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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第二章 学園祭編 ―悪役令嬢暗躍―
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53.シンシア・ラウエンブルク辺境伯令嬢の想い


学園祭準備期間中で、それぞれの生徒らが慌ただしく過ごしているある日のこと。



「あのぉ・・・・、アーデルハイド様?」

「うん? 僕に何か用事かな?」


家へ帰ろうかとエントランスホールへ向かう僕を、一人の女生徒が呼び止めた。


確か、彼女の名はシンシア辺境伯令嬢じゃなかったっけ?

フワッとした感じの栗色の巻き毛が特徴で、パッチリとした目元に、プックリとした唇が愛らしい。所謂可愛い系美少女というやつだろうな。


そんな彼女が、一体僕になんの用事だろうか?



「あのぉ・・・・。そのぉ・・・・。」


モジモジと切り出しにくそうに、上目遣いで僕の顔を見つめて来る彼女に、僕は何故呼ばれたのだろうかと、心当たりも無く、どう返答すれば良いのか答えを出し兼ねていた。


それが、ようやく意を決したかと思ったら、一方的に捲し立ててきた。


「そのぉ・・・・ですね、明日っ!

明日、お話ししたいことがあるのですっ!!

ダンスパーティーの途中で少し抜け出して来てください。

第一音楽室で、お待ちしておりますっ!!」


ペコリと可愛らしくおじぎをすると、猛ダッシュでエントランスホールの外へ駆けだして行ってしまった。





シンシアの想い。


ラウエンブルク家と呼ばれる、辺境伯家に生まれた私は、何不自由の無い生活に恵まれていたの。


でも、そんな私には、ただ一つだけ、不自由を感じることがあったの。

それは、大好きだった母は、私が幼い頃に、流行り病で天国へ行ってしまった事。

お父様も、それは深く悲しまれて、少し年の離れたお兄様と一緒になって泣いていらしたものだわ。


それは、勿論私も。


幼かった私が、いつまでも泣き止まないものだからと、お父様や兄上、それに、屋敷の者たちは、しばらくの間、私のことを腫れものでも触るかのように扱ったもの。


当時の私も、大人たちが甘やかしてくれるものだからと、色々と調子に乗って我儘を繰り返しては困らせたものだったわ。


まあ、今でも困ったことがあれば、少しくらい涙を見せると、お父様やお兄様が無理を通してくださることには変わりは無いのだけれども。


ラウエンブルク辺境伯家は、お父様の代で7代目当主となる、由緒正しい家柄でもあり、領民も気質が穏やかで、治世は盤石。


時々蛮族が攻めて来るのが悩みの種くらいだけど、それも、領兵たちで撃退できる程度だから、それ程の深刻な脅威では無いけれども。


そのような貴族家に生まれたお陰で、私は、兄上と一緒に王都にある別宅へ住まいを移して、王立学園の初等部へ入学した。


学園では、初めて見る物や、出会う人々、学問など、興味は尽きなかったけど、やっぱり、年齢が近いお友達との交流が一番の楽しみだったわ。


そんな私が、初めてアーデルを意識しだしたのは、中等部へ移る頃だったっけ。


別に、普段からそんなに意識していた訳ではなくって、たまたま。

そう、たまたまだったけど、彼の目を偶然覗き込んでしまった時だったっけ。


透き通った宝石のエメラルドの様な、透明感のある瞳。


その瞳が、私の瞳を見つめているような、そんな錯覚を覚えてしまう程に、彼の混じりけの無い澄んだ緑色の瞳を見てしまった時。


胸がトクンっと一際高く鼓動した。


伝記物や古の神話などに登場する化物モンスターに、『吸血鬼バンパイア』という存在があるそうだけど、その化物は、血を吸いたいと狙いを定めた令嬢に、逆らえないように『魅了チャーム』という魔法を使うそうね。


アーデルの瞳に見つめられてしまった私は、魅了されてしまったように、その日から、彼のことが気になる様になってしまったの。


そして、中等部3年生の頃だった。


ある日、私の王都別邸でのお茶会へ、彼が来てくれた日の事だったわ。

私は、あの日の会話を一生忘れないだろう。


何気ない会話の流れの中で、私が幼少期に母を流行り病で亡くしてしまっていることに触れた時だった。


「そうだったんだね。シンシアさんも、辛い思い、淋しい思いをしたんだ。

僕も・・・・。


実は、僕も、大好きだったおばあ様を、流行り病でね。

あの時は、毎日涙を流してしまって・・・・。


あ、男のくせに、恰好悪いよね。

それに、僕はおばあ様だったけど、君はお母様だもの・・・・。


比べるものではないけれども、お互いに大好きな人を、病で失うという悲しい思いをしてきたんだね。」


そっと、触れたら消えてしまう様な、そんな儚げな、愁いを帯びた表情で、それでも笑顔を作り出そうとしている彼に、今度こそ本当に、気持ちを全部持って行かれた。


その後も、何度もお茶に誘ったし、「好きだ」とも伝えたわ。


でも、周囲に同じようなことをする者たちが多すぎて、彼の中では、どれが本当の好意なのか、冗談なのか、分かり難くなってしまったみたいで・・・・。


幼少の頃から、私が「欲しい」と思って、手に入れられなかったモノなんて、存在しなかったのに。


周囲の大人たちの力を協力を得てでも、醜くっても、浅ましくっても、どんな方法を使ってでも手に入れたいと思うモノが、執着したい程のモノが、生まれて初めて出来た。


だから、高等部へ進学した直後に、『アーデルハイド親衛隊』が結成されるお茶会、仲間内では『ザルツブルグ連盟』発足会となった時には、積極的に協力したものだったわ。


侯爵家のレベッカ嬢が、『親衛隊』の構想を聞かせてくれた時には、良い機会だと思えた。


「私は、そうですわね、『副会長』。

このポジションをいただければ、異論はございませんわ。

誰か、異論のある方はいらっしゃいまして?」


私がそう言えば、あの場に集まった令嬢方から異論など出るはずはない。

だって、ほとんどが私の友達や取り巻きだったのだもの。


そうやって、私にとって都合の良い組織が生まれたはずだった。

そう、ハズだったの。


やがて、肥大化する一方の組織は、永世会長レベッカの一強体制となり、次第に誰も告白出来ない様な雰囲気が、親衛隊全体を支配するようになっていた。


無論、勇敢にも告白して、アーデルから断られた人は、大勢いた影響も大分あるけど。

それでも、『自由に告白して良いのは、最初に登録した30番まで』という縛りは、想像以上に大きかったと思うわ。


やがて、親衛隊内部では、私たち30番以内の番号を持つ者たちのことを『特権階級』と陰口を言われるようになってしまった。


当然の如く、会長であるレベッカもそうだけど、副会長である私にまで、非難の矛先が向けられる。


慌てた私は、何度もレベッカに『組織の改革』を提案したものだわ。


でも、その度に


「何を言っていますの? 発足の規約に― 上位メンバー公認の下であれば、例外も許されること。 ―と、上位以外でも告白できる明記してありますわ。

何も問題ございませんでしょう?」


と、やり過ごされてしまうことの繰り返しだった。


ここで、私は初めてレベッカが、単なる『図書館令嬢=気弱な本の虫』では無いことに遅まきながら気が付いたの。


だから、私は実力行使へ移すことにした。



※すみません。作者都合ですが変更しました。


これは未投稿原稿ですが、物語り上加える予定だった部分を改変してます。

混乱させちゃったらごめんなさい<(_ _)>



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