これまでのあらすじ~その1
――「心を解き放ち、スピリットを開放しろ。そして世界を救え」
一条の筋を残しながら学校の植物園へと姿を消した不思議な水晶玉〔スピリット〕を手にした神城 空〔しんじょう そら〕。
その直後に、スピリットを求めるアンデッド〔洗脳術に掛かる人間〕に襲われ、病院のベッドで目が覚めた時、ソラの人生が大きく動き始めた。
時は遡る事一週間前……
目の前で友人が暴漢に襲われ、自らも瀕死の状態となった松之宮 杏里〔まつのみや あんり〕だったが、スピリットの使い手、寺村 流星〔てらむら りゅうせい〕の計らいにより、偶然手していたスピリットを無意識の内に発動させ、命を取り留める。
リュウセイに案内されるがまま、フォースライドと呼ばれる地上からは不可視状態の宇宙要塞にやって来たアンリ。
そこで、スピリットの謎と、なぜ自分が選ばれたかの理由を知る事となる。
――「事の始まりは二十三代目の地球での事。その当時に『ゲラヴィスク教』と言う宗教があって、その中で信者達から崇められていた神がおった……その名を『ガジャル』。 ガジャルは、この世の再生の神とされていた。 ゲラヴィスク教の信者達は、幾度も環境保護を訴えたりして来たが、全く耳を傾けてくれない政府・世界に嘆き・怒り、ガジャルにこの世の再生を願い祈り続けた。 やっとの思いでガジャルを復活させた…… しかし、彼らが思っていた神とはほど遠かった……ガジャルの「再生」の意味は「世界の破滅」を意味していたんや。」
―― 「地球、それを囲む全ての宇宙、この世の破壊…… 絶望の淵に追い込まれた時に、五人の救世主が現れガジャルと激しい闘いを繰り広げた。 闘いの末、ガジャルを倒す事は不可能やと悟った彼らには結局「封印」と言う手段しか無く、やっとの思いでガジャルをこの世の果てに封印する事に成功した。 だが当時の地球が滅んでしまえば、封印の力が消滅し、またガジャルの封印が解けて世界の危機が訪れる。 だから五人の救世主は自分達の力を結晶にし「スピリット」と名付け、後世の生まれ変わりが現れた時に、地球の各地に用意してある遺跡にスピリットが現れるようにした。 自分達の生まれ変わりがまたガジャルを封印する為に…… そして二十四代目の地球に生まれ変わった五人は激しい闘いの末、ガジャルを封印する事に成功し、また彼らも、次の生まれ変わりの為に、スピリットを作った……」
アンリに仲間に加わるよう説得するリュウセイだったが、事実を受け入れる事が出来ずに一度は拒否をされる。
だが、母親をアンデッドに殺され、大きな悲しみと、これ以上大切な人達を失いたくないと言う思いを胸に、リュウセイと共に、宿命を全うする決意をしたアンリ。
三人目のスピリットの持ち主がソラだと知ったアンリは、リュウセイが、ソラのスピリットを遺跡に探索に行っている間、護衛を任される。
遺跡での敵の奇襲に痛手を負ったリュウセイは、何とか手に入れることが出来た水晶玉〔スピリット〕をソラが通う学校の植物園に投げ込んだ。
その光景を目の当たりにし、放課後にスピリットを探しに行ったソラを、追いかけるアンリ。
植物園でソラを見つけた時には、ソラはアンデッドに襲われ、崩れ落ちていた。
だが、次の瞬間、ソラのスピリットが発動し、植物園、アンデット諸共、木っ端微塵に吹き飛んだ。
病院のベッドで目を覚ますソラの元に現れたアンリ。
――「目覚めたわね」
――「スピリットの持ち主……」
嘗ての自分自身と同じように状況を飲み込めないソラに、語りかけるアンリ。
――「アレは水晶玉じゃなくてスピリット…… あなたの前世での力の結晶よ」
――「今は解らなくても仕方ないわ、私も同じだった。ただ、今日をさかいにアナタの人生は一変するわ…… 早く体を治す事ね、アイツらは待ってくれないわ」
そう言い残し、病室を去るアンリだったが、病院の屋上で、変死していたソラの父親の姿を発見する。
ソラの身に危険が迫っている事を感じたアンリは、全速力でソラの元へ向かった。
今宵、大病院を舞台にした、前代未聞の初戦が始まる……
『HIKARI 第2章~スピリット争奪戦~ 』