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妹がヤンデレ過ぎて怖い件について  作者: 所天駄
第四章 本当の婚約者
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98.本当の婚約者(最終話)



そして、やがて時は過ぎ、今日は王立学園の卒業式の朝だ。


「お・に・ぃ・さ・まぁーーーーーーーっ!!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


僕は、突然のカッツバルゲルと呼ばれる近接戦闘用のショートソードで首を跳ね飛ばされそうになって目が覚めた。


「ソフィーっ!!

毎回毎回!

僕を殺す気かっ!?

そうでなくても寿命が縮むわっ!!」


顔中を口にしたように喚き散らす僕に、ソフィーは母親が聞き分けの無い息子をあやすかのように、落ち着き払って答えた。


「あらあら、お兄様ったら。

朝からお元気ですこと。

何か良いことでもありましたのかしら?」


「良いことなんて一つも無いっ!!

むしろ、お前に叩き起こされて、寝覚めが悪いわっ!!」


「あら?

それは大変ですこと。

そらならば、もう一度私と一緒にベッドで寝直してみては如何かしら?

きっと夢見心地で、天にも昇る様な素敵な夢が味わえましてよ?」


いつもなら、ここで僕が喚き返して、ソフィーが笑いながら部屋から出て行く場面だ。

でも、今日は違う。


「っ!?」


驚くソフィーを後ろからギュっと抱きしめて、身体を引き寄せる。


「おっ、お兄様っ!?」


戸惑い驚くソフィーに構わず、僕はそっと耳元で告げた。


「ソフィー。

もういいんだ。

もう、いつまでも幼い少女のフリなんてしなくたって良いんだよ。」


「・・・・ぇ?」


震える小さな声で、ソフィーが僕の腕の中で振り向いた。

顔が近い。

唇も。


僕とソフィーは、おでこを突き合わせるような姿勢で向き合った。


「ソフィー。

君と僕は、血の繋がった兄と妹じゃない。」

「・・・・ぇぇ。」

「なんだ、知っていたのかい?」

「だって、私お利巧さん、ですもの・・・・。」

「ハハ、そうだったね。」


そうか、あの頃は未だ幼くて、記憶なんてほとんど残っていないかと思っていたのは、どうやら僕だけだったようだ。


「ソフィー。

僕は君が好きだ。」

「お兄様・・・・。」


腕の中で震えるソフィーの大きな桜色した瞳から、大粒の涙がポロポロと零れ落ちた。


「もう、これからは、兄と妹じゃなくなっても構わないかい?

僕とソフィー。一生一緒に居たいんだ。」


「お兄様。いえ、アーデルハイド様。

本当に、私を婚約者として受け入れてくださいますの?

その・・・。今まで色々とご迷惑をお掛けしてしまったみたいですし・・・。

これからだって・・・そのぅ・・・。」


何を今更だ。

僕が何回お前の悪意の無い悪戯で命を落としかけたことか。

それに、嫉妬が混ざった時のソフィーの悪戯は、もはや悪戯の範疇を超えている。

一歩間違えれば誰かが命を落としていたはずだ。

でも、それさえも僕が原因なのだから、やはりここは僕が責任を取るべきだろう。


「本当に、このままでは僕の身が持たないんじゃないだろうか。

妹がヤンデレ過ぎて怖いけど、妹だけど、もう妹じゃない。一人の女性として、これからはソフィー、君と僕は向き合っていくだろう。でも、その前にソフィーの悪戯で僕が命を落とす方が先かもしれないけど・・・。これが本当の『恋は命懸け』ってヤツかもしれないな。」


「お兄様っ!!

いえ、アーデルハイド様っ!!」


地上に舞い降りた天使は、満面の笑みを浮かべると、心から嬉しそうに僕の胸に顔を埋めた。


僕の腕の中のソフィーの目が大きく見開かれると、頬が薔薇色に染まった。


「勿論ですわ!!

アーデルハイド様っ!!」

「ソフィー。」

「ゥナーォン!」

「まぁ、クレオったら、いつの間に。」


寝室へ僕を起しにソフィーが来ていたのだけど、ご主人様が不在で淋しくなったのか、すっかり大人になったクレオが僕とソフィーの間に割り込んできた。


二人の胸の間によじ登ってきたクレオの頭を撫でると、ソフィーは嬉しそうに朝食が待つ広間へと向かって行った。


卒業式の朝という慌ただしい場面ではあったけど、こうして、僕らは初めて本心を打ち明け合うことが出来た。






その後、僕とソフィーは正式に婚約を発表して、来年の春には結婚することが決まった。

何故かアーデルハイド親衛隊会長となったアドルフのヤツも謹慎を解かれたエリカと上手く行っているらしく、先日婚約が発表された。

これで、晴れてエリカも皇太子婦人への道が整えられた。


僕はと言えば、ソフィーの尻に敷かれることが既定路線らしく、ソフィーと二、三年新婚気分を味わいたいと思ったんだけど、ソフィーが許可した親衛隊員らを側室として迎えなければならないらしい。


あ、クララとは第二婦人確定と言われているから、ソフィーと結婚したら、あまり時を置かずに結婚しなけらばならないみたいだ。


全く、皆が僕の知らないところで色々と画策してくれて、僕の意志は無視されているんじゃないかと、少し膨れたら、ソフィーから


「あら? お兄様が本心から苦手な人や、結ばれたくない相手は側室でも入れませんわよ?」


と返されてしまった。


ハァ。


僕の前途はこれからも多難らしい。

これが、僕と妹だったソフィーとの結末だ。





オマケを一つだけ投下して、本当の終了となります。

最後まで読んでくださった方々。

本当にありがとうございました。


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