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第6話 「初戦」その2

 青と赤の閃光が激しく火花を散らし、縦横無尽に両者の剣技から放たれる。夜空で暴れる2色の光は美しくもあるが、その反面、病院の屋上の床・壁・手摺りと、ありとあらゆる物を切り刻んでいく程の危険性も、そこにあった。互いに一瞬でも気を抜けば自分の体がタダでは済まない。リュウセイと黒いローブの女は、5メートル程‥彼らにとってはギリギリの間合いで、平行に走りながら刀を振り続けている。巨大病院の広大な屋上は、まるで闘技場の様にも見えた。

 

 「流石さすがは『レント』いつの時代も目障りな奴だっ」

 黒いローブの女は更に勢いよく刀を振る。リュウセイも負けじと刀のパワーを高めていく。

 「『レント』って呼ぶなっ、俺はリュウセイや!」

 そう言いながらリュウセイは渾身の一撃をお見舞いした。いままでのよりも比べ物にならないくらい大きな青い閃光は、黒いローブの女の刀をはじき飛ばした。

 「こしゃくなっ」ローブの女は右手を前を突き出し、手の平から赤いエネルギーを放出した。そのビームのようなエネルギーは、青い閃光を瞬時にかき消しリュウセイ目掛け伸びてくる。

 リュウセイは咄嗟とっさに手の平から青いエネルギー波を放出した。お互いのエネルギーがぶつかり合った時、2色のエネルギーは混じり合い、漆黒の空に向かって紫色の一筋の光が昇っていく。

 その現象にローブの女は驚いた「まさか、こんな事がっ!?」

 互いに相手に届かないエネルギーの放出を止めた。

 ローブの女は荒い呼吸をしながら「ふふっ、まさかこんな面白い事が有ったとわな」その仮面の下から見える口元は確かに笑みが零れていた。

 「何が可笑しい?」

 リュウセイは刀を強く握りしめながら、ローブの女に問いかけた。

 「いや、別に…取りあえず今日は引かせて貰う」

 「逃げるんかっ?」

 リュウセイの問いかけを無視するかの如く、ローブの女は闇に溶け込んでいった。


 もう一人の黒いローブの女『カルマ』はシオンに吹っ飛ばされ、6階の廊下の壁を突き破り、1階にある中庭の貝殻をモチーフにした噴水の中に墜ちた。激しい水しぶきと共に、墜ちた衝撃で噴水の底がへっこんだ。

 「あのクソがきぃっ!」

 怒りが込み上げるカルマは歯を食いしばり、6階目掛けて飛んだ。ジャンプでは無く、もちろん宙に浮いてだ。カルマは6階の、自分が突き破った壁の穴から再び侵入したその時。赤い光の矢がスクリューしながらカルマに襲いかかった、しかし、矢はカルマの頬をかすめ、仮面を横真っ二つに割った後、廊下の奥へと消えた。カルマの頬に残った傷から赤い血が流れる。

 「外したっ!」アンリはレーザーアローを構えた体制のまま叫んだ。

 「よくも私の顔に傷をぉぉぉっ!」

 素顔が露わになったカルマの顔は正に気のキツイ女その物の様な顔付きで、細い一重の目が怒りで吊り上がり、般若はんにゃの面の様にも見えた。

 

 アンリは、すかさず右手に3本の光の矢を作り出し、レーザーの弦を引いた。きしむ弦を一気に解き放ったと同時に、3本の矢はスクリューしながら、もう一度カルマへと廊下を一直線に突き進む。

 カルマは両手を前に突き出し、悲鳴にも似た甲高い、黒板を爪で引っ掻いた時の音の様な声で叫んだ。途端にカルマの両手から波動砲の様な物が発生し、廊下にある観葉植物やベンチ・看板などが吹っ飛び、光の矢もろともアンリに帰ってきた。そのままアンリは波動に飲み込まれ病院の壁を突き破り外に飛ばされた…


 小柄なローブの男は、カルマ同様シオンに外に飛ばされ、やっとの思いで、外壁を武器でもある鋼鉄製のかぎ爪で6階まで上りきった。最後の一歩に手を掛けた時、誰かに腕を捕まれた。そのまま腕を引っ張り上げられると、目の前にシオンの怒りに満ちた顔が見えた。

 「ヤバイっ!」と叫んだと同時に、シオンの手から放たれたエネルギー波により、小柄なローブの男は跡形もなく消え去った。

 「ジルバぁぁぁぁっ!」

 ガタイの大きなローブの男は、仮面の下に鬼の様な怒りに満ちた形相を隠しつつシオンに突進してきた。





つづく


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