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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第二章 学園祭編 ―悪役令嬢暗躍―
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57.学園祭一日目 ― チャーリー vs デルタ ―



一方、学園敷地内の池の反対側では、チャーリー対デルタの戦いが同時並行で進められていた。


『第一回戦。チャーリー対デルタ戦。』


チャーリーチームも、先日のデルタチームによる騎兵全騎による奇襲を警戒して、ブラボーチームと同じ作戦を取っていた。


すなわち、全軍による守備作戦だ。


ところが、作戦開始から、デルタチームからの動きが一行に無い。

ソワソワと落ち着きなく、指揮官や歩兵たちが周囲を見渡しても、騎兵一人はおろか、偵察の兵士すら姿が見えないのだ。


「おかしい・・・。」

「一体アイツラは何をやっているんだっ!?」

「まさか、迷子になっているとかじゃないよな?」

「そんな馬鹿な・・・・。」


三学年を中心としたチャーリーチームの指揮官たちは、何度目になるか分からない遣り取りをしていた。


「シュナイダー隊長。ここは一つ、強襲偵察を意見具申します!」

「フム。このままでは、制限時間終了で、引き分けとなってしまう恐れがあるな。

よかろう。念のため、少し多めに行かせて、異変があれば、一騎でも構わん。

急いで戻るのだぞ。」

「ハイっ!」


通常であれば、2~3騎ほどを行かせれば偵察としては十分だが、敵の偵察や先頭集団が見つかった場合、同数かこちらが多ければ、攻撃して敵兵の数を減らすことを主目的として、15騎の偵察隊を出発させた。





中等部から騎乗できる者たちだけで送り込んだとはいえ、15騎もの数を武力偵察隊として送り出したのだ。


必ずや、なんらかの報告が齎されると信じていたシュナイダーであったが、突然林の向こう側から、失格者が出た笛の音が聞こえた。


“ピーッ! ピピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!”


「なっ!?」

「隊長っ!! 敵が林の向こうで待ち伏せしていたのではっ!?」

「クソっ! 待ち伏せのつもりが、逆に嵌められたってことか!?」


30騎ばかり居る偵察隊の内、半数が呆気なく失われてしまった。

このまま黙ってこの場に居座っていても、判定負けとなるのが確実となってしまった。


「仕方が無い。出たくは無かったが、15騎よりも多くの敵を討ち取らないと、判定負けだ。ここは打って出るぞっ!!」

「了解しました。しかし、ここは慎重に行かないと・・・。」


副隊長のソミュアが敢て慎重論を唱える。


「分かっている。相手はあのアドルフとアーデルハイドのコンビだ。

踊らされるのはアルファチームだけで十分だ。」


引き締まった表情でシュナイダーが告げると、周囲に集まった者たちも同様に頷き返した。


「では、作戦としては、機動力重視で行きますか?

それとも、防御力重視で?」


作戦参謀の少し小柄なピュトーが尋ねて来る。


「ここは、機動力で攻めたいところだが・・・・。

アデールハイドがどんな奇策を用いてくるか分からん。

防御力重視で行こう。」

「分かりました。では、歩兵200に騎兵50ではどうでしょう?」

「守備は、歩兵100に騎兵90程か。

まあ、それくらいだろうな。」


作戦の方針は決まった。


大盾を構えた歩兵100に弓兵100を前面へ出し、騎兵が周囲から戦場をかく乱させる。


「よし、全軍! 前進っ!!」


シュナイダーの号令が響くと、チャーリーチームの攻撃隊が林の向こう側へと移動し始めた。





チャーリー側の騎兵たちが、林の近くを通りかかった時だった。

おかしなものを発見したので、調べようとしたところを奇襲されてしまった。


「っ!? 敵襲っ!!」

「わっ!?」

「うわっ!!」

「ぐはぁっ!!」

「おぅっ!?」


アーデルハイドの計略により、林の側に、わざと武具を置いていたのだ。

わざわざ目立つ場所に、10枚の大きな盾を立てかけて置き、兵士が居るように偽装してあったところへ、シュナイダーが警戒し、距離を取ったままで移動速度を落とす。


だが、偽装兵は偽装兵であり、攻撃も動きも無い。


流石におかしいと気が付いたシュナイダーが、調べるようにと20騎程の騎兵と、歩兵10名を近づけさせた途端に、林に潜んでいた人数は不明だが、少なくは無いと思われる弓兵から、射撃されてしまったのだ。


“ピピーッ!”


またしても、落伍判定の笛が鳴り響く。


「クッソーっ!!

あいつら完全に俺たちのことをおちょくってやがんじゃねーかっ!!」

「落ち着けっ!

冷静さを失っては、思うつぼだぞっ!!」


反撃しようと、林へ向けてこちらも弓兵による乱射で応戦してはみたものの、手応えすら無いままに逃げられてしまったようだ。


ここでもまた、18名の脱落者を出してしまい、先程の15名と合わせて33名も失ってしまった。


「全軍のほぼ一割近くか。

実戦なら退却ものだな。」


シュナイダーが自嘲気味に笑う。

それをやや窘めるように、副隊長のトムソンが言い返す。


「未だだ。敵のフラッグさえ押さえてしまえば、俺たちの勝利だ。」

「ああ。そうだな。」


フラッグ戦は、特定の陣地を定めて、その陣地へ向けて進軍し、相手チームのフラッグを奪えば勝利となる。


学園に於ける『騎馬戦』では、フラッグを設置する場所は、自軍が決めて良い。

多くは、正々堂々と宣言した通りに、自軍の陣地奥深くとはいえ、中央に設置するチームがほとんどだ。


中には、四隅や目立ちにくい場所にフラッグを設置することで、発見を遅らせるチームも時々あるけど、大抵は、小高い丘の上や森の中の開けた場所など、ある程度の軍勢を展開できる場所に設置する。


そうすると、必然的に戦場内でフラッグを設置しやすい場所は限られてくるので、両チームとも、大体は相手チームの設置したであろう場所を目指して進軍する。


ちなみに、土の中へ埋めるとか、行けの中央に設置して、船で渡らなければ取れないとか、フラッグを持ち歩いて移動するなどは反則行為となり、きちんと回収可能な目立つ場所に掲げられていれば、ルール上は問題にはならない。


あとは、近くに居る審判に事前に了解を取ってあれば、どこに設置したって構わないのだ。


当たり前だけど、高所にある城から誰かが教えるのは、即失格となるので観客からは教えられない。





一方、僕とアドルフは、自軍の陣地で相手チームが攻めて来るのを待ち構えていた。


「そろそろ来る頃だと思うか?」

「ああ。僕の罠に上手く嵌ってくれたみたいだから、そろそろだろうね。」


そこへ、先程林の奥から、側を通りかかったチャーリー攻撃隊へ弓矢を放った60名ほどが戻って来た。


「報告っ! 敵騎兵12、歩兵6失格、被害0っ!」

「ご苦労。陣地へ合流せよっ!」

「ハっ!」


アドルフが告げると、中等部男子を中心とした弓兵たちが、一人の脱落者を出すことも無く、そのまま自軍へ合流した。 


「ここまでで、33名脱落。

そろそろ、シュナイダー先輩がお冠じゃないか?」

「だろうね。」


アドルフと同じくらいの巨躯を誇る先輩が、怒りで顔を真っ赤にしているであろう姿が目に浮かんだ。


「さあ、こちらも防御の仕上げだっ!!」


アドルフの号令に合わせて、敵襲に備えて林の近くまで移動していた騎兵たちが、一か所へ集まりだす。





「こんな所に隠れていやがったのかっ!!」

「ようこそ。先輩。」


チャーリーチーム230名ほどを率いたシュナイダー先輩が、想像通り耳まで真っ赤にしながら、僕とアドルフを睨みつけて来た。


アドルフはと言えば、涼しい顔をしたままで、片手だけで二本指敬礼をして見せた。


「今こそ目に物見せてやるっ!!

覚悟しろよっ!!」


怒りで冷静さを欠いているらしいことは、一目で分かった。

それでこそ、わざわざ罠に嵌めた甲斐があるというものだ。


「いやー 先輩が怒ると、メチャクチャ怖いですねー」


わざと棒読みで告げる。


「うぉのぉれぇっ!! アーデルハイドっ!!

貴様のその女みたいなツラに、悔しさを刻み込んでやるっ!!

前衛部隊っ!! 前へっ!!」


なんか、無茶苦茶言われてるけど、怒っていても少しは冷静さが残っていたようで、弓矢が届く距離へ近づく前に、大盾を構えた歩兵が前列へ進み出て、長大な盾による壁を作られてしまった。


成程、これならこちらから弓矢を放っても、ダメージが激減するだろう。


「おい、アーデル!」

「どうした? 友よ。」

「先輩がマトモに作戦通りに動いてるらしいぞっ!!」

「なんだってっ!?

そりゃー大変だっ!!」


アドルフがなおも、先輩への挑発を止めない。

ならばと、僕も悪乗りしてしまう。

『後で怖いなー』

などと内心では思いながらだけどね。


「クッソーっ!!」

「あ、ダメだってっ!! シュナイダーっ!!」


同学年で副隊長のトムソンが止めたが、無駄だったようだ。

激昂のあまりか、シュナイダー先輩が、単騎で乗り込んできたのだ。


「アドルフっ!! 一騎打ちだっ!!」

「OK先輩っ! その誘い乗りますよっ!!」


模擬戦とはいえ、騎士にとっての一騎打ちは神聖なものだ。

両軍に随行している審判から、それぞれ二名の王国騎士が立ち会う。

四隅に一名ずつが立ち、一騎打ちを見守るためだ。


アドルフとシュナイダー先輩の両名が、自軍を背にして槍を構えて立ち、合図を待つ。


騎乗者の荒ぶる気持ちが、騎乗している馬にも伝わるのか、真っ黒で見事な身体付きのサラブレット種の馬が、足元の土を何度もザッザッと片足で蹴り付ける。


「お前の無敗伝説も今日までだなっ!

俺が、ここで連勝記録を止めてやるからだっ!!」


クォーターホースと呼ばれる種類で、見事な栗毛に顔の前に一本の白い帯のある体格の大きな馬に跨ったアドルフもまた、悠然と微笑みながら返した。


「先輩。そーゆーセリフは、一度でも俺に勝ってから言ってくださいよ。」


周囲で聞いていた者たちが、思わず “プっ” と噴き出してしまった。


鼻息も荒く、そんな自分を嘲笑う者たちをギロリと睨み返すと、シュナイダー先輩は黙り込んだまま、アドルフへの怒りを更に燃やしているようだ。


そんな遣り取りも一騎打ちの前座とばかりに、審判役の騎士が、両者へ目線で確認すると、頷き、赤旗を天高く構えて開始を告げる。


「では、構えぇーーーーっ!!」


全身鎧に包まれた両者が、天高く構えていた長い槍を、スっと水平に持ち直して構える。


「始めっ!!」


審判の赤い旗が振り下ろされる。


ドドッ! ドドッ! ドドッ! ドドッ!


両者が跨る見事な馬たちが、鬣を風に棚引かせ、力強く大地を蹴るたびに、グングンと加速して行く。


一陣の疾風の様に、両側から相手へ目掛けて一直線に槍を構え、突撃する二騎の姿は、まるで色の異なる一対の稲妻が、両側から引かれ合って絡みつこうとしているかのような、そんな刹那の美しさを備えた勇猛さを感じさせた。


「セイっ!」

「っ・・・!

グワぁ・・・・」


勝負は一瞬だった。

アドルフ目掛けて、一直線に突撃したシュナイダー先輩の槍は、一瞬タイミングをずらして後から巻き上げるように突き出されたアドルフの槍に弾かれてしまい、そのまま胸元への一撃を受けて、落馬してしまったのだ。


“ピピーッ!!”


「勝者っ! デルタっ!!」


鋭い笛の音と、審判が敗者を表す白い旗をチャーリー側へ向けて突き出し、勝者を告げる声が高らかに響き渡る。


学舎である城の上にあるテラスや尖塔から、オペラグラス片手に観戦していたマダムたちや、女学生たちからは黄色い歓声が甲高く上がっていたのがここまで届くほどだった。


無論、僕たちの側でも、歓声が巻き起こり、誰もが口々に勝者であるアドルフを褒め称えた。


「いいぞっ!! アドルフ隊長っ!!」

「流石だっ!!」

「作戦通りだったなっ!!」

「見事だっ!!」

「やったぁーーっ!! 

敵の隊長を討ち取ったぞぉーーーーっ!!」


対するチャーリー側は、惨めなものだった。

隊長が討たれてしまったのだ。


「次からは、『シュナイダーの悲劇』・・・だな・・・。」

「だな・・・・。」

「言うなぁーーーーーーっ!!」


落伍判定により、審判から退場を命じられたシュナイダー先輩が、追い打ちを掛けるようにして呟かれた同級生たちの声に、涙目になって懇願していた。

そこへ、審判から更に厳しく、退場を命じられる。


「シュナイダー選手っ! 早く戦場から去りなさいっ!!

追加ペナルティー対象となりますよっ!!」

「すみませんっ! すぐ去りますからっ!!」


見送られる姿は、哀愁を帯びていたという。





隊長同士の一騎打ちで勝利を治めた直後ということもあり、僕たちデルタの士気は最高潮の状態だ。


対するチャーリーは、敗北して退場となったシュナイダー先輩から、副隊長だったトムソン先輩へと引き継がれている。


一旦冷静になるためにも、15分だけ中断をしての仕切り直しとなり、両軍が陣形を組み直して、対峙したところからの試合再開となった。


「なあ、次のトムソン先輩ってのは、どんな戦い方をする人なんだ?」

「それが、普段はシュナイダー先輩が隊長で、トムソン先輩が部隊を率いて戦っている姿を一度も見たことが無いんだ。」

「そうか。まあ、お前がいれば、負けるなんてことは無いと思うがな。」


信頼してくれるのは嬉しいけど、マジで初めての対戦相手はやりにくいんだよなー。


「お手柔らか頼むよ。アドルフ君。アーデル君。」

「よろしくお願いします。トムソン先輩。」

「こちらこそ。胸をお借りましす。トムソンン先輩。」


両者の挨拶が終わり、審判役の騎士が真っ赤な旗を天高く掲げる。


「両軍ーっ! 構えっ!!」


大盾や弓を構える中等部男子学生。

槍を水平に持ち直して、突撃姿勢を取る騎兵たち。


審判の旗が振られた。


「始めっ!!」


予想通り、トムソン先輩は守備に徹するつもりらしく、先程構えた大盾隊も、一歩も前進する様子が無い。


対する僕たちは、フラッグ周辺に100名の歩兵隊を大盾を構えて整列させ、その内側へ弓隊が控えている。


騎兵隊は、その前列に整列させているけど、攻めるつもりは無い。


先程相手チームの隊長を倒しているので、ポイントでは十分にこちらが有利なのだ。

無理せずに、このまま防御に徹して、時間切れを狙っても勝てるのだから。


そう思って、わざと泰然と構えて見せていると、痺れを切らせたのか、相手チームに動きが生じた。


「弓兵っ! 前へっ!!」


トムソン先輩の命令で、100m程離れた場所に弓兵隊が進み出て来た。

丁度、弓兵たちによる殺傷能力としては、有効射程距離内へ、僕たち騎兵を捕えるつもりのようだ。


「構えーっ!」


同時に僕も叫ぶ。


「放てぇーっ!!」


僕の後方に位置する大盾を構えた歩兵集団の後方から、長弓と言われる、射程距離の長い弓から矢が降り注ぐ。

その前へ、騎乗した僕とアドルフ、それと数名の騎乗したままでも弓矢を的に当てるのが上手い騎手たちが、横一列に並んで素早く矢を射かけるのを繰り返す。


こちらは戦闘再開前から既に長弓兵が狙いを定めて待機済みだったのだ。

無論、これも審判が確認していた開戦前の状況を再現したところに含まれている。


「「「「「えっ!?」」」」」」


戸惑うばかりで無防備なチャーリー側の弓兵へ向けて、次から次へと、長弓兵と騎乗した僕たちの弓から次々と矢が撃ち込まれる。


残念ながら、彼らが咄嗟に放った矢は、こちらの大盾に阻まれたのと、騎乗して移動したために、かすり傷程度の部位にチョークが残っており、ほとんどが致命傷判定とはならず、3名落伍判定者が出ただけで済んだ。


“ピピーッ!!”


致命傷判定となった弓兵たちへ、審判たちが次々と落伍判定を下す。


「退けっ! 退けぇーっ!!」


トムソン先輩の必死の叫びに応えて、短時間で半数ほどに撃ち減らされてしまった弓兵たちが、大盾の後ろへ退く。


「おのれっ! またしてもアーデルハイドの奇策かっ!!」


歯ぎしりしながら、トムソン先輩が僕の方を睨みつける。

いや、これくらいは普通だよね?


そう思ったんだけど、火に油注ぎそうで声に出すのは止めておいた。


また防御を固めて、手出しして来なくなってしまったトムソン先輩率いるチャーリーチーム。

まあ、このままでも先に言ったように判定勝ちに持ち込めるんだけど。


でも、それじゃ納得してくれない男が、僕たちのチームの隊長してるからなぁ・・・。


「よし、それじゃ、残った敵さんも片づけちまおうかっ!」

「「「「「オウっ!」」」」」


アドルフが指を口近づけると、鋭く“ピューイッ”っと指笛を鳴らした。


すると、チャーリーチームが防御陣を敷いている後方の林の中から、次々と70ばかりの騎兵たちが表れた。


前面に、僕たちのフラッグ守備隊。

後背に、新手の騎兵戦力。


両側から挟撃される形となってしまい、チャーリー側は身動きが取れなくなりそうだった。


「騎馬隊っ! 後方騎兵へ突撃っー!!

歩兵隊は、前面からの攻撃に備えろっ!!

弓兵っ! 支援射撃頼むっ!!」


トムソン先輩は、冷静に素早く状況判断をして、咄嗟にできるであろう最低限の指示だけを与えて、後方から出現した騎馬隊へ仲間を率いて突進して行った。





この戦いは、城のテラス席から見ている者たちから、俯瞰して眺めると、丁度、林の中から表れたデルタチームの騎兵たちに対して、トムソン先輩たちの50騎ばかりが、一直線に槍を水平に構え、鬣を揺らしながら突っ込んで行った。


ドカドカドカッ!!


激しく互いの槍が、相手の胸元や腹目掛けて突き出され、打撃音が大きく響き渡る。


トムソン先輩率いる騎兵たちは、優秀な者たちが多かったらしく、数で勝るデルタ側の騎兵にも多数の落伍判定者が出てしまった。


それでも、約半数近くに打ち減らされてしまい、トムソンの周囲には僅かに24騎ばかりしか残ってはいない。


トムソン先輩が、騎兵50騎を全部背後から表れた友軍へ向けてくれたので、こちらも次の動きが散りやすくなった。


「歩兵隊っ! 全速前進っ!!」


アドルフの号令で、大きな盾を構えたままの80名が、そのまま急ぎ足で敵陣の歩兵へ向かって進みだした。


「弓隊っ!!」


中等部男子の歩兵を率いる部隊長だろう、鋭く牽制するように号令が飛んだ。

当然、相手からも弓矢による抵抗が襲い掛かる。


「盾ー構えっ!!」


デルタチームの盾部隊からも号令が掛かるや否や、全面で構えた盾の上に、まるで屋根で覆い隠すように盾が上部にも掲げられた。


その姿を上から俯瞰すると、まるで大きな盾で覆われた巨大な長方形のダンゴ虫が、相手の陣地目掛けて押し寄せて行くように見えるであろう。


「よし、前衛部隊が敵陣へ突撃した。俺たちも行くぞっ!」

「ああ。」


今度は、アドルフと僕たち残りの騎兵が、敵歩兵隊へ突撃を仕掛ける。


既に、敵の陣地の大盾を構えた歩兵部隊と、デルタ側の大盾を構えた歩兵部隊がぶつかり合い、手にしたチョーク布付きの木剣で相手へ斬りかかっている。


そこへ、デルタ側の大盾の背後に控えていた弓兵が、狙撃により歩兵たちを更に打ち減らす。


無論、相手側の弓兵たちも、即座に気持ちを切り替えて、デルタ側同様に狙撃へと攻撃方法を変えている。


あちらこちらで、審判らによる致命傷判定の笛が鳴り渡る中へ、僕たち騎馬隊も、チョーク布付き木剣で切りかかる。


馬上と地面。

大体頭一つ分とはいえ、高低差があり、騎馬と徒歩では、速度差もある。

こうして、乱戦模様を深める両軍入り乱れての戦いは、騎兵の差によりたちまちチャーリー側が討ち減らされてしまい、残りの騎兵戦でもトムソン先輩以下の者たちは勇戦したものの、数の差は覆しようが無く、討ち取られてしまった。


「クソっ! またしても半分はやられてしまったかっ!!

止む負えない、後は、守備隊に託すしか無いか・・・。

それにしても・・・・ まさか450名全軍守備だったとはな・・・。」


項垂れながら、トムソン先輩と敗残者たちは学舎である城へとトボトボと歩いて行った。


チャーリー側の攻撃隊が全滅してからは、展開が早かった。

僕たちは、残りの190名ほどが護っているフラッグへ向けて、約二倍の400名を率いて襲い掛かり、圧倒することが出来たからだ。


“ピーーーピッ!!”


従軍している審判が、白旗をグルグルと城に見えるように大きく振って見せた。


すると、学舎である城から監視している審判からの大鐘二重奏が鳴り響いた。

ちなみに、戦闘開始は、ビューグル二重奏でも四チーム全てが同時に戦闘開始だから問題ない。


同時並行で二試合が行われるため、アルファ対ブラボー戦では、終了合図がビューグル三重奏。

僕のいるデルタ対チャーリー戦では、大鐘二重奏によって、戦闘終了が告げられる。


こうして、僕たちのデルタチームは、初戦を全軍守備という戦法で勝ち進めることができた。



「おのれ、またしても、孔明アーデルの策略かっ!」←何でもかんでも策略とか罠だと思ってはいけないと思うんです。


アツイ男と男のバトル姿を描いてみようかと思ったけど、表現力が及びじゃないと・・・Orz

騎馬戦終わった次は、他の日を描いてゆこうかなと


※変更済み


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