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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第二章 学園祭編 ―悪役令嬢暗躍―
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元旦特別企画 『あけおめリレー 王都激突編!』

先に宣言します!


またヤっちまいました・・・。

と。


本編とは、あまり(多分)関係無い感じで~



今回は、各家でどのように新年を迎えているのか、その様子をリレー形式でお伝えしてみよう。


No.1 王都伯爵邸


「あけましておめでとう。」

「明けまして、おめでとうございます。

アーデルお兄様。」


既に起床して着替えを済ませた僕と、華やかなパーティードレスに着飾っていいるソフィーで新年の挨拶を交わす。


毎年、王都伯爵邸では、新年を迎えると、最初に正装に着替え、当主と正妻の二人が、新年の挨拶を交わす。当主や正妻が不在の時には、代理の者がその勤めを果たすことになる。


今年も、父上は最前線である伯爵領土から離れることは許されないから、嫡男である僕が代理となり、母上も父上と一緒に本領で過ごされているので、ソフィーが代理を務めている。


それから、家の者が挨拶を交わし、奉公人たちにも声をかけるのが習わしとなっている。


弟のバイエル(12歳)は、やはりまだ両親に甘えたい年齢らしく、約一か月ある休みを利用して、既に専属の従者と共に本領へ戻っている。


「今年もアレを食べなければならないのだよね・・・。」


「ですわね・・・。」


『アレ』とは、我が伯爵家では一年の最初の日の朝食として、ご先祖様の艱難辛苦を忘れないためにとの戒めを込めた所謂『野戦食レーション』と言われる野戦糧食を食べなければならないという仕来しきたりだ。


「去年のは、マジでマズかったよな・・・。」


遠い目で言う僕に


「そうでしたわね・・・。」


ソフィーもまた潤んだ瞳で応えた。


野戦糧食とはいえ、それなりに種類もあるので、毎年同じものを食べる必要は無い。


逆に言えば、当たりハズレもまたあるのだ。


「若。今年は、こちらのビン詰めにございます。」


執事のポールが、銀色のトレーに乗せられた二つのビンを恭しく差し出して来た。


「これは・・・。」

(ベイクド・ビーンズ=当たり)





No.2 エリカ・リンデンブルグ侯爵令嬢


王都防衛の任に当たり、軍務関係で権勢を誇る武門の名門。リンデンブルグ家では、現当主であるバーナード侯爵が、妻と家族、それに使用人へ向けて鷹揚に片手を軽く上げると告げた。



「新年おめでとう」


この挨拶に対して、妻、息子、息女が応え


「おめでとうございます。」

「おめでとうございます。父上。」

「おめでとうございます。お父様。」


次いで、使用人たちが一斉に恭しく頭を垂れて応える。


「「「「おめでとうございます。侯爵閣下っ!」」」」


毎年、エリカの侯爵家では、新年の挨拶から、家族揃っての朝食会が行われるのが、習わしとなっている。


テーブルクロスを掛けられたテーブルには、色取り取りの食べ物や果物などが並べられ、さながら豪華バイキングの様な絢爛さを誇っている。


無論。食べることが許されるのは、公爵家の家族だけ。


だが、この豪華バイキングには裏があり、日頃自分たち侯爵家に仕えてくれている使用人たちにも、家族が食べ終わった後で、コッソリと労いの意味を込めて食べさせることにしてあるのだ。


故に、公爵家の面々は、いつもよりも早めに食事を切り上げ、自分たちだけで談話室サロンへ向かってしまうのだ。





「エリカ。お前は未だアーデルに固執しているのか?」


紅茶を片手に、暖炉前のロッキング・チェアでくつろいでいた侯爵は愛娘エリカに以前から気にしていることを聞いてしまった。


「お父様。固執とは失礼じゃありませんこと?」


年頃の娘には、相応しく無い言葉を選んでしまったかと、少し怖気ずくバーナードだったが、当主として威厳は保たなければ。


「いや。私はお前にもっと相応しい相手をだな・・・」


「お父様っ! 我がリンデンブルグ侯爵家は武門の家柄ですわっ!!

代々王都を守護して来た、その誇りこそが我が武門の家の立つべき処ではございませんこと?


であれば、代々王国東部軍管区を手中に収めるツバイシュタイン家次期当主アーデルハイドこそが、私が嫁ぐに相応しい家柄ではございませんことっ!?」


母に似て正統派美女である娘の剣幕にタジタジとなる父親。

こんな姿は家人はともかく、部下には見せられまいと侯爵は内心溜息をついていた。


「確かに、かのツバイシュタイン伯爵家には、同じく武門の名家である我がリンデンブルグ侯爵家からも婚姻による誼を強めたいのはその通りだ。

だが、それは別にお前ではなくとも構わないだろう?」


エリカが長女でなければ、望み通り伯爵家へ嫁がせることも考えただろう。

だが、彼女は侯爵家の長女として生まれ、しかも、父親である自分が言うのも烏滸おこがましいが、母親に似て美人だ。


地位と美貌。


この二つが組み合わさる時、利用価値は磨き上げられた宝石の如く高まる。


出来れば、エリカには伯爵家よりも、同等の侯爵家か上の立場の家柄へ嫁がせたい。

場合によっては他国へ嫁がせる策だって考えられるのだ。


「では、やはりお父様は私では無く、妹にアーデルの妻の座をくれてしまうおつもりですのね?」


「それは、お前が考えることでは無い。」


これ以上の議論は続ける意思が無いとばかりに、睨みつける愛娘から、視線を手元のリトグラフで刷られた薄い新聞へ移す。


「エリカ。貴女ももう良い歳なのですから、いつまでもお父様を困らせるものではありませんよ?」


妻マチルダが救いの手を差し伸べてくれた。

一先ず、ここは妻に任せて、新聞記事を読むことに没頭しよう。






No.3 クララ・クルムバッハ伯爵令嬢


「皆さん。今年もよろしくおねがいしますわね。」


「「「「お嬢様。今年もよろしくお願い致します。」」」」


王都クルムバッハ伯爵邸大広間に集まった一同は、クララへ向けて恭しく頭を下げた。


クルムバッハ家では、クララの父親と長兄は、本領で領地経営のために王都での屋敷の管理をクララに任せているのだ。


故に、現在の女主人であるクララが使用人たちの挨拶を一身に受ける。


「さあ。今年もみんなで一緒に食べましょう!」


ちなみに、伯爵領でもそうだが、クララの人気は絶大だ。

慈母神の如く、常に慈愛に満ちた表情で、口元に微笑を浮かべ、誰彼分け隔てなく礼儀を持って接し、使用人と言えども疎かにはしなかった。


その点では、屋敷中の者たちから畏敬の念を持って恐れられているソフィーとは対照的であったかもしれない。


「さーて、今年はどんな一年になるかしらね・・・。」


屋敷の者たちが、新年祝いということもあり、多少はハメを外しても許されると歓喜する姿をボンヤリと眺めながら、クララは呟くのだった。





No.4 アドルフ・マントイフェル男爵子息


「ん? 俺か?

俺は例年通り、学園寮でのんびり過ごすさ。



あ、午後には親友アーデルのトコでパーティーあるみたいだし、美味いもん食えるみたいだから顔出しに行くかな?」


一人部屋で、ベッドの上でくつろぎながらのアドルフでした。





No.5 シャーロット辺境伯令嬢と愉快な仲間たち


「こ、こ、こ・・・今年こそはっ!!

今年こそは、アーデル様にっ!!」


「うんうん。頑張ろうね、シャーロット!」

「貴女ならきっと大丈夫よっ! シャーロットっ!!」


親友のアン・マーロン男爵令嬢と、デア・ダーニング準男爵令嬢に励まされながら、寮の食堂にて新年祝いのご馳走を楽しんでいるシャーロット嬢も元気そうな様子。


ちなみに、彼女の反対側の隣には、最近すっかり仲良くなった後輩二人の姿もあり


「カーラ。このターキー美味しいね!」


お行儀は悪いけど、フォークにターキーの分厚い骨付き肉をブッ刺して、ニカーっと満面の笑みで語り掛ける姿は、肉食系コアラ?


「ユーリ、アンタまた太らないように気を付けた方が良いっしょ?」


親友の体型を思い、忠告するカーラ。


「ぐふぅっ・・・・。

せめて、せめて、このロースト・ビーフだけは・・・・。」


なおも、テーブルに並べられている巨大な塊肉へ手を伸ばそうとする姿は、そのうちコアラを超えてパンダに近づくんじゃなかろうかとカーラは幻視してしまいそうになり、ブンブンと頭を振った。





No.1 王都伯爵邸


午後には、飾り付けられた屋敷内の大広間に、使用人たちが盛り付けてくれた皿が並ぶ。


「アーデル。今年もお招きありがとう。

早速来たぜ。俺はこのために朝食抜いて来たからな!」


「ああ、アドルフ。

お前はいつも一番乗りだな。

よく来てくれた。歓迎するよ。」


僕とアドルフが並ぶと、何故かメイドたちの一部が顔を赤らめてヒソヒソキャアキャアしているようだけど、新年だし、多少は無礼講だよね?


あ、そう思っていたらカーミラさんに叱られてしまっている。

流石メイド頭。


「アドルフさん。

今年もよろしくお願いしますわ。」


「ソフィーさん。

相変わらずお美しい。

我が親友が意地悪なことを仕出かしたなら、いつでもご相談に乗りますよ。」


ソフィーの挨拶にスゥっと敏捷さを感じさせる動作で、片手を取ると、軽く口を付けて見せるアドルフの姿は、まるで、王女を護る誓いをする騎士のようでさえあった。


チ。相変わらず立派なガタイで羨ましいヤツめぇっ!


いつぞやの夢で見た風景では無いけれども、一瞬僕の中で、仄暗い嫉妬の炎が燃え上がりかけたけど、きっとそれは誰にもバレてはいないと思う。


それから、しばらくするとエリカとクララもやって来て、互いに新年の挨拶を交わし合った。


「新年おめでとうアーデル。ソフィー。

お招きありがとうね。」


軽くペコっとだけ頭を下げるエリカ。


「新年おめでとうございます。アーデルさん。ソフィーさん。

今年もお招き頂きまして、ありがとうございます。」


優雅に上はネイビー下はスカイブルーのロングドレスの両裾を持ち上げて、お辞儀をするクララ。

やっぱりクララの所作は洗練されていて、見ていて惚れ惚れしてしまう。


「ようこそお越しくださいましたわ。

エリカ様。クララ様。

今年も宜しくお願い致しますわ。」


ソフィーも深紅と桜色を基調としたパーティードレスの両裾を持ち上げて、ペコリとお辞儀をする。


そこへ、アドルフが来たことで事件は起きてしまった。


「お。エリカ、クララ、お前たちも来たのかー

今年もよろしくな!」


「アドルフ。アンタこーゆー時ばかり早いのね。

まあ、よろしく。」


「アドルフさん。今年もよろしくお願いしますわね。」


ぶっきら棒に言い放つエリカと上品に返すクララ。

対称的な二人に、気を許してしまったのだろうか。


「クララは本当に裏表が無くって良いよなー

お淑やかって言葉は、クララのためにあるようなもんだな。


それに比べて、エリカは・・・。

お? 今日はまた煽情的な格好だな?

わぉ! おっ・・ぱっ「人の胸元を覗き込むなっ!!

コノ下種野郎がっ!!」

ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


アドルフが言い切る直前でエリカの見事な左拳が炸裂した。


これは僕が見てもエリカにも責任があると思う。

と言うか、正直に言えば、アドルフに同情さえしてしまう。


エリカ。何だって僕の家に来るのに、両肩が開いたドレスなんて着て来るんだよっ!?


アドルフじゃなくったって、君の見事に発育した胸元は、刺激が強すぎて、目のやり場に困るんだよっ!!


その辺をもっと自覚してくれないと・・・。


哀れにもアドルフは、エリカが腰溜めに放った見事なアッパーが顎にヒットしてしまい、キラキラと口から飛沫を巻き散らし、大きな放物線を描きながら窓をガッシャーンとブチ破り、屋敷の外へ放り出されてしまった。


「・・・なんてこった・・・っ!?。」

「こ・・・コレ、は・・・・っ!?」


我が家の庭師をしているゲンさんと呼ばれて慕われてる60歳の親方と、見習いの若いニキビの残る少年が噴水付きの池の側で腰を抜かして驚いている。


「おーい、アドルフー!

大丈夫かーーーっ!?」


見事にガラス窓をブチ破り、放物線を描いて外へと放り出された親友のことが心配になって、僕も急いで屋敷の外へ探しに出たんだけど。


「若様。アドルフ様でしたら、コチラに・・・。」


執事長のポールが、左手で恭しく池の方角を示してくれた。


「わっ!?」


プクプクプクプクプクプクプク~ッ・・・・・


そこには、池の手前らへんに真っ逆さまになって両足だけを水面からピーンとオブジェクトのように生やした状態で、頭から突き刺さってしまったアドルフの変わり果てた姿があった。


「あら。お兄様のお友達は器用な方ですのね。

アッハハハハハッ」


「フン。自業自得よ。

私の胸元を覗き込んで良いのは、アーデルだけなんだからねっ!」


「あらあら、大変ですこと。

どなたか、早めに引き上げて差し上げた方が、よろしいのではなくて?」


ドレス姿で歩きにくかったため、後から追いついて来たソフィーとエリカ、クララが三者三様で好きなことを言ってくれる。


「仕方が無い。ジェーコフ。頼めるかい?」

「畏まりました。」


念のため、ジェーコフとフォッカー、ハンスの三名で小舟を出して、アドルフの引き上げには成功した。


アドルフ曰く。


「新年早々に死ぬかと思ったっ!!」


うん。

普通なら死んでるよね?

殺しても死なない頑丈な奴めぇ



教訓。『雉も鳴かずば、撃たれまい。』



明けましておめでとうございます。 本年も宜しくお願いします。


普段書こうと思いながら、なかなか書けなかった各家の様子も少しだけ書けました。

本編とは無関係な設定なんかは、上手く絡められない浅学非才な筆者故すみません。


※ベイクド・ビーンズ=いんげん豆を柔らかくトマトソースで煮込んだもの。




【 新春お年玉 落書き 】


エリカ&アドルフ(以下エリ・アド)


アド「それにしても、グーで殴んなしっ!」

エリ「ハァ? アンタが人の胸元ジロジロ無遠慮にイヤラシそうに覗き込むから悪いんでしょ!?」

アド「いや・・・だって・・・なぁ・・・?

   その・・・ 俺だって漢だし・・・ なあ?」

エリ「ちょっ! 急にキョドるの止めてよぉっ!

   なんか、変にコッチが恥ずかしくなっちゃうじゃないのよーっ!」

アド「いや、その、悪かった。

   俺も決してそんな、やましい気持ちで見下ろしてしまった訳では無い。

   そこんトコは謝る。」

エリ「フン。最初からそうやって素直に謝ってれば、私だって殴る必要も無かったのよっ!」

アド「うん。悪かった。

   イイパンチ持ってんじゃねぇーか・・・。

   でもってだな・・・。」

エリ「うん?」

アド「新春から良いモン見れたっ!

   ありがとうなっ!!」

エリ「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええっ!!」


バキッ!! ベキッ! ボグッ!!


アド「グ、グェェェェェェェェェェエエエエッ!!」


アーデル「ただいまー、アドルフとエリカは先に屋敷に入ってたよね・・・!?

     アドルフーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

ソフィー「あら? アドルフさんってば、またエリカ様を怒らせてしまったみたいですわぁ(笑)」

クララ 「まあまあ。一輪挿しかと思ったら、血まみれになったアドルフさんじゃありませんこと?」


そこには、一輪挿しの様に見事に屋敷の床へと頭からブっ刺されたアドルフの見事な巨体があったという。

しかし、その口元には一点の迷いすら感じられない、満足げな笑みを張り付けていたという。


(*´∀`)φ…..A HAPPY NEW YEAR


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