魔法の世界の日常 魔物討伐演習 弐
自己紹介が一息ついた時だった。
「おうおう、女ばっかの部隊があるじゃねぇか」
「エリート様は落ちこぼれの面倒を見なくちゃいけなくって大変だねぇ」
そんな感じで声をかけてきたのは魔法クラスの少年二人組だった。
僕はもう一人の僕と違ってクラスの仲間の顔と名前くらい覚えている。
「ああ、初めましてかな。僕はアルディオス・フーリン」
「知っていますよ。アルディオスくん。私はグラハム・ペングライム。ペングライム侯爵家の次男です」
ペングライム家については父から聞いている。魔法派閥の中でも優秀な者を数多く輩出していて、貴族階級の中でも結構な立場に居る家系だ。領地経営もペングライム侯爵領は魔法道具の発明が進んでいて、商業的にも重要となっているらしい。
そして、視線を横に向ける。
「私はフォレスト・バックニン。バックニン伯爵家の次男です」
バックニン伯爵家は、たしか、ペングライム侯爵家とつながりがあって、尚且つ王都南部の開けた土地に領土を持つから商業的にかなり勢いのある家系だったはずだ。
「ペングライム様とバックニン様ですね。銘家のお二人に顔を覚えて貰えてるとは光栄です。父からも、繋がりは大事だから他の貴族の子息とは仲良くするように、と言われています」
「ああ、よろしく。アルディオスくん。それと、その呼び方はよくないぞ。基本的に家名で呼ぶのは当主とその妻だけだ。僕らのことは名前で呼ぶのが常識だぞ」
思わぬ指摘を受けて驚き部隊の仲間を振り返る。すると、ハル以外肯定するように頷いていた。
「ご指摘ありがとうございます。グラハム様。どうも僕は常識に疎い所がありまして」
父は宮廷政治に大層執心していて、家格についてはよく口にするが、教育には理解がないため間違った使い方をしていたとしても別に気にしない質だった。家の中では気が楽なのだが、その分外で他の貴族と話すときに苦労する。
結局、二言三言挨拶を交わしただけで、グラハムとフォレストは立ち去って行った。わざわざ他の班まで挨拶に行くだなんて、きっと彼らが教師の言う神童なのだろう。
「僕だけ挨拶したけど、皆は彼らと話さなくって良かったの?」
そう言って彼女たちを見るが、別に問題はなさそうだった。
そこで教官から指示がかかる。
「各部隊、基本的な情報は交換し終えたな。それではこれから部隊毎森の中に入って貰う。ゴブリンを三体討伐し、その魔石を持ち帰ること。いいか、訓練とはいえ、実践である。決して油断しないように」
魔物という生物はこの魔法の世界にしかいない。いつか詳しく調べてみるのもいいかもしれない。
一先ずは、初の実戦ということで自分の実力を把握する必要があるだろう。
設定は後に変更されるかもしれないです。
キャラ増やし過ぎたかも。