積極的にアプローチを図る者たちも一定数居ることだろうとボクは思う。


だがしかし、時には変化も必要かもしれないとは思わないかい?


これまで通りな、型に嵌った、決まりきった人生で良いのだろうか?

ボクはそんな風に、疑問に思うことがあるんだ。


やはり、型通りな人生、そればかりではつまらない。

時にはハメを外して、思い切りの良いことも試してみようではないか。

そうすれば、普段では目にできないことや、新しい刺激を受けるチャンスが拓けるかもしれないのだから。


かく言うボクも、先日一人の魅力的な男性へ、想いを打ち明けたばかりなのさ。

まあ、返答は、まあ、惨敗だった。

だが、やるだけやった結果なのだから、後悔は無い。


ともかく、ボクたちは、時として冒険をする必要があるんじゃないか?


その結果、ボクたちは成長できるのだから。


確かに青春は、一度きりで、やり直しが利くものではない。

また、打ち込む物を見出した者たちにとっては、良い思い出が沢山作れるだろう。

だがしかし、一度きりだからこそ、時には冒険もまた必要なのだろう。

そこでは、得難い、貴重な経験を味わうことが出来るのだから。


以上が、ボクが思う『青春について』でした。

ご清聴ありがとうございました。」


大広間に集まった大勢の中から、ザルツブルグ侯爵令嬢、エイブラムら乗馬愛好者の面々、そして、不意に僕の顔を見つめながら語る先輩。


なんか、恋愛のところだけ、ジーっと見つめられたせいか、僕一人に語り掛けているように錯覚してしまうんですけど。


先日のことが、ちょっとだけ頭を過るけど、先輩も悔いは無いと言ってくれているのだ。


成程、先輩の弁論は『起承転結』の一つ一つが、分かりやすく語られているのだなと、聴きながら感じていた。


やはり、インテグラ先輩の話しは、よく纏められていて、分かりやすいのだなと。

結論部分について語る先輩は、思った通り、全体を総括して主張している。


最後まで語り終えた先輩が、ペコリと軽く頭を下げて、降壇すると、鳴りやまない拍手が続いていた。


無論僕も、尊敬する先輩への惜しみない拍手を送り続けた一人だ。

こうして、四日目のメイン『弁論大会』は、インテグラ先輩が優勝して幕を閉じた。


女生徒が優勝ということで、かなり悔しがっている男子生徒が大勢いたけど、学園内は基本実力主義だ。


惜しむらくは、王国内外でも、未だに女性の優秀さが認められはするものの、その多くは良妻賢母としての役割を求めてであって、男性優位社会であることに変わりはない。


ごく稀に、『女王』として君臨する者が登場するものの、だからといって、女性が多く登用されるなどということも無く、社会全体がある程度定まった形を保とうとしている様にも見える。


世界規模での大戦争や疫病による大量死など、人口激減を経なければ、一度培われた価値観が変換することが難しいのかもしれない。


なんだか、色々と考えさせられちゃったけど、四日目はこんな感じで終わった。





学園祭5日目『閉会式と舞踏会』


前半は挨拶と会食。


「・・・・であるからして、我が栄えある王立学園で学ばれておられる生徒諸君は・・・・云々かんぬん。喧々諤々。唯々諾々。諸説紛々。呉越同舟。焼肉定食。」


開会式と同様に、学園長やら来賓、父兄の中から代表的な人など、様々なお偉いさんによる『ご挨拶』が語られて、本来であれば主役なはずの僕たち学生は、ほとんどどうでも良いモブ状態となる。


まあ、こればっかりは、どこの行事でも同様なのだろうな。


むしろ、僕たちの楽しみは、午前中に行われる式典セレモニーなんかよりも、午後に行われる舞踏会の方がメインのようなものだ。


午前中の長い長いお偉いさんたちの話しが終わると、城の内外に設けられた昼食会場にて、学生同士で歓談したり、家族や従者と共に食事をしたり、学生によっては卒業後の進路に備えて、来賓やお偉いさんたちと歓談している者たちも居る。


王宮勤めや地方貴族領へ就職しても、場合によっては大学へ通ったり他国へ留学したりも可能だから、進路は人それぞれだ。





学園祭最終日の見せ場の一つに、ダンス前に生徒らが考案したデザインの衣服を発表する時間が設けられている。


大広間では、巨大なステージが前方に設けられており、そのステージから、T字に花道が伸びている。


ファッションショーのための舞台なのだ。


生徒等が『考案した』とは、実際に針仕事をする者もグループによって存在はするが、経済的にゆとりのある者たちは、自分のデザインをスケッチするか、描かせて、被服業者や奉公人に実際の衣服を作らせるのだ。


発表もまた、自ら着て見せる者も居れば、奉公人やモデルとして雇われた者に着せる者もいる。


そうやって、花道の上には次から次へと、美しく着飾った男女が、キャットウォークと呼ばれる、モデル歩きをしながらキレッキレのターンをキメては去ってゆく。


まあ、正直に言えば、この辺も僕にとってはあまり興味が無い。


モデルなら、ソフィーが勤めれば似合うだろうなぁ・・・・。

なんて、ぼんやりと考えながらステージを見ていたら、意外な人物が登場して少し驚いた。


「クララっ!?」


そうなのだ、大貴族と呼ばれ伯爵家長女であるクララが、自らデザインしたと思われる清楚な感じの真っ白なドレス姿で登場したのだ。


その姿は、まるでウェディングドレス姿のようにも見えた。

きっと本当は、パーティードレスとかだったのだろうけど、真っ白という色は、どうしてもね。


しなやかな動きでスタスタと前へ進み出てきたかと思ったら、僕の目の前でわざと立ち止まり、手にしたブーケを投げるふりをしてから、艶然と微笑んで見せたのだ。


「っ!?」


立ち止まったのは、ほんの僅かな間だったと思うのだけど、僕へ流し目まで送って来たから、心臓が少し高鳴ってしまう。


僕以外でも、ちょうど周辺に座っていた生徒等や父兄たちは、エリカのパフォーマンスにクラっときてしまったようで、顔を赤らめたり、拍手を送っている者たちが大勢いた。


「やるな。」


僕の隣では、アドルフがニヤニヤしながら僕の方を見ていた。

こんな時ばかり察しの良い奴めぇ。



次で、『学園祭編』が終了する予定~

(`・ω・´)ゞ




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