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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第二章 学園祭編 ―悪役令嬢暗躍―
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50.タラフライから出しモノ ~ 金ダライも忘れるなっ! ~



それから、全てのタラフライを屋敷中の者たち、即ち、屋敷で奉公している者たちから、護衛隊に至るまで、全ての者たちで、交代しながら食べてもらい、異物が混入されていないかをチェックした結果、大量の異物が発見された。


「・・・・・。」

「なあ。これでもまだ、侯爵令嬢からの攻撃だとでも言うつもりなのか?」

「・・・僕は、僕は持論を捨てるには、未だ早いと思います。

未だ諦めません。」

「そうか・・・。」


ちょっと、いや、大分弟のバイエルには同情してしまう。


何故なら、これ程までに真剣に、全てのタラフライが消費尽くされるまで、食べる者たちに不自然な行動が無いかと見張り役まで買って出て、チェックして、見つかったのが。


「『当たり・ハズレ』と書かれた紙片とー、時々金銀銅貨がフライの真ん中ら辺で見つかたのには、皆喜んでおりましたわね♪」


結果だけ聞きにやって来たソフィーが、嬉しそうにテーブルの上に集められた異物を手にしながら、弾んだ声で歌うように告げた。


そうなのだ。


真剣に挑んだバイエルが可哀そうな程に、侯爵令嬢は人をおちょくるのが上手なようで、何ら疑惑に答えてくれるような手掛かりはゼロだったのだ。


結局、金銀銅貨は引き当てた者に配分して終わり、タラフライは全員の胃袋へ消費されてこの騒動は幕引きとなった。



「そう言えば、お兄様!」


ソフィーが夕食後も僕と一緒に過ごしたいと暖炉の側のロングソファーで僕に寄りかかっている。


「ん?」

「お兄様は、学園祭の最終日には何かご予定がございまして?」

「いいや。特には無いけど?」


学園祭最終日がどうかしたのだろうか?

ソフィーが興味を持つなんて。


「そうですの。でしたら・・・・。

私たちと一緒に、踊っていただけませんこと?」

「うん?」

「ダンスとリズムセンス抜群のお兄様ですから、時々一緒に練習して頂ければ、十分間に合うと思いますわ。


それに・・・・。


お兄様にとてっても、やりがいのあるダンスになると思いましてよ?」


ウフフと悪戯そうに笑うソフィーの顔は、やはりお尻に先端の尖った尻尾が生えていそうで蠱惑的だった。


どうやら、侯爵令嬢の陰謀疑惑が解決しないうちに、もっとやっかいな事へ巻き込まれそうな予感しかしないんだけど。





「お嬢様。随分とご機嫌がよろしいようで?」

「分かるかしらぁ~♪」


夕食後、執務室にて白髪頭メイドと、机の上にニマニマとしながら、ウフフとうっとり微笑みを浮かべたまま、組んだ手の上に顎を乗せ、余韻に浸っているソフィーが居る。


「だってー お兄様だけでもからかい甲斐があるってゆーのに♡

お兄様を小さくしたようなバイエルまで遊び相手になってくれてるのよ?

あんなに懸命になって、私を必死で睨みつける顔も可愛かったわ♡

それにしても、あと一手足りなかったわねぇ。

食べタラフライばかりに夢中になっちゃって、容器タライには全然注意を向けないんですもの。」


ドラコが綺麗に洗浄し終えた巨大な金タライには、一か所だけ裏側から見れば分かる場所に、僅かな窪みがあった。


その窪みの中に、ソフィーへ宛てた本物のレベッカからの密書が、油紙に包まれて耐水処理を施された上で、封じられていたのだ。


字が小さく、短いが流麗な字で書き添えられた内容は-


『親愛なるソフィー様へ。


今回の貴女からのアイディア、とっても楽しかったです。

最初は、何に入れて、どんな物を贈ろうか迷いましたけど、食べ物なら、そちらの解体に視線が集まりやすいかなって思って、タラフライを選んでみました。


ソフィー様所有のお店でも、フッシュ&チップスは扱っておられるご様子でしたが、今回は、我が屋敷の料理人たちが、腕を振るってくれたので、ご賞味くださいませ。


ついでに、中から出て来る物も気に入ってもらえたら嬉しいです。

次のアイディアがあったら、またお知らせください。


あなたの友レベッカ・ザルツブルグ』


ウフフフフフフフフーっと、少し不気味な笑い声をあげながらも、瞳の奥には、尚も油断為らない光を宿らせていた。


「それは、よおございましたね。」


つられて口角を少しだけ上げるメイド。


「それでね、ミラ。

こんなに面白いことに協力してくれたレベッカ様にも、お礼を伝えなくっちゃね♪」

「畏まりました。お任せください。

身体検査は継続されるでしょうが、問題ございませんから。」


フンフンと上機嫌に鼻歌を歌いながら、返信用の手紙をしたためる女主人の横顔に、こちらもまた満足そうな柔らかな視線を送りながら見守るメイド少女であった。





ソフィーが執務室で密書を書いてから、数時間後。

白髪赤眼メイドは、王都内にある侯爵家へ訪れていた。


「ザルツブルグ侯爵令嬢様。我が主、ソフィーお嬢様も大変お悦びでした。

特に、弟君であるバイエル様が激高して、タラフライから出て来た紙片を踏みつけている姿を眺めている時は、最高の笑顔でございました。」


どうやって尾行を巻いて来たのか、堂々とレベッカの待つ侯爵家の面談室へ上がり込んでいたのだ。


「それは良かったわ。私も、あんな子供っぽい真似したのは初めてですけれども、ソフィー様から『何か疑われそうな物をお贈りくださいませ』だなんて、素敵なメッセージを受けた時には、胸が躍ったものでしたわ。フフ。」


レベッカもまた、眼鏡越しに長い睫毛をフワリと上下させながら、転がるように微笑んでいた。

ある意味、感性的にソフィーとどこかで通じるとことがあるのかもしれない。


「今回の邪魔者を排除するまでという期限付きではありますが、共闘いただけることは喜んでおられました。今後のことも含め、良い関係を築ければと願います。」


メイドがしなやかに片膝を着いて頭を垂れて、令嬢への礼を取る。

その姿を見やりながら、レベッカもまた、顔をスッと上げ、凛とした声で応じる。


「ええ、そのことにつきましては、ちゃんと考えてあります。


それにしても、ソフィーさんは本当に大胆不敵な方なのですわね。

出来れば、いずれ直接お会いしてお話ししてみたいものだわ。


だからこそ、どのような結論へ至るにしても、ご期待には誠意を持ってお応えするつもりだとお伝えくださいな。」

「畏まりました。」


流麗な一礼を決めると、白髪のメイドは、短く頬の辺りで切り揃えた髪をたなびかせながら去って行った。




※変更済み


筆者都合によりお話しを二つに分けました。

混乱させたらすみません(汗)




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