60.学園祭三日目『詩会』 ― それぞれの恋詩 ―
学園祭三日目『詩会』
私の名は、シャーロット・グリューネワルト。
父は辺境伯だけど、祖父の代から続いているお陰で、少しだけゆとりも出来てきて、初等部から王立学園へ入学できているけど、友達の入れ替わりもそれなりにある。
貴族とはいえ、裕福な者ばかりでは無いのだから。
幸い、私の周りには、似たような境遇のアンとデアという、親友も一緒に居ることが多くて、一人で過ごすことはあまりないけど。
私にはある時期から、とても気になる人が居る。
アーデルハイドという、女性らしい名前の彼は、見るからに庇護欲をそそられる様な、所謂『中性的』な美しさを備えている。
身長170cmくらい、薄水色てサラサラとした髪の毛に、長い睫毛。
瞳はまるでキラキラと輝くエメラルドを嵌め込んだように煌めき、鼻もスッと嫌味にならない程度に高い。
唇は、柳葉のようで、そこから零れ落ちる声は、天上の調べのような幸福感を得させてくれる。
スラっと伸びた手足も、男性だけどクビレのある腰元も、触ってしまいたくなるようなお尻も・・・・。
全てが、彼という存在を引き立たせてくれている。
幼少の頃からの彼を知っているけど、ずっとそんな感じで育っている彼のことだから、これから先も、その美しさが損なわれること無く、美丈夫として成熟されて行くのだろうな。
出来ることなら、そんな彼の隣に、私が寄り添って生きられたならば・・・・。
「フゥ。」
学園祭三日目の、『詩会』会場で私は思わず溜息をついてしまった。
「どうしたの?」
「大丈夫?」
優しいアンとデアの二人が、心配そうに顔を覗き込んでいた。
私ったら、うっかり溜息を漏らしてしまうなんて。
「なんでもないわ。
ちょっと、考えごとをしていただけよ。」
「なら良いけど。」
「何か悩み事があったら、いつでも相談してね?」
「ええ、ありがとう。」
そんな遣り取りをしている間にも、『詩会』はゆるやかに進んでゆく。
◇
ここは、初日に『模擬騎馬戦』が行われた池の畔。
東屋が幾つか点在する中の一つで、東屋に審査員である学園教授陣が座り、周辺に日除けの屋根付き壁無しテントを幾つも連ねて、椅子に座りながらお茶を楽しむ父兄らが大勢居る。
学生たちは、それぞれ自分たちの学年ごとに設けられたテントの下におり、事前に発表された詠み手が、司会進行を務める国語教諭から、自分の番を告げられると、前へ一歩進み出て、自分の詩を詠むのだ。
今は、1学年の発表が終わって、2学年がゆったりと管弦楽団の調べをBGMにしながら、一人ずつ詩を詠んでいた。
そこへ、ちょうどエリカの名と作品のテーマとタイトルが読み上げられる。
「― 2学年 エリカ・リンデンブルク嬢『恋詩・獅子』 ―」
エリカは、一段高く作られている壇上へと昇り、軽く一礼すると、丸められた状態であった紙を拡げて、自分の作品を読み上げる。
“募る程 憎しと想う この気持ち
あなたを従えて 私の自由にしてみたい
つれない貴方を いずれは私の膝の下へ
もしも貴方が仔鹿なら 私は師子”
短く纏め上げられた詩へ、自分の想いを込める。
そして、再び軽く一礼すると壇の下へ降りて行く。
こうして、次々と名が呼ばれた者が進み出ては、一礼して壇上で詩を読み上げる。
「- 2学年 シンシア・ラウエンブルク嬢『思慕詩・遊泳』 -」
“私なら 貴方を連れて 回りたい
楽しい場所なら知ってるわ
幸せは 貴方が運んでくれるもの
私は 貴方の側が良い
貴方で満たされる世界に
私は自由に泳ぎたい”
ペコリと頭を下げたシンシアの姿が、あまりにも可愛らしかったせいか、ニコリと微笑み返す者たちも多かった。
それぞれの性格が、そのまま詩に表れているようで、内容はともかくとして、参列者たちは、一様に笑顔で聞いている。
「― 2学年 クララ・クルムバッハ嬢『慕情詩・蜜蜂』 ―」
“降り積もる 落ち葉の様なこの気持ち
舞う葉のように 揺れ動き
どこまでも募る 私の想い
貴方が花なら 私は蜂
哀れに周囲を飛び回り
蜜のように貴方を慕う”
クララの詩を聞いた観客席の人々の反応はそれぞれだった。
ある人々は、少し戸惑ったような表情を見せ、別な者たちは深く考え込み、あるいは、繰り返し頷いている。
そうして、シャーロットの出番が来た。
「- 2学年 シャーロット・グリューネワルト嬢『恋詩・強敵』 -」
小さく深呼吸をすると、壇上へ進み出る。
そして、軽く一礼をして、手にした詩を詠みあげる。
“まぁ嫌だ 私の頭を占領しないで
どこかへ行ってよ 出て行って!
どうして離れてくれないの?
どうすれば忘れられるの?
貴方はとてもズルイ人
私の心を占領中
白旗上げて
告白よ
好き”
最後に、照れたように少し顔を赤くして、シャーロットが軽くおじぎをすると、数名の者たちが『ウンウン』と何度も頷いている姿が見て取れた。
友人たちは、親指を立ててニカっと笑っている。
「フゥ。」
軽く溜息を吐くと、シャーロットは吹っ切れたような表情で、席へ戻って行った。
◇
その頃、男子学生の多くは、『詩会』に参加する者、見学する者、出番は無いとばかりに、自分たちで勝手に他のことをして盛り上がる者たち、寮や自宅で過ごす者たちなど、好き勝手に過ごしていた。
アーデルハイドはといえば、実は暢気に会場に来ていたりする。
「ふーん、なんだか『恋愛』に関する詩が多いみたいだなー。
まあ、女の子たちだもの、やっぱり興味はソッチ系が多いのかな?」
彼の周囲に居たアドルフ始め、友人たちやクラスメートは、声にこそ出さなかったが、全員が一人残らず、心の中でシンクロして叫び声を上げていたという。
『ほとんどの女子がテメーの事を読み上げてんじゃねぇーかよっ!!
気付けや! リア充がっ!!』
以心伝心とはいかない、アーデルハイドであった。
学園祭三日目のメインプログラム『詩会』は、こうして何事も無く、平和裏に幕を閉じた。
クララが最優秀賞を貰い、エリカが寡作、シャーロットが審査員特別賞をそれぞれに貰った。
正直に書きます。
『恋詩』なんて真似事、初めて書きました。
自分で自分の首を絞めると言うのは、こーゆーことを指して言うのだと思い知りました。
今度からもう書かないように、お話しを組み立てないと・・・・(白目
バタリ (o_ _)o ~~~ †
※HP0. 作者は死んでしまった。
「おお作者よ。しんでしまうとはなさけない
ぼうけんの書を続けますか? YES NO 」
YESの人は、「ブクマ」をポチと・・・・(ぇ




