これまでのあらすじ~その2
――「心を解き放ち、スピリットを開放しろ。そして世界を救え」
聖都総合病院の屋上で変死していたソラの父親を発見したアンリは、治療中のソラの下へと急いだ。
駆けつけたアンリの目の前で、三人のゲラヴィスク教に襲われているソラを発見し、救出を試みる。 その時、覚醒したソラ〔前々世名:シオン〕の猛攻により、一気に戦力を失うゲラヴィスク教だったが、病院患者をアンデッド化〔洗脳〕し、我に返り状況が掴めないでいるソラ、アンリ、駆けつけたリュウセイを襲わせる。
アンデッド化〔洗脳〕を解くには、呪術者本人の死亡か、気絶が条件である事から、病院内に潜むゲラヴィスク教を探す為、それぞれの道を進む。
行く先で、襲い掛かるアンデッドに翻弄されるアンリ、リュウセイ。
父親が殺された事、これまでの経験が夢ならと言う期待を秘めながらも、その想いは全身を貫くリアルにかき消され、納得するしかなかったソラ。病院内を進むソラだったが、呪術者のゲラヴィスク教の一人「カルマ」を見つける。
燃え盛る炎球を操るカルマに、捨て身で闘うソラだったが、闘志の炎は目の前の炎よりも遥かに劣っていた。
瀕死の重傷を負ったソラの前に、逃げ惑う幼い女の子を守れなかった悲しみの末、覚醒したアンリ〔前々世名:マリカ〕が現れ、余裕でカルマを倒す。
病室で、群がるアンデッドから正常な入院患者を守っていたリュウセイだったが、入院患者の中に紛れ込んでいたゲラヴィスク教の幹部「レグザ」の圧倒的な力の前に倒れる。
戦いが終った破壊痕、火災に包まれる病院へと向かう中年のベテラン刑事「沢田」は、長年の経験から現場の状況が普通の火災だけでは無いと感じる。調べていくうちに神城 空〔ソラ〕と出会い、彼が今回の事件に何かしら関わっている事を勘繰る。
沢田は、この不可解極まりない事件の解明に闘志を燃やす。
病院での戦いで負った心の傷が、ある程度回復した頃、次のスピリットが眠る遺跡の場所、それを操る生まれ変わりが判明する。
ただ、その生まれ変わりは、ソラとの喧嘩で負け、復讐を誓う地元の不良学生のトップ 沢田 龍二〔リュウジ〕であった。
リュウジは、復讐の為、クラスの仲間を従え、ソラがいる学校へ乗り込んだ。
暴れまわる不良学生達の中、ソラがいる教室へとやってきたリュウジは、再度喧嘩を始める。
五分五分の闘いの中、意志とは関係なく覚醒したソラの一撃により倒れるリュウジ。 そこに現れる警察に取り押さえられたリュウジは、手錠をはめた刑事を見上げた。
――「オヤジッ……」
アンリに、宇宙要塞フォースライドへと案内されたソラは、リュウセイから自分の宿命と真実を知らされた。 直ぐに納得はできるはずもなく、気も進まず次のスピリットが眠る遺跡へと連れられる。
何事も無く、帰還する事を願う一同だったが、新たなるゲラヴィスク教の刺客達 羅嬬、邪赦螺、琥我に先を越されていた。
目の前で、ゲラヴィスク教がスピリットを手にした途端、スピリットに触れた者がソラ達ではなかった為、緊急防御システムが働き、侵入者と見なされた全員が排除の対象となる。 不規則に場所が変わる部屋や、トラップ、モンスターに翻弄される中、激闘を繰り広げるリュウセイと羅嬬。
そして、邪赦螺と闘うソラ。
闘いの中で、状況を楽しんでいる事に気付いたソラは、バトルスーツの力を開放し、力を増していく。
本気モードになった邪赦螺との激しい闘いの末、ギリギリで勝つことが出来たソラ。
モンスターとの闘いに勝つことが出来たアンリは、遺跡の中庭で琥我と遭遇する。
身構えるアンリに、「協力して欲しい」と話し、ローブを脱ぎ去り、同年代ほどの女の子の表情を伺わせる琥我。 入ってきた入口が塞ぎ、脱出不可能な中庭だったが、中央の床にプレートをはめる仕掛けを見つけたアンリは、琥我と協力しプレートを探した。
プレートを探してゆく途中、お互いのやり方は違えど「地球を救いたい」と言う想いは同じなんだと会話を通し、打ち解けあう。
最後のプレートを見つけだし、出口の扉を開いた二人だったが、それは最終防衛システム「スプリガン」起動のスイッチでもあった。
羅嬬の力に押されるリュウセイ。
トドメの一撃を羅嬬が放とうとしたとき、スプリガンが現れる。
岩石や砂で構成された、遺跡の巨大守護神像の想像を絶する力に、成す術がなかったリュウセイと羅嬬の前に、ソラ、アンリ、琥我が集結する。
しかし、数が増えても、スプリガンの力は衰える事を知らずに、リュウセイ達に攻撃を繰り出す。
スプリガンを倒すには、専用の武器が必要な事を知ったアンリは、琥我、羅嬬とともに協力し、『コーペン・クラウンの槍』を手に入れた。
スプリガンの核を狙うため、命を犠牲にした琥我だったが、アンリが投げた槍は、核を外してしまう。
だが、壁から槍を引き抜いたソラの一撃によりスプリガンを破壊することに成功した。
最終防衛システムを破壊し、地上へ帰る事ができるスフィアゲートが現れたが、その中から遺跡内にやって来たのは、ゲラヴィスク教の幹部「レグザ」だった。
仲間の死、自分達をただの道具としか思っていないレグザに対し、怒りを露にする羅嬬がレグザに襲い掛かった。 が、羅嬬の攻撃は一発も当てる事が出来ないまま、レグザが持つ大剣に腹を貫かれてしまう。
ソラ達が地上に脱出できるよう、最後の抵抗をする羅嬬。
脱出が成功し、レグザの邪魔ができた事に最後の笑みを見せる羅嬬だったが……。
――「ざまぁ見ろ、レグザ」
――「お前が、俺を止めただと? 冗談は仮面だけにしてくれ」
――「あの三人をこの場で殺そうと思えば簡単に出来ていたさ」
――「まさか……わざと行かせたのか」
――「これも計画の内さ」
羅嬬は、レグザの本当の目的を知る事も無く、紅い血しぶきを飛ばした。
遺跡を脱出したその足で、リュウジの前に現れたソラ。
やっとの思いで手に入れたスピリットを差し出すも、話を聞いてもらえるどころか、更にお互いの溝が広がっていた。
心臓が悪い弟や死んだ母親の事を忘れ、仕事に明け暮れる父。父親が知らぬ間に連れてきた子持ちの再婚相手に、怒りと苛立ちを押されきれずに、非行を繰り返すリュウジ。
ソラが通う学校での暴力事件以来、クラスの不良達の態度が変わり、築き上げてきたトップの座は消えうせていた。
自分と言う存在、目的に疑問を抱きながらも、心臓が悪い弟がいる病院へは、足を運び看病をしていた。 だが、もう弟の心臓が持たない事を知らされる。
――「龍二。功輝を守ってやってね」
癌の病で死ぬ間際、母親がリュウジに言い残した言葉。
その言葉だけは、なんとしても守らなければならないと誓っていたリュウジは、弟の海外での心臓移植費と思い、自分自身に多額の保険金を掛けていた。 母親を病になるまで苦しめた人間達への復讐を終らせ自殺するつもりだったのだ。
偶然、その言葉を聞いてしまった父親の再婚相手「香織」が考え直すようにと説得をするも、憎しみの拳を返してしまうリュウジ。
そこで、心に留めていたリュウジへの思いを抑える事が出来なくなった香織。
――「アナタは何なの? 復讐? 自殺? その上、この間の学校への暴力事件。すべてが身勝手過ぎる。そんな事をして功輝君が喜ぶと思うの?」 「あなたが起こした暴力事件のせいで、あなたのお父さんがどれだけ、責められ、罵られ、慰謝料を請求されたか……。功輝君を助けるどころか足を引っ張ってるだけじゃない!!」
父親が、家の事を何もしないのは、弟の海外での心臓移植費を得る為に、仕事以外にアルバイトをしていた事、そして自分が如何に愚かな人間だったのかを知らしめられ、家を飛び出したリュウジ。
夜道を走るリュウジの携帯に弟からの電話が入ったが、電話越しに苦しみ出す弟に急ぎ病院へ向かった。
だが、その直後、父親からも電話が入り、先程までいた家が燃えていると知らさる。
父親は病院の側だったことや、弟が言い残した言葉――「僕がもし死んでも、絶対に香織さんと、裕介君を守ってあげてね」 と言う言葉に背中を押され、燃え盛る自宅へと向かう。
炎が吹き荒れる家へと入ったリュウジは、クローゼットの中で気を失っている香織と怯える裕介を発見した。
その直後に、全身に火が燃え移っているアンデッドに襲われ、目の前の二人を助けようと立ち上がる。
――「これ以上、大切な人を失いたくねぇんだよ!!」
リュウジの必死な思いも虚しく、致命傷を追わされる。
死を覚悟したその時、ソラが窓から投げ込んだスピリットを掴み覚醒。
家の屋根を突き破り、二人を助け出したリュウジは、不器用ながらも、ソラに礼を伝え、ともに戦う事を誓った…………。
そして、
物語りは、宇宙の壁を越え、新たなるステージへと突き進む。
第3章「アナザーワールド」