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第41話 「2%のズレ」その1

超久しぶりの連載です。

ここで一つお知らせですが、特別編のエピソード0.5ですが、一旦保留とさせて下さい。

プロットは出来ているのですが、あまりに複雑すぎて筆が進まないのが、これまで連載が滞っていた理由の一つです。

一旦、通常のエピソードの続きを書いていこうと思います。

その中で、勢いが付いた時に特別編を仕上げる予定です。

ですので、このまま通常のストーリーを連載していきますので、よろしくお願いします。

と言っても、仕事の都合上、連載がまた滞る事が十分考えられるのでその時はすいませんです。

応援のお言葉があれば頑張れるかも知れません(笑)

「ほら、ふりかけだ」

 下卑た笑い声をあげる黒い詰襟の学生服を来た青年が言った。

 ワイルドに整髪料で立てた黒髪に右耳にリングのピアスを光らせる。

 胸元まではだけたシャツの下から盛り上がった胸筋に描かれるタトゥー。

 如何にも好青年では無いであろうその青年の足元に額を地に擦る青年が居た。

 彼を囲むかの様に優越感と爽快感を滲ませる男子生徒が四名。

 ピアスの青年が握っていた砂を弁当箱の白飯の上にふりかけた。

「さぁ、食えよ。俺からのプレゼントだ。美味いぞ」

「おい、頂きますだろうがッ」と周りの生徒が次々に野次る。

 ゆっくりと地面から顔を上げた青年の額に張り付く砂利。

 泥まみれの学生服の青年は、震える手で割り箸を割ると砂まみれの白飯を頬張った。

 途端に咽る。

 その苦悶の表情が彼らにとっては面白くて仕方がないのだろう。

 徐々に大胆になるイジメ。

 弁当箱から取り上げた唐揚げを踏みつけ「ほら、口開けろよ。しっかりとキャッチするんだぞ」と言い渾身のストレートを咥内に叩き込む。

 羽交い絞めにされた青年の鼻に大豆を何個も無理やりに詰め込まれ、涙を流しながら必死にもがく。

「やべぇ、マジでおもしれぇ」

 最後のトドメに、ピアスの青年が頭を足で踏みつけた。

「オメェ、マジで面白いわ。一発屋芸人よりもな。毎日遊んでやるよ。沢田龍二ッ……返事はッ」

 声にならない声で「……ッはい……」と答える。

 ボロボロになる沢田龍二を囲み全員が高らかに笑った。

 その時。

「貴様らッ……」

 そこに現れた一人の青年。

 ハードボイルドウルフの金髪に鋭いその目付きには並外れた気迫が放たれている。

 だが、愚かな彼らはその気迫に気付かない。

「何だテメェ」

「俺か? 俺は……沢田龍二だコノヤロウがッ」

 怒りに満ちたリュウジは全力で拳を振りかぶった。


 ☆     ☆


 目の前に浮かび上がるホログラフの碁盤。

 ソラの指がそのマス目にあるマークを前方へと滑らせる。

 目の前にはテニスコート程の広さのミニチュアで作られた街が見え、その向こう側で同じように碁盤を前にするルナがいた。

 ソラの行動によって召喚された赤いドラゴンが高層ビルの向こう側に潜む忍者を目掛けて突進した。

 木端微塵になるビルの残骸の中を忍者が滑り落ちる。

「良いぞドラゴン」

 高揚するソラに対し、冷静な眼差しを向けるルナが指を滑らせた。

 『忍者デッド』の表示と同時に『特殊効果発動。コスト20回復』と文字がルナの目の前に浮かび上がった。

 ルナは初めて笑みを浮かべた。

 途端に、街に猛烈な雨が降り注ぐ。

 その雨が次第に収束し巨大な大蛇の姿へと変化し、ソラが召喚したドラゴンを締め上げた。

「ウソだろ、リヴァイアサンかよ」

 険しい表情に変わったソラ。

 慌ててドラゴンを救出しようと山場と言われるマークの待機場所から碁盤に指を滑らせるが『コストオーバー』と目の前に文字が浮かび上がる。

「しまった……ドラゴンのコストが高過ぎたか」

 リヴァイアサンの巻きついた胴体の中でもがくドラゴンが悲鳴をあげる。

 そして遂に、リヴァイアサンの大きく開いた口がドラゴンの喉元を噛み千切った。

「あぁぁぁぁぁぁ……」とソラが叫んだが時既に遅し。

 『ソラ。残り体力0』の表示と共に、ルナの勝利が決まった。

「よっしゃあ」とガッツポーズを掲げたルナに「お前、なんでいつも強いんだよ」と不機嫌そうに訊ねる。

「アンタいっつも作戦がワンパターンなのよ」

 ルナが人差し指をソラに突き付けた。


 二人が遊んでいたゲームは、勿論地球には存在しない。

 今、フォースライドの居住区で子供や大人に大人気のアーケードゲームだ。

 そのゲームにソラ達も熱中していた。

 この時代の自分たちが無事に地球を飛び立ってくれるまでは地上に居場所が無い為、フォースライドの居住区で生活しているのだ。

 もう三カ月が過ぎていた。

 ようやくここの生活にも慣れ始め、日々、トレーニングや娯楽を楽しんでいる。

 二人の熱いバトルを鑑賞していたアンリが「そういえば沢田君は何処?」と訊ねた。

「なんか、着替えを取に帰るって言ってたよ」とルナが答えた。

「あいつ変にこだわりあるもんな。スパンコールとかドクロとか龍とかさ。フォースライドじゃ、そういう服ないもんな」


 ☆     ☆


 校舎の裏庭に爆風にも似た衝撃波が発生した。

 吹き飛ぶ学生たちが校舎の壁に叩きつけられた。

 怒りに顔を歪ませたリュウジが放った一発の拳が地面を大きく凹ませる。

 無衝撃波圏内にいた沢田龍二が悲鳴を上げ怯えていた。

「テメェっ」

「は、はいっ」

 リュウジの怒りに満ちた双眼に沢田龍二は凍りついた。


「お前、虐められてるのか?」

「…………はい」

 沢田龍二の自宅の自室で会話をする二人。

 その言葉に肩を落としたリュウジ。

「マジかよ。何やってんだ俺、あいや……お前よぉ」

「て、言うか。あなた誰ですか? 確か、僕と同じ名前を叫んでいたような」

「あぁ、俺か? まぁ、何て言うのかな……いや、あれか? そうだなぁ……」

 腕を組み思案し始めるリュウジを不安げに見つめる沢田龍二。

「うん、あれだ。お前の心の裏側が俺を生んだんだ。うん、そうだ」

「心の裏側?」

 訝しげに眉を潜める沢田龍二に「んだぁコラ、俺を信じられねぇのかッ?」と声を荒げると、電気が走ったかの様に背筋が伸びた。

「それよりも、何でやり返さないんだ?」

 再び腕を組み訊ねた。

「僕、平和主義者なんですよ。争い事が苦手って言うか」

「そう言うが、既に争いの弱者になっちまってるじゃねぇかよ」

「まぁ、結果そうなんですが。こっちが手を出したら終わりです。喧嘩両成敗です。あいつらと喧嘩をした所で勝っても世間から見れば負けと同じなんですよ。まぁ、どう頑張っても勝てないでしょうけど……」

 そうモジモジと話す姿に「それで、どうやってゲラヴィスク教と戦うんだよ」と呟いた。

「え、なんか言いました?」「あ、いやいや、こっちの話だ」

 リュウジは一つ咳払いをすると姿勢を正した。

「良いか。お前には大きな力が眠っている。さっきも見ただろ、俺の力」

「あ、はい。凄かったです。漫画でしか見た事ないですよ。アレ……」

「お前は本当は強いんだ。何でこうなったのかは知らねぇが。あともう少ししたらお前の人生は一変するかも知らねぇ。その時には、綺麗事なんて通用しない。弱肉強食だ」

「弱肉強食……」と沢田龍二が復唱した。

「戦う事は罪じゃねぇ。喧嘩とは違う。良いか、戦わない事も罪なんだぞ」

「えっ?」

「自分自身にとってな。自分を救えない奴が大切な誰かを救える訳ねぇだろうが」

 その言葉に沢田龍二の中で何かが弾けた。

「目付きが変わったな。良い目だ」

「守りたい人がいるんです……あいつ等から」

「だったら、強くなれ。例え肉体が滅んでも魂になってでも相手に喰らいつきぶっ殺すくらいの心を持て」

 沢田龍二は勢いよく立ち上がると「お願いです。僕に戦い方を教えて下さい。僕を……男にして下さい!!」とリュウジに懇願した。

「よぉし、分かった。お前がヤル気なら俺が誰にも負けねぇ様に鍛えてやるさ。だが……まず……、この部屋を何とかしろッ!!」


 アイドルのグラビアポスターが壁一面に掲示され、美少女フィギュアが至る所に混在する。

 机の引き出しを開ければ、エロ本とAVの山。

 ゴミ箱の中には使用済みの大人の玩具が。

「お前、熟女だけは手ぇ付けてねぇだろうな!!」

「付けて無いです。興味ないです!!」

「本当だろうな、変な趣味持ってたらブッ飛ばすぞ。今でも変だけどよぉ。そこから鍛えてやろうか!!」

「すすすすいません」

「そういう所だけは一丁前の男だなテメェはよぉ!!」


 ☆     ☆

 

「て、訳だ。何かが違う。俺たちの知ってる歴史とな……」

 フォースライドのラウンジで地上で見た事をリュウジがみんなに伝えていた。

「時代は間違っていないはずだ。パラレルワールドなのかな?」とソラが呟いた。

 目の前に広がる宇宙の輝きを見つめながらアンリが何かに気が付いた。

「ヴァキルト博士に聞いてみる?」

「まだ、博士は宇宙の彼方や。帰ってくるんはもう少し先やで、歴史通りやったらな」

 久しぶりに聞くその声に一同の心が高揚した。

「寺村さん」「リュウセイさん」と一同が名を呼ぶ。

 実に三カ月ぶりの再会だったのだ。

 長い間リュウセイが現れなかった理由は誰も知らされていない、また、誰も聞こうとはしなかった。

 みんなにとって必要な事なら、いつか話してくれるだろうと思っている。

「リュウセイさん、髪伸びましたね。それに少しやつれてる気が」とリュウセイの変化を気にするアンリに続き、「歴史通りならって、寺村さんは何か知ってるって事ですか?」とソラが訊ねた。

「まぁ、粗方はな」

「教えて下さい、一体何が起こってるんですか?」

 そう言うソラにリュウセイは人差し指を突き付けた。

「原因はお前や」

「えッ……」


 一同がソラに顔を向けた。





 つづく


久しぶりに書いたのですが、書き方を忘れかけていました。

しかもストーリーもずいぶんと久しぶりなので、過去の話と整合性が取れているのかも分かりません。

下手をすると矛盾が生まれているかも知れませんが、この物語はノープロットで始めた、臨機応変型なので、そこはお許し下さい。

では、また時間があれば連載を続けますのでよろしくお願いします。

書きたい新作は沢山有るのですが、全くの手つかずです。

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