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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第一章 妹と僕 ― アーデルハイド親衛隊は妹の旗下へ従属するか? ―
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25.アーデルハイド親衛隊② ~健康食で制圧!~


queenクイーン ofオブ nightナイト』から三日後、月曜日の午前中。


アーデルハイドが学園へ出かけ、留守にしている王都伯爵邸では、こんな会話が交わされていた。


「どうやら、敵対勢力の一部は、傘下に収めることができたようですね。」


「ええ、貴女とカーミラのお陰ですっかりこちらに取り込まれてくれたみたいね。」


「最初にお嬢様から計画をお聞きした時は、ここまで上手く行くとは想像できませんでしたが・・・。

流石ですね。」


「ありがとう。

ほとんどの人は、私の陰にすら気付かずに掌で踊ってくれたみたいだけど。」


「そうですね。

何せお嬢様と私を繋ぐものが無ければ、今後も知ることすら無いことでしょう。」


白髪はくはつ頭に赤い瞳の美しいメイド姿をした少女は、陶磁器で造られたような白い肌の指先にあるファイルを差し出した。


「こちらが、80名の元敵対者たちの配置先です。」


「うん。

これで、先行投資分も回収できそうね。」


ソフィーは嬉しそうに、ファイルに記された少女たちの直近二日分の報告を見て微笑みを浮かべた。





queenクイーン ofオブ nightナイト』から三日後、月曜日の午後4時ころだった。


王都プロネシス商会本店では、相変わらず次々と新製品が発表され、大盛況が続いていた。


どれも粉物をメインとしたラインナップだが、移り気で飽きやすい顧客の胃袋と心を鷲掴みしつつ、繰り返し買いに来たくなるように研鑽を忘れない。


ダイジェスティブビスケットとチョコレートもバリエーションを増やして、保存菓子専門の店舗として売り上げを順調に伸ばしている。


また、既にスタンド販売形式が定着して、様々な種類の店舗が祭りの出店のように並び、ちょっとした粉物店舗ストリートを形成している。


「うーん。

種類が多すぎて、どれにしようか迷っちゃうねぇ・・・。」


「どうせなら、全部一個ずつ買って、一口ずつ味見してみたら?」


「それ、ナイスアイディア!!」


「クレープ全種類一個ずつくださいな!」


「あいよ!

十五種類纏め買い、ありがとうございっ!!」


クレープ専門の店舗前では、若い女性や子供たちを中心に行列が生まれ、それぞれに好きな味のクレープを購入して行く。


「揚げワッフルとパンケーキお待たせしましたー!」


「わぁ! 

揚げたてで美味しそうっ!!」


人気商品の揚げワッフルも独立させて、パンケーキとドーナツも商品に加えてスタンド形式で販売している。


「フィッシュ&チップス揚げたてでーす!!」


「オニオンリングとポテトフライセットでお待ちのお客様!

お待たせしましたー!!」


ジニーは看板娘の一人として、フィッシュ&チップスのスタンドで働き続けている。


「黒酢ドリンクとザクロ酢、ブルーベリー酢の三種類ですねー」


「ああ、ありがとう。

ここのは本当に身体に良い品だね。」


「お買い上げありがとうございます。」


最近では、果実酢や黒酢を炭酸で割ったソフトドリンクスタンドも加わり、その他に健康食品も店頭販売するようになったプロネシス商会に死角は無い。



「わたくし、シャーロットは、一時期失恋で心を痛めましたの・・・。」


そんなスタンド形式の店舗の一角では、他とは異なる作りの売り場が設けられていた。


しかも、場違いな失恋談が語られている?


「それで・・・ 恥ずかしながら、こちらの美味しい美味しい揚げ物ばかり、大量にヤケ食いしてしまいまして・・・。」


そう美しい頬を薔薇色に染めながら、イヤイヤをする。


見つめている男たちの視線が引き込まれるように刺さる。


「でも、お腹は満たされても、心は満たせませんでしたの・・・。

それで、つい、色気よりも食い気に負けてしまいまして・・・。

体重が・・・ その・・・」


痩身でモデル体型としか思えない緑色したサイドテールも可憐で正統派美少女のどこに余分な脂肪分が付いていたというのだろうか。


その場に集まっていた一同が疑問を感じていた。


「大分増えてしまいまして・・・。」


若干声が小さくなったものの、聞き取れないほどではない。


俯き加減で、恥ずかしそうに述べる姿は、むしろ愛らしい。


「でも、この果物から造られた酢を毎日飲むようになって、身体がスッキリして行くのを実感しましたわ!


それにこの、寒天!!

ミルクで固めても良し!

少量のハチミツで味を調えても良し!


とぉーっても美味しくって、カロリーゼロですのよっ!!」


「「「「「おおおおぉぉぉぉぉっ!!」」」」」


まるで、スイッチでも入ったかのように一気にまくしたてた。

周囲で聞く者たちもつられて視線が彼女の手にした品々へと移る。

しかも、美容と健康に良いと告げられ、驚きの声も上がる。


「皆様。私、シャーロトがかつての体型。


いいえ、それ以上の美しくしなやかな体型を得ることができたのは、これらの健康食品の数々と、ダンスを始めとする運動の効果ですわっ!!


是非、皆様にも、健康食品の摂取と、適度な運動。

この二つをお勧めしますわ。」


パチパチパチパチー!


周囲に集まったフクヨカな体系の有閑マダムや小母様方、小父様方から、歓声と拍手が沸き上がる。


「シャーロット様が一時期フクヨカになられたことは、私たちも目にしてきました!」


そこへ、シャーロットの両脇に控えたうちの右側に控えていた三つ編みにそばかすのある赤毛の少女が、これまで述べたことが事実であると証言する。


「いいえ、そればかりか、私たちもシャーロット様同様に甘くて美味しいお菓子の虜になりましたわ。

そして、フクヨカになってしまった同志なのです!!」


今度は左側に控えていた肩まで淡い青色のソバージュの少女が、自分の胸に手を当てて、自分もかつては太っていたのだと告げる。


「だからこそです! シャーロット様や私たちが経験した究極のヘルシーダイエットを是非皆様にもお勧めしますわーっ!!」


赤毛三つ編みのそばかす少女が更に声を張り上げてみせた。


授業が無い時間帯を選んでアルバイトで雇った80名からの美少女たちが、毎日2~3名ほどが、こうして日替わり交代で店頭にて口上を述べて、オマケとしてちょっとした簡単な運動方法の教授や基礎的なダンスを教えるものだから、健康食品部門も売り上げが急上昇している。


貴族令嬢たちも、直接売り子をするのではなく、自分の実体験を述べたり、運動法やダンスの基礎を教えるだけで、割の良いバイト料が手に入るのだから、プライドに反して労力が求められる訳でも無く、双方にとって良い働きの場だと言える。


実際、王都での生活にはやはりそれなりの金が必要だ。


しかし、実家が金持ちな貴族ばかりではないのだから。


背に腹は代えられない。

好きな物を自分で稼いだお金で購入できる。

この魅力は比較的貧しい貴族令嬢たちにとっても大きかった。



しかも、雇用条件も破格に良い。

平日は、好きな時間に来て良い。


店頭で店主から出勤の確認をしてもらい、退勤時にも同様に帰る旨を伝えれば良い。

店主が忙しい時は、自分で出勤簿に名前と時間を書いて、退勤時も同様にすれば大丈夫だ。


土曜日は、一日中でも良い。

日曜日は、閉店する礼拝の時間以外であれば、午後の時間帯でも出勤して構わない。

その代り、一度に店頭に出て良いのは、2~3名まで。

あまり大勢であれこれ語っても、客が聞き取れなくなるからだ。


そうやって、売り口上をするだけで、売り上げも上がり、売り上げに応じて令嬢たちもバイト料がもらえる。※一つも売れなかった場合は、残念ながらバイト料は発生しない。一種の営業だ。


中にはシャーロットのように、ノリノリで口上を述べる者たちも居て、日頃鍛えた弁証論や修辞学を活用する実践の場ともなっていた。


ちなみに、口上が苦手な者やまだ修辞学を学んでいない者たちは、販売のアシストやダンスを指導しても、一定のバイト料は貰える。そうやって、一人でも多くの令嬢たちがバイトしやすいように工夫したおかげもあり、ダイエット経験者である親衛隊員の間では大人気のバイト先となった。



美味しい食べ物は、男女問わず心も鷲掴みにするという・・・。

ですよね? (・・?


ちなみに、このバイトは「ただし、語れるだけのダイエット経験者に限る」という嬉しいような恥ずかしいような条件があるそうです。


フィクションですからね?


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