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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第一章 妹と僕 ― アーデルハイド親衛隊は妹の旗下へ従属するか? ―
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23.『queen of night』の開催


「それでは、我が校伝統あるダンス披露会、『queenクイーン ofオブ nightナイト』の開催を宣言いたします。紳士淑女の諸君は、節度と礼儀を持って、この宴を楽しむように。」


時々しか姿を見せない初老の学園長が舞踏披露会『queenクイーン ofオブ nightナイト』の開会を宣言すると、大広間に集まっていた者たちから拍手が起こった。


そして、大広間の一角に設けられた雛壇に並んだオーケストラ楽団がゆったりとした曲を奏で始めると踊りのスタートだ。


先ずは、高等部一学年の生徒たちから順番にパートナーを誘い合い、ゆったりとリズムに合わせてワルツを踊る。


少女たちは皆彩取り取りのドレス姿で美しく装い、少年たちはタキシード姿で凛々しさを際立たせている。


教授たちは全学年を教えているので、好きなタイミングで踊りに加われるので、ダンスが苦手な者たちは最初の方で済ませてしまう者も居る。


初々しさも残る一学年の踊りを、周囲で見守る上級生たちの中に、エリカとアドルフの姿も一際目立っていた。


「あら? アーデルハイドと妹の姿が未だ見えないようだけど・・・?」


周囲へ視線を送っていたエリカが呟いた。


「そのうちに来るんじゃないか?」


根拠は無いが、いずれ二学年の番となる。


真面目な性格をしたアーデルハイドであれば、必ず登場するであろうと気にした風も無く、軽く受け流すばかりだ。


「取り巻きの姿も今日は少ないような気が・・・?」


なおも周囲を気にするエリカに、つられてアドルフも周囲を確認する。


「言われてみれば、一学年だけじゃないな、他の学年も若干抜けているような・・・?」


数百名居ると言われているアーデルハイド親衛隊から80名ばかりが抜けていてもあまり目立たないかもしれない。


しかし、日頃から美少女や個性の強い少女たちが所属する親衛隊では、目立つ存在が数名掛ければ、やはり気が付く者たちも居る。





母親から送ってもらった少し前の型だけど仕立て直して自分にも似合うようにしてもらったイブニングドレスに身を包んだ一学年女子の中でも、踊りながら首を傾げている者が居た。


「おっかしーなー 

今夜は必ず来るって言ってたのに・・・。」


隣で踊っている女子が訪ねてきた。


「どうしたの? 

カーラ?」


「いや、ユーリのやつ姿が見えないんよ?

何処にいるか知ってたら教えてほしーんだけど?」


少女もまた言われて初めて気が付いたように、小首を傾げると


「言われてみれば・・・ 

どこかしら?」


ユーリだけでは無い、シャーロットや80名からの親衛隊員が欠けたままなのだ。


まあ、発表会であり試験テストでは無いのだから、欠席しても単位には響かない。


それでも、貴族の社交界デビューの練習にもなるので、参加率は高いこの会に楽しみにしていたはずの親友の姿が無いことをカーラも不思議に思っていた。





何曲かパートナーを交代しながら踊った一学年の額に汗が滲む頃。


曲調は変わり、間奏が入り、先程までよりも少しだけテンポの上がる。


その間に、一学年はサッと移動して壁際へ移る。


二学年の登場だ。


「さあ、行こうか。」


「ええ。」


ウィンナーワルツの始まりである。


壁の華と化していたエリカとアドルフの二人が前へ進み出ると、周囲から小さな歓声が挙がった。


「相変わらずモテるみたいね?」


「いや、お前の歓声の方が多いぞ?」


そうなのだ、貴公子然として恵まれた巨躯のアドルフが女子から人気が高いのは当然としても、日頃から凛々しい姿と言動で、同性からも人気が高いエリカへ向けて、三学年通して全ての学年からも歓声が向けられたのだ。


「今夜のお前は綺麗だな。」


「あら、お世辞でも嬉しいわ。」


エリカの姿はまるで大輪の薔薇が咲いたかのような、下半身へ行くほど全体的にボリュームのある紫色のイブニングドレスで一際視線を集めていた。


「今夜の主役はお前で決まりみたいだな。」


「どうかしらね。」


内容とは裏腹に、艶然と余裕の笑みを見せているエリカだった。


二人の踊る姿を見て、溜息をつきながら見惚れる者、感激のあまり涙を流す者、興奮のあまり隣の友人をガクガクと揺する者など、ちょっとした混沌が形成されていた。


ここでも、パートナー交代が行われ、双方優雅に一礼して優雅に相手を組み替えて行く。


そうやってダンスが進み、三学年のカドリーユが始まってしまった。


「出てこないわね・・・?」


「一体どこで何やってんだか・・・?」


待てど暮らせどアーデルハイドが出てこない。


はて?


腹でも下したかな?


それにしても、親衛隊員まで姿を見せないのが気になるな・・・?


エリカとアドルフの二人が、周囲のギャラリーを気にせずキョロキョロと首を傾げてみたが少なくとも大広間には居無いようだ。


「気分でも悪くなって途中で引き返したんじゃないのかしら?」


「そうかもしれんな。」


仮初のパートナーとは言え、お互い一人になると周囲を取り囲まれてしまう自覚があるので、終わりまでは共に居ようかと妥協した同志が本命アーデル不在で所在無気に目が合った。


「何よ・・・。

照れるじゃない。」


「ほお? 

お前でも照れるなんてことがあるのか?」


「私だって、そんなにジーっと見つめられたら、ちょっとくらいは照れるわよ。」


「そうか。」


「そうよ。」


賑やかなBGMと楽し気に踊る三学年の姿とは対照的に、一瞬だけ流れた異なる時間だった。


「それにしても、本当に綺麗だな。」


「止めてよ。」


先程の踊りのせいで気分が高揚したのか、それとも、BGMの軽やかさに心が動かされたのか、真相は不明だが、アドルフがエリカに普段告げない言葉を口にしたことは確かだった。


「フン。私の本命はアーデルハイド一人だわ。

貴方のことは眼中に無いんだからね。」


「分かってるよ。」


そんな遣り取りをしながらも、その場から離れようとはしない二人であった。


優雅なダンスって見ているだけでも楽しそうだけど、自分でも踊ってみたくも・・・。

いや、辞めておきましょう(苦笑)


ちなみに、ダンスの時代がメチャクチャなのは『コメディー(仕様)』です(`・ω・´)ゞ


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