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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第二章 学園祭編 ―悪役令嬢暗躍―
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35.悪役令嬢のデート大作戦! ~ 極秘作戦 ~


「どーもー ティファニーでーす!」

「イヴォンヌでーすー」


二人の伯爵令嬢が、王都の待ち合わせに良く使われている時計塔前に居た。

この時代、事態が貴重で大変高価なため、時計塔は大きな街でも1~2か所だけで、地方などの時計塔が無い場所では、昼間は日時計、夜は水時計や香時計などが用いられる。


もっとも、時計が無くとも、教会から日に何度か決まった時間だけ鳴り響く鐘の音で、ある程度の時間は分かる。


「今日は、王都でも有名なデートスポットのご紹介ですっ!」


つまり、アーデルハイドをお茶会に誘う前に、二人で下見に来ているというのが本日の趣旨だ。


「あたしはー どっちかってゆーとー

お外よりわー 屋内インドアの方がー

好きなんだけどなー」


「それを言ったら、身も蓋も底も無くなるでしょうに。」


活発なティファニー嬢と比べると、内向的に見えるイヴォンヌ嬢が、直球で本音を漏らす。


「とりあえずは、二人で待ち合わせして、軽く町中に並んでいるお店を見て回るでしょ?」

「うんー」


二人とも、寮からは馬車で移動して街中まで来ている。

真っすぐに茶店まで行かないのは、少しでも歩いて外の空気を吸うためと、茶店までの間の店で、ウィンドショッピングなどを楽しむためだ。


「あ、このお店、新作のストールが飾られてる!」


通りを歩くだけでも、十分に楽しめるのだが、お気に入りの店や贔屓にしている所だと、つい足が止まりがちになる。


店先から、店内へ入ってしまい、既に二人で見本の生地やら、仕立ててある展示品を手にしている。


「本当だー この赤いのー

ティファニーに合うんじゃないー?」


イヴォンヌに言われてみれば、成程、自分の肩に当ててみても、赤い生地のストールが自分の銀色に輝く髪を際立たせてくれるのが、鏡に映る姿からも分かる。


「爺。」

「ハイ。お嬢様。」


側に控えているロマンスグレーと言う言葉が良く似合う、痩身で口元に髭を湛えた初老の執事が、店主に金を支払う。

こちらもまた、やけに身体が細っそりとして、細長い髭がピーンと左右に伸び切っている出っ歯な店主が、揉み手をしながら金貨を受け取る。


「こっちのストールもー

お? この色・・・・。」


淡い水色をしたストールが一つだけ、目立たない場所にさり気なく置かれていた。


「・・・っ!?

その色はっ!!」


二人の目の色が変わる!


「ちょっと、そのストールはもう一枚あるんでしょうね!?」


ティファニーが吠える。

イヴォンヌは既にストールを自分の首に巻いて、緩みきった幸せそうな顔をしている。

想い人に抱きしめられている妄想でもしているのだろうか。


「ハ、ハイっ!!

只今、即座に、今すぐ、在庫を確認するザンスっ!!

お嬢様方は、少々、今しばらくお待ちになるんでザンスっ!!」


店主が店の奥へ引っ込んでいる間も、攻防戦は続く。


「あー そのーイヴォンヌ?」


言い難そうに、ティファニーが親友をガン見する。


「ダメー」

「未だ何も言ってないしっ!!」


迷いすら見せず、即答だった。


「だってー

ティファニーのことだからー

欲しいって言うんでしょー?」

「うっ。」


ティファニーの顔に青い斜線が見えそうだ。


「だからー ダメー」

「酷いわっ! 私だってその色好きなのにっ!!」

「先にー 見つけたのはー あたしぃー」


二人で淡い水色のストールの奪い合いに発展しそうなところへ、アタフタと20枚ほどのストールを手にした店主が戻って来た。


「お、お嬢様方っ!

二枚だけあるザンスっ!!

あとは、似たような寒色系等のストールがここに!!」


見ると、同じ色のストールは二枚だけ。

他は、青だが濃かったり、紫と青の中間や緑寄りだったりと同色では無い。


「なら、わらわが二枚買うわっ!」

「ダメー、ティファニー先に一枚買ってるー

あたしは、これが最初の一枚ぃー

だからー あたしが買うのー」


やはり奇数はマズかったかと、店主がガックリと膝から崩折れたが、後の祭りだった。


だがしかし、そこは商人。


商魂逞しく、ストールの同色は無いが、セーターやスカートであれば、淡い水色の品の試作があるはずと、再度店の奥にある倉庫へと向かったのが幸いした。


「ウフフ。水色水色♪」

「エヘヘ。水色ー」


二人とも、気に入ってくれたようで、完成まで待つからと代金半額を先払いで済ませ、約一か月後に使用人が再び取りに来てくれるというから、店主も大喜びで注文を受けることができた。


その後も、予約しておいた噴水が見えるカフェテラスの個室にて、お茶会の下見を兼ねて、吟遊詩人の奏でる調べを聞きながら過ごし、恋愛成就の歌をリクエストしてみた。


珍しい動物を集めて、展示している『動物園』なるものへ、馬車で移動して見学し。


アーデルハイドが読書家であるという情報から、王立図書館を覗いてみたり。


中央公園と呼ばれる、王宮前の一般公開されている公園へ行ってみたりと、あっという間に日が沈んでしまった。


「・・・うう。

移動するとやっぱり広いのね・・・王都。」

「うーん。これじゃー全部は回れないねー

もっとー 回る場所ー 削らなきゃー・・・。」


初めてのデートへ向けて張り切っていた二人は、下見にも関わらず意気消沈してしまっていた。


実際に動き回り、二人のために付き合わされて、大変な思いをしているのは、従者たちなのだが、この他に、美術館と博物館見学。劇場にて今話題の恋愛ものを観劇、話題のレストラン個室(VIP)にて会食の後、王都中央聖堂にてお別れという、強行軍かつ非現実的なスケジュールを組んでいたのだ。


しかも、店舗など幾つかは、実際に予約までして、現地へ下見を兼ねて足を運んでみたのだ。

が、下見の結果、半日ではとうてい回り切れないことが判明した。


「くぅぅぅーっ!!

全部一緒に回りたいぃーーーっ!!」

「うんうんー」


なにせ、このためだけに二人で無い知恵を絞って、初デートに回りたい場所をリストアップしたのだ。


憧れのアーデルハイドと、生まれて初めてのデート!


余談だが、貧乏貴族と違い、二人には資金が豊富にあるので、お茶会デートだけで済まそう、などというケチ臭い制限は無い。


上記の公共の場所も、常に人目があるという前提なので、スキャンダルには発展しない。


むしろ、二人きりで公の場所を歩くことで、『婚約を視野に入れてのお付き合い』をしていると見られても、不思議ではないと期待している。


それでも、『時間』と『距離』という制約は、どうにもならないのだ。


「とりあえず、今日はほとんど手付かずだったけど、帰ろっか?」

「そうねー また作戦を練り直さなくっちゃー」


そう言うと、二人で乗り合わせて来た馬車へ戻る。

来る道程は、ティファニーの家の馬車で来たので、帰りはイヴォンヌの馬車を使う。

反対に、使用人たちがティファニーの家の馬車へ乗り込んだ。


これも、両家が仲の良い領主同士だから出来ることだ。



映画とかだと、下見で実際に見てしまうと、感動が少なくなりそうな・・・

中には、ウンチク垂れることを目的にしてんじゃないかとゆー


あくまでもフィクションですけどね(笑)



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