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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第二章 学園祭編 ―悪役令嬢暗躍―
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34.悪役令嬢 ~ イヴォンヌ 伯爵令嬢 ~


もう一方の当事者であるイヴォンヌがアーデルハイドへ恋心を抱くようになったのは、ティファニーがアーデルハイドの話しばかりをするようになった後だった。


実は、彼女は最初はアーデルハイドのことが大嫌いだった。

大切な親友が困っているところに付け込んで、彼女の心を奪ってしまったものだと思い込んでしまったからだ。


「ティファニー。やっぱりー

あなたはもっとー 冷静になるべきだとー

思うよー。」


二言目にはアーデルハイド様とばかりうわ言のように上気して繰り返しては、彼が如何に優しかったか、不安だった自分に声を掛けてくれた瞬間、どれだけ安心感が与えられたか、高い身長に甘いマスク、声を聞いた瞬間全身に雷が走ったような衝撃を受けたことを何度も何度も繰り返し聞かされるのだから、堪ったものでは無かった。


大事な幼馴染が、都会でちょっと遊びなれた女々しい男娼崩れの男に、遊ばれてしまうのではないかと心から心配したのだから。


故に、イヴォンヌは決意した。

頼りにならない親友ティファニーとは違い、自分だけはしっかりとしなければ。と。

アーデルハイドの噂を集め、その為人を探ろうと従者に探らせた結果、思いがけない調査結果に拍子抜けしてしまった。


『彼ほど人畜無害で、男女両方の生徒から慕われているであろう生徒はこの学園では珍しい。』と告げられたのだ。


「え・・・?」


尚も調査結果を伝える従者の声に、我が耳を疑った。

ティファニーの家に長年仕えてくれている信頼の置ける従者から、アーデルハイドの実家である伯爵家の情報が寄せられたのだ。



父親であるコルネリウス・フォン・ツバイシュタイン伯爵36歳。

東部軍管区を領地として永年他国の侵略から王国を護って来た由緒正しい名家の当主であり、武門の家に相応しく『鉄壁のコルネリウス』と呼ばれている。


領地は東部の中でも広大な方で、大小合わせて6つの街と24の町村を支配している。

領都ツバイシュタインブルグは、人口凡そ10万を超え、王都程ではないが栄えている城塞都市だ。

国境守備隊と私兵集団を指揮下に治め、総戦力を集めれば単独で他国と戦争が出来る規模の兵数を誇る。


そんな武門の出だと、肝心のアーデルハイドが見えないことにギャップを感じてしまった。


「そ、そーんな、良いことろのお坊ちゃんならー

どーして、ひねくれたりしなかったのかしらー?」


貴族とは言え、人間だ。

人間とは、特権階級意識が強くなればなるほど、歪みが生じやすい。

性格破綻者になる者も居れば、傲慢、不遜、人を見下す態度や、自分たちよりも身分の低い者を同じ人間とは見做さない者など、枚挙に暇がない。


実際には、そのような態度をあからさまに出す程度の小物では、領民から支持が得られず、失脚してしまうこともあるが、大抵は隠しながら、でも、時々地が出てしまうのが特権階級に棲む者たちの本当の姿だとイヴォンヌは思っていた。


だが、アーデルハイドの場合には、それが当てはまらないのだ。

伯爵という階級の中でも更に、一目置かれる大貴族と呼ばれる家柄でありながら、その家が持つ伝統や格式、跡継ぎと言うプレッシャーがあるはずなのに、泰然と構えている様に見える。


何故彼は、こうまで貴族中の貴族でありながら、自然体で居られるのだろうか?


疑問を感じてしまってからは、更にのめり込んでしまった。

親友のティファニーにのめり込むのを止めろと言っていた本人が、アーデル沼にのめり込んでしまったのだ。


後は早かった。


気になる異性を調査という名目で追いかける。

自分では決して恋などという浮ついた気持ちでは無く、親友を助けると言う大義名分の下で公正で公平な調査を行っているつもりだった。

そう、そのつもりだった。


「この前から、やけに視線を感じるなぁ?」

「お前のことを見てる女子なんて、そこら中にいるだろ?」

「いや、そーゆーのじゃなかたんだけどなぁ・・・。

最近ちょっとそんな感じに変わってきているかもしれないけど・・・?

なんと言うか、良く分からなかったんだけど、視線が変化するって感じかなぁ?

分かるか?」

「うんにゃ、俺にはサッパリそんな視線の変化なんて分からん。」

「そっか。」


たまたま近くの教室を通りかかったら、アーデルハイド先輩がルドルフ先輩と共に教室で何やら会話しているのを見かけてしまい、扉に隠れながら覗いてしまったのだ。


「?」

「っー!?」


目が合ってしまった。

瞬間的にボンっと真っ赤になると、ワタフタと逃げ出してしまうイヴォンヌ嬢であった。


「どうしてー?

どうして、あたしが真っ赤になるんだろー?」


自分で自分が分からなかった。


「なんでー?

なんで、あたしー、アーデル先輩のことを考えるとー

胸が苦しくなるんだろー?」


そうか、これが恋というものだったのか。

でも、駄目だ。

彼は幼馴染ティファニーが好きになった相手だもの。

自分は身を引くべきだ。


そう決意した時だった。


「イヴォンヌ・・・?」

「ティファニー・・・。」


姿の見えない親友を心配してティファニーが探しに来てしまったのだ。


「どうして?

どうして、イヴォンヌが上級生の教室を覗いていたの?」


「え・・・?」


「なんで?

なんで、アーデルハイド様を見つめて顔を赤らめて逃げ出したりなんかしたの・・・?」


「違うー・・・

あたしは・・・・。」


次に帰って来たのは、予想していたのとは違う言葉だった。


「そっか・・・。

イヴォンヌも私と同じ人を好きになっちゃったんだね・・・。」


「え?」


「良いの。

イヴォンヌがアーデルハイド様を好きになってしまったって、構わないの。」


そのまま近づいて来たと思ったら、そっと抱きしめられた。


「・・・!?」


「だって、アーデルハイド様は、本当に素敵な人なんですもの・・・。」


「ティファニー・・・。

ごめんねー・・・。

でも、あがと・・・。」


「うん。」


何故か二人で泣きながら、お互いに叶わないかもしれない恋心を抱いてしまったことを慰め合った。


それから、二人がアーデルハイドのことを目で追う日々が続いてた。

即座に行動へ移せば良いではないかと思う反面、やはり、初恋は直接的な行動へ移すのを躊躇うことを繰り返してしまうものらしい。


やがて、アーデルハイドを恋い慕う者が自分たちだけでは無いという事実を思い知らされるのに、左程時間は掛からなかった。


しかも、アーデルハイドの周囲には、シャーロットを始め彼と同学年の女子が常に纏わりついている。下級生である自分たちに付け入る隙が無い程に。


それでも、諦められないほどに強く育ってしまっているどうしようも無いほどの想い。


そんな彼女たちが、アーデルハイド親衛隊の会長に誘われたことをきっかけとして、二人で加入するのに時間は掛からなかった。


ちなみに、アーデルハイド親衛隊内に所属する女子の半数以上は、やはりアーデルハイドと直接接触したことがきっかけで彼に惚れている。


残りの何割かは、家柄や経済力に魅かれている者たちも居る。

だが、それとても非難する者は居ない。


何故なら、より良い条件の相手と結びつくことができれば、家にも利益が大きいのだから。

既に親により婚約相手を決められている者たちであっても、婚約はあくまでも婚約であり、より良い相手が見つかり、相思相愛となれば保険代わりの婚約など、後から破棄されても文句は言えない。


そこまで徹底してドライであり、合理的に考えて行動している者たちも一定数存在しているのが、現在数百名という規模まで肥大化したアーデルハイド親衛隊なのだ。



今回は二人がかりでのアタックとなります(`・ω・´)ゞ


~この作品での中流(平均的な)貴族ってどんな感じよ? 

 って感じで書いてみてます。





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