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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第二章 学園祭編 ―悪役令嬢暗躍―
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30.図書館令嬢物語

このお話しの後から、何話か続き物入れる予定なので、ちょっとした『清涼剤』代わりに~


私は、ザルツブルグ家という侯爵家の娘。


親が大貴族と呼ばれる地位と領地に恵まれた家に生まれたお陰で、何不自由の無い生活をさせて貰っているけど、所詮は家と領地を守るための道具に使われるのが貴族家に生まれた者の宿命だと割り切ってはいるの。


私の名前には、『お前みたいな不細工には不釣り合いな名前だ』としょっちゅう言われるコンプレックスがあるから、あまりその名で呼んで欲しくは無いのだけれども、周りの人たちは、わざと悪意を込めて私の名を呼びたがる人たちも居る。


ちなみに、私も容姿はそれ程恵まれているとは思わない。


極普通だと自分では思っているけど、自慢できるのは、お母様譲りの腰まで伸ばした美しいオレンジ髪の三つ編みくらいかしら。前髪はふわりと盛り上がるようにして、左側だけ三つ編みを作ったスタイルは、学園でも私くらいかな?


右口元にある小さな黒子は、自分ではちょっと無くても良いと思うし・・・。


そんな私の顔には、常に丸眼鏡がトレードマークのように付いている。

初等部の中ごろから、視力が落ちてしまい、眼鏡を愛用しなければならなくなってしまったからだ。


ううん。自分の容姿に自信が無いのは、眼鏡が悪いのではないけど、私が眼鏡を掛けていると、ものすごく不細工に見えるらしくて、心無い男子からは「眼鏡ブス」とか、名前と一緒に容姿までディスって「厚底眼鏡の不細工」などと悪口を言われたものだわ。


そんな私は、人とお話しをするのがちょっと苦手で、特に男子は苦手意識が強くて、ついつい人気ひとけの少なくて、静かな図書館に籠ってしまうの。


だって、図書館へ行けば沢山の読み切れないほどの楽しい物語りが、貴族の人生からは学ぶことが出来ないほどの、他者の生き様が、そんな数々の本が収蔵されている素晴らしい知識の宝庫なのですものっ!


そうやって、私は初等科の頃から図書館で過ごす時間が増えていったわ。





中等部へ進んでも、仲の良い友達と共に過ごす時間は、授業中が多いの。

放課後は、いつものように図書館へ直行か、王都にある家へ帰るのが日課だったから。


「今日も図書館へ行くの?」


私と仲良くしてくれている数少ない友人の一人が、放課後私へ声を掛けてくれた。


「うん。」


他に何もすることも無いし?


「相変わらずね。たまには、男子とおしゃべりしたり、お茶会でも開いたらどうなのよ?

なんなら、今日家来る? 恰好良い男子も誘ってあるのよ!」


そういえば、この子は最近やけに体格の良い少年に夢中になっていたわね。

何という名前だったかしら・・・?

中等部にしては、やけにガタイが良くて、逆三角形体系の・・・貴公子然とした顔つきで・・・?


思い出せないけど、とりあえずお返事はしなくちゃ。


「・・・。

私はいいわ・・・。

遠慮しとくわ。」


女子会だけでも疲れると言うのに、男子まで混ざってのお茶会なんて、どれだけ気を遣わなければならないのやら。


「そう言わずに~!

眼鏡を外して、少しはお洒落を楽しんでみたら?

貴女は素材は良いのだから・・・。」


オマセな女子の間では、化粧も含めて自分を装うための色々な努力を始めてる子たちも居る。

だが、それは他人事であって、私の領分では無いわ。


「ううん。楽しみにしている物語の続きが気になるから、やっぱり今日も図書館へ行くわ。

また今度、男子が居ない時にでも誘ってね。」


去り際に「もうっ!」と呆れながらも手を降参とばかりに、ヒラヒラと振る友人と別れ、私は学園の敷地内の池のほとりにある図書館へと向かった。





「はぁ・・・・ この物語も切ないわね・・・。

自分が所属する家が代々かたき同士で、決して結ばれぬ悲恋。

窓際での『貴方はどうして』の下りなんて、胸がキュンとしちゃうわ。

最後の幕引きは、納得行かないけど・・・・。

まあ、そんな悲しい結末もあって然るべきなのかもしれないわね・・・。」


そんな風に、一人で図書館に籠り、人目も気にすることなく本の世界へ耽っていた時だったっけ。


「あ、その本、読み終わったのなら、僕にも貸してもらえないかな?」


ふと顔を上げて見ると、水色の柔らかそうな髪に透き通ったエメラルド・グリーンをした瞳の整った顔をした少年が、私に声を掛けて来た。


「あ。どうぞ。」


同級生だから、見知らぬ少年では無かったけど、普段全く意識していなかったから、そのまま本を手渡して、もう一冊に手を伸ばす。


「あ、その本も書棚探してたんだ。

主人公の娘が、王に惨い目に合わされて、父親が復讐する内容だったと思うけど・・・。


そっか、君が読むために書棚から持って来ていたんだね。

見つかって良かったぁ!

その本も、読み終わってからで良いから、次は僕に貸してくれないかな?」


「いいけど・・・。」


不思議な少年だな、と初めてほんの少しだけ興味が沸いた。


「どうして、この著者の本を探していたの?」


読むからに決まっているとは思ったけど、その動機を知りたいと思ったの。


「今度の夏休みの自由課題で、その著者の作品からレポートを書いてみようと思ってね。

だってさ、その著者ってば、毎回毎回、これでもかってくらいに悲恋と思われるようなテーマでばかり作品を書いてるイメージしか無くってさ。

もしかしたら、調べてみれば悲恋以外の、ハッピーエンドの作品もあるかもしれないと思ったから。」


「そっか・・・。」


言われてみれば、成程、と心にストンと落ちた。

これまでの私は、単なる『物語り』としてしか、本を読んでは来なかった。


しかし、目の前の不思議な透明感のある少年は、本の『テーマ』で分類し、探ろうとしているようにも見える。


そうか、読書には、そのような楽しみ方もあるのかと、改めて気づかされたような気がしたの。


それから、何度か図書館で少年と出会うことも重なって、最初は無意識だったんだけど、気が付くと、クラスでも少年のことを目で追うようになってしまったっけ・・・。


だって、この少年は唯一私を悪く言わないでいてくれるし、見た目も、他の男の子たちと違って、成長しても女性にも見えるような、中性的な美しさは損なわれず、むしろ美が磨き上げられていくようなのですもの。


そんな彼の優しい内面と、変わらぬ美しい姿形に、恋心を抱くなと言う方が酷な話しではないかしら?


中等部を卒業し、高等部へ持ち上がりで移った時も、なるべく彼と同じ授業が重なるように工夫もしたし、相変わらずクラスでは『図書館の眼鏡女』だなんて酷い綽名で呼ばれることもあるけど、彼との距離を何とか縮めたいな。


このお話しは、アーデルハイドが中等部から高等部へ移る前後のお話しだと思って頂ければ~


ちなみに、同じ大侯爵家の令嬢ではありますが、エリカ嬢とは全く別の家柄です。


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